第16話 転生
「今の夢は……一体……?」
僕はあまりのリアリティのある夢から意識を完全に戻すために、ベッドから身を起こして部屋の中を見渡す。
あまりファッションなどに気を使う
そのためにその異常な物が部屋の壁に立掛けてあるのに簡単に気付くことができた。
それは一振りの緋色の剣だった。
僕の脳力『
そのためこの剣は僕が所有する物ではないのは明確だった。
だがさっき見た夢のせいで、この突如現われた剣が無関係に思うことができず、僕はそれを警戒しながら近寄ってみた。だがそれは特に代わり映えしない剣で、とても害があるようには見えなかった。
とにかくこの家に住んでいる人間一人一人に聞いて行けばこの剣を誰が置いたのかも分かる。
そんな風に自己解決して僕がその剣を掴んだ、その時___
『やっと起きやがったなクソガキ』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!??」
突如として部屋の中に広がった声に僕は思わず尻餅を付いてしまった。
――この声は間違いないっ!? この声は……夢の中で見たあの陽炎と同じ声だッ!!
『とりあえず落ち着きよクソガキ。……ったく、こんな奴が俺の転生先だなんて、俺様もつくづく運がないみたいだな……』
「な……なんなんだよお前……!? 何で剣が喋ってるんだ!? それよりも、どうやってこの部屋に入ってきた!? 何回も僕の頭の中に出てきて喋っていたのはお前なのか!?」
『だぁぁぁぁぁ!! うっせえなおい! 質問ばかりしないでまずは自分で考える頭を作れ。これだからガキは嫌いなんだよ。とりあえずは説明してやるから、少しは落ち着いて俺様の話しを聞きやがれ』
現状で声の主が僕に対して何かをする様子は見られない。それならばまずは様子を見るのも手だと考えた僕は、声の主に言われた通り静かにしてみる。
すると剣は満足そうに「うん」と相槌を打って話を切り出した。
『俺様の名前はクライ・リブンロック。魔族の国『リブンロック王国』を収めた王にして十一の国の王の中で唯一『魔王』と呼ばれた男だ!』
魔族、魔王、リブンロック王国、聞きなれない単語にさらに僕は困惑する。
そんな子供染みた称号は王族の中の誰も就いているとも就いていたとも聞いたことが無い。
さらには魔族なんて種族にしてもおとぎ話か伝説の中だけの話だし、歴史の中でリブンロック王国なんて国があったなんてのも聞いたことがない。
だが一つ一つの言葉にはしっかりとした力強さがあり、クライと名乗る彼が嘘を吐いているとは思えなかった。
「あの……クライ……さん?」
『クライでいいっての。お前と俺はこれから一心同体、文字通り、運命共同体なんだから』
「え? それってどういう意味ですか?」
クライが何気なく言った言葉に、僕は即座に問いただした。クライはそれに対しても依然とそのふてぶてしい態度を変えることなく答えた。
『どういう意味も何も、そのままの意味だが? …………お前、昨日のことはまったく覚えてないのか?』
「昨日って……まさかあの夢のことか!?」
確か昨日、僕は夢の中で謎の陽炎が僕の体に入って来たのは覚えている。
だがそこから先はまるで靄が掛かったように記憶が荒れて思い出すことができない。
だがクライの言い方からすると、恐らくあの謎の陽炎の正体は、あの空間の中でもクライの姿なのだろう。
『……どうやら大切なところだけ忘れているようだな。まぁとにかく、昨日の夜、俺様はお前の精神世界に侵入し、お前の体を乗っ取ろうとした』
「なっ!? 何でそんなこと……!?」
僕がそれを聞くと、クライは何か嫌なことを思い出すように
『お前が生まれてくる何千年も前に俺様は自分の国のあり方が気に入らず、その国の王をぶっ殺して新たな家臣たち十人と魔族だけの国『リブンロック王国』を建国した。だが、それを良い様に思わなかった他の大国が連合国として手を組み、俺達の国を排除してきた』
クライはまた僕の知らない歴史をまるで苦虫を潰すように語り続ける。
『大国の連合軍なんてのに勝てるほど、俺達は強くはなかった。次々に制圧されていく国内を見て、俺様は最後の手段に出た。今は勝てなくても、十年、百年、千年と永い時が経てば、あの連合国にも勝てると。そう思った俺様はお前が今持っている剣、グラナドラに自分の魂を固定し、俺様の遺伝子を受け継ぐ子孫が現われた時まで時代を超えて転生し、今に至るってわけだ」
理解のできない単語や歴史。普通ならこんなこと戯言と流すだろうが、今は普通じゃない。
今大切なことは、クライの言ったことをただの知識・歴史として受け入れ、そこから重要なことだけを理解することだ。
そしてもし、仮にこの話が全て真実で、今こうして僕の部屋にクライが現われたということは――
「…………つまり、クライは僕にとって__」
僕が言葉を言い終わる前に、それを遮るようにして真実を告げた。
『そうだ。お前は俺様の子孫で、俺様はお前のご先祖様だ。せいぜい
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