第7話 移り変わる日常

正直、また幼馴染の関係に戻れて僕は嬉しかった。


でも、二人ともなんか距離感おかしくないか??




「あははっ。ひーくんの隣は居心地がいいな~」


「そっか。それはなによりだ」




僕としてはこの教室にいることが苦なんだけど…




「ちょっと!桜!」


「げっ、翠ちゃん…」




今の桜、凄い低い声と嫌な顔してましたけど!?




周りはもう目が点になり、追いつけていない様子。


「あの三人どういう関係?」「もしかして修羅場?」「あいつ、いつからラブコメの主人公になったんだ」的な呟きも聞こえる。最後のは楓真だな。




二人が教室から出て行き、クラスの雰囲気が驚愕から好奇や嫉妬になっていく。


あぁ、悪目立ちしとる…




顔を伏せ、狸寝入りしてとんずらしてやろうとすると、僕の机の前に人の気配がする。




「氷冴くん。」


「れ、玲さん…」


「隣座ってもいいかな?」




玲さんの目が笑ってないよ。僕ほんとどうなっちゃうの…




「も、勿論!」


「ありがとう」




「あいつ島崎さんにも手を出してたのか」「鷹野くんモテモテだな…良物件だったか逃したなぁ」「誰か氷冴を止めろォ!!」男子から嫉妬のこもった視線、女子からは好奇の視線と完全に二極化していた。


誰か興奮し過ぎて失神してる楓真を保健室に…




僕どこで道を間違えたんだろ…生まれた時からかな。


確か生まれた時から、隣の家が桜で生まれた病院の隣のベッドが翠。誕生日も一日違いだしね。




「ねぇ…氷冴くん…あの二人とはどういう…」


「あの二人は僕の幼馴染なんだ。色々あってまた三人揃うようになってさ」


「そっか幼馴染ってことかな?」


「うーん。普通の幼馴染より仲はいいと思うけどあってると思う。」


「そっか。そう言えばこの間のこと…」


「あれは僕が悪かった。ごめん。今は付き合えないです」




はぐらかすと思ったのか、玲さんは驚いている。


そしてすぐに、悲しそうな顔をした。




「氷冴くんは、今好きな人いるのかな?」


「今はいないよ。」


「じゃ、じゃあ私にもまだチャンスはあるよね???」


「あ、あるんじゃないかな?」




僕は否定も肯定も出来ず、曖昧に答えてしまった。




「わかった!玲さん頑張るっ!」




いきなり席を立ち上がりガッツポーズをして見せる玲さん。


「頑張れ!」と声をかける女子生徒たち。


「なんで鷹野ばっか?」と疑問に思う男子生徒。




それは僕のセリフだ。なんでこうなった。




この先、僕を待つのは修羅場かハーレムか、それとも三人の中から一人と結ばれるのか、どれを考えても想像は出来なかった。


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