第13話 あっ、僕に逃げ場はないんですね。そうですか。

 僕の目の前で正座する三人。


「で?どういうこと?玲。」

「えっと。今日から夏休みいっぱいこの家でお世話になります」


 翠が髪の毛を弄りながら説明を始めた。


「暖香と氷冴の両親にも許可を取ってる」

「僕知らなかったんだけど!?」

「ひーくんママ達が言わなくていいって」


 どういう事だ。母よ。


「ひーくんママからひーくんにメッセージ預かってるよ」


 桜から渡されたのは携帯に写っていたのは動画の再生画面だった。


「氷冴やっほー。元気してる~?ママだよー!」


 あぁ胃もたれがする。


「元気なのは知ってるよ!なんたって女の子三人と一緒にいるんだもんね!とりあえずみんなと仲良くね!襲うのはダメ!ちゃんと合意の上で。ね?」

「やかましいわ。」

「あと逃げ場ないからね?氷冴もやるわね!もう、外堀埋められちゃってるわよ!ウフッ!」

「はぁ…」


 頭を抱えてため息をついた。


「ひょ、氷冴?」

「あぁ…もうわかった。一か月半よろしくね。三人とも」


「「「お世話になりますっ!」」」


「とりあえずルールを作ろうか」

「そうだね。あんまり氷冴くんに迷惑かけられないもんね」

「桜ご飯作る!」

「「私が作る。」」


 三人とも険悪になっていく。

 だ、誰か止めてくれぇ……


「たっだいま!!暖香が帰ってきたよ~ん!」

「お、おかえり…ハル」


「うぉ~これがハーレムの修羅場ってやつね…」

「見てないで助けてくれ…」


「ねぇハルちゃん桜のご飯食べたい?」

「暖香私よね?」

「ちょっと二人ともずるくない?妹ちゃんに聞くなんて!」


「いや、ハルは普通ににーちゃんのご飯が食べたい」

「ハ、ハル!!」


 僕は嬉しいぞ!







 五人で食卓を囲む。

 どうあがいてもおかしい。


「「「「あ~ん」」」」


 三人はともかく暖香!お前楽しんでるだろぉぉ!


「あ、あ~ん…」


 一人ずつ食べていくが、これが最後まで続いたら僕の首死ぬぞ…

 察してくれたのかその後はなかった。助かった。




 ♢♢♢♢♢♢♢♢


「ふぅ。」


 一人自分の部屋でぼーっとしていた。


「疲れたな。まじで」


 あの三人は一階の客間に布団を敷いて寝てもらうことにした。


「あぁ…本当にあの両親何考えてんだ…」


 この夏、生きていける気がしない…





 ♢♢♢♢♢♢♢♢


「デン♪デン♪デンデンデン♪」


 桜ちゃんがヤ○マ作戦のやつ口ずさんでいる。

 なにが始まるんだろう…


「さて、鷹野氷冴に嫁入り大作戦の作戦会議を始める」

「難攻不落の氷冴くんにどうやって意識してもらうか。」


 なるほど。


「ハルちゃんはどう思う?」


 三人の視線が暖香に集まる。

 しゃーない。妹として暖香が一肌脱いであげよう!


「まずですね~…」


 その女子会は朝まで続いたという…






――――


 今回も読んでいただきありがとうございました。


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