第12話 混沌から始まる夏合宿

 夏休みの初日。




 前日、僕は積みゲーを崩すために徹夜していた。


 今回やったのは、幼馴染ギャルメインの恋愛ゲーム。


 感想はうまく言えないが、最後は悶絶した。まじで。




 部活に左右されない自由な夏休みが始まる。


 そう意気込んで布団に入った僕だったのに…




 …なのにどうしてこうなったッ!




 ♢♢♢♢♢♢♢♢




「んんっ…重い…」




 とりあえず僕は時計を確認する。


 時刻は13時。平日じゃこんな事できないよな。




 …本当に身体が重いんだけど。僕身体に重りを付けて寝る趣味あったっけ?


 否。あるわけない。




「あっ、ひーくんおはよ~いいお昼だねっ」




 僕の胸元から出てきたのは桜だった。




「ど…どういう事だァァァァァァ!!!!」


「ふぁ~えへへっ…」




 あくびをしながら僕の体に抱きつき、また寝る体制になる桜。




「待って!桜!ストップ!」


「なんでぇ~?」




 そんな甘ったるい喋り方しないでくれ。


 控えめに言って脳が溶ける…


















「まだ寝てたいよぉ~」




 まだ眠そうな桜を無理やり引きはがし正座をさせる。




「どうやって入ってきたの?」


「ハルちゃんに入れてもらった」


「なんで僕の体の上に?」




 彼女は僕のテレビへ目を向けた。




「あっ…」


「ああいうのが好きなんだよね…?ひーくんは」




 画面には寝ている主人公の上に茶髪の豊満(何がとは言わない)ギャルが上にのりデレているシーン。


 正にさっき体験した描写だった。




 なんで電源を消さなかったんだ寝る前の僕…




「否定はしないけど…」


「ふぅん…嬉しかった?」


「う、嬉しくないことは…ないけど…」


「そっか。ならよし!」




 あぁ…もう残りの夏休み嫌な予感しかしない…








 ♢♢♢♢♢♢♢♢




 リビングへ行くとハルは出かけていた。




 僕が朝ご飯を作り、桜がテレビを見ているとインターフォンが鳴る。




「桜出てきてくれる?」


「りょーかいっ!」




「氷冴くん!」


「氷冴開けなさい!!」




 ドンドン!と玄関のドアを叩く音が聞こえる。




「ひーくん行った方がいいんじゃないかな…?」


「そうだね…」




 僕は火を止めて玄関のドアを開けに行った




「二人ともうるさいよ」


「氷冴くん!なにもされてない!?」


「氷冴ぉぉ!!」




 ドアが開くなり飛んでくる2人。




「ちょっとっ!?」


「あぁ…氷冴が男の顔に…」


「氷冴くん!二番目は私ね!?ね!?」


「二人とも何言ってんの!?」




 2人が携帯の画面を見せる。




「これは…僕と桜…?」




 ――同じ布団に入っている男女。




「画角的には…桜が裸…?」


「え?僕何にもしてないんですけどぉぉ!?」


「ごめーんっ!いたずらしてみたっ!」




「「「さーーくーーらァァァ!!!」」」
















 いったん落ち着いたところで、僕はおかしなことに気づいた。




「なんかみんな荷物多くない…?」


「だって、今日から合宿よ?」


「あれ?氷冴くんに言ってなかった?」


「ど、どこで!?」


「「「ここで。」」」






 ついに僕本当に耳おかしくなったかな……

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