第129話 熊本ワインファーム キャンベルアーリー 甘口
今日は、健司の両親に美月を紹介するために実家に行ってきた。
その帰りの車の中。
助手席の美月は健司に言う。
「健司さん、ご両親は私のことどう思ったんでしょうか?」
「いやあ、多分気に入ってたと思うよ。ただちょっとびっくりしたようだけど」
「びっくりですか?」
「まぁ、いきなりだったからねぇ」
「そうですか」
”本当は、美月が若くて困惑していたというだけだろうけど”
「それにしても、お土産をたくさんもらいましたね」
「まぁお菓子とかが多いけどね」
健司の実家から自宅までは車で1時間かからないくらいだ。
「ただいまぁ〜」
すっかり、美月は自分の家として振る舞っている。
「それにしても今日は寒いなあ。こたつを出しておいて正解だな」
「ほんと、寒くなりましたね」
「そういえば、実家の庭になってたレモンをたくさんもらったてきたね」
こんな寒い日は・・
熊本ワインファーム キャンベルアーリー 甘口
これとレモンで・・・
「わぁ、ホットワインですね」
「このワインはかなり甘いから、ホットワインにちょうどいいからね」
キャンベルアーリーの甘さとレモンの酸味。スパイスとしてシナモン・八角。
ちょっとだけ蜂蜜を加える。
「これは、甘くて温まります〜」
「ほんと、甘いね」
でも、ぶどうの香りが温めることでより強く感じられる。
それほど酒臭くもなく果実の香りが気持ちいい。
「でも、この甘いホットワインだとデザートには合いそうですけど、食事は難しそうですね」
「いやあ、そんなことはないよ」
「そうなんですか?どういうのを合わせるんですか?」
キッチンに行って料理を始める健司。
豆腐とひき肉とネギを冷蔵庫から出す。
フライパンであっという間に作る料理。
匂いから辛そうな料理ということがわかる。
こういう甘いワインに合わせるのは・・・
麻婆豆腐。しかも辛口で山椒をしっかり効かせたものだ。
美月が辛いものが苦手でなくてよかった・・・
ホットワインではなく、今度はワイングラスにワインを注ぐ。
「か・・・辛いです・・・でも、甘いワインが合いますね」
「これが、カレーの辛さだとちょっと合わないんですけどね」
「不思議ですね」
「それにしても、健司さんの両親に挨拶するの緊張しました」
「あ、やっぱり緊張してたんだ」
”あまり緊張してるように見えなかったのだが・・・”
「もちろん、緊張しましたよ。だって、将来家族になる方々なんですから」
「ブッ! ごホッ!ごホッ!ごホッ!」
麻婆豆腐を気管に入れてしまい、咳き込む健司。
付き合い始めて、半年も立たないうちにどんどん外堀が埋まっていく。
本当にこのままでいいのか不安になる健司であった。
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