大石花蓮の決意


 誠治に避けられている。


 どうして?


 連絡も全然返してくれないし。


 私、何かひどいことした??


 だとしたら言って欲しいのに。


 男の子のことはあまりわからないから、伊月くんにも相談したりした。


 伊月くんは『連絡も返してこないような人と今後も付き合ってくつもりなの?』と、誠治に対して否定的だ。


 でも、それでもやっぱり誠治じゃなきゃダメだとわかった。


 伊月くんとカラオケに行った時、綾女と一緒に誠治も偶然同じカラオケに来ていると知った瞬間、私は伊月くんといるところを見られたくないと思ったし、同時に他の女の子と一緒にいることにドス黒い感情が湧き上がってきた。


 私は自分がされたら嫌だということを、誠治にやってしまっていたのだなと痛感した。


 もう伊月くんとは連絡を取らないし、絶対に会わない。


 やっぱり面と向かって話さないとダメだと思ったので、思い切って林間学校では話しかけてみようとした。



 ……けれど、誠治は私のことを完全に無視していた。



 明らかに避けていた。


 でも、話しかけるチャンスはいくらでもある。


 そう思って、私は誠治が一人になるタイミングをずっと窺っていた。



 そしたら……どうして綾女と誠治が二人きりでいるの……?



 人気のない宿舎の裏手で、密会をしていた。


 明らかに距離が近かった。


 誠治の隣は、いつも私がいる場所だというのに……ッ!!


 もしかして……浮気、してるの?


 それとも……綾女、あんた、誠治のこと狙ってんの……?


 許さないよ?


 もうどうでもいい。


 友達からの世間体だとか、クラスのカーストだとか、そんなものどうでもいい。


 誠治さえいればそれでいい。


 もう私は待たない。


 何がなんでも取り返してみせる。


 どんな手段を使ってでも。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る