第130話 横手ViNERY スチューベン 大沢葡萄JUICE

「おじゃましまーす!」

「おじゃまします。すみません誘っていただいて」

ミキちゃんと彼氏の三崎海斗くんを今日は自宅に招いている。

寒くなってきたので、鍋パーティーをしようと言うことになったのだ。

建前は海斗くんの受験の応援会。


いや、足を引っ張ってないか?


「海斗クン、ずーっと勉強してるんだよ。たまにはいいよね」

「まぁ、たまには息抜きが必要と言われてますから大丈夫ですよ」

それならいいのだけれど。

「というわけで、奮発しました!今日はすき焼きです!A5ランク牛肉です!」

美月が自慢げに肉を見せる。

こたつにカセットコンロを設置し、そこにすき焼き鍋を設置。

ちゃんと牛脂を使って、肉を焼いていく。同時にネギを投入。

ある程度、肉に火が入ってきたら割り下を入れて、野菜を投入する。

「へ〜、ちゃんとしいたけに飾り切りしてるよ。マメ〜!」

「こういうビジュアルって大事だろう」


「そろそろ大丈夫だよ」

まずは、肉を海斗くんによそってあげる。

「まずは主役にね」

「ありがとうございます」

「どお?どお?美味しい?」

ニコニコしながらミキちゃんが聞く。

「すごい、柔らかくて美味しいです」

「それっはよかった。遠慮せずに食べてくれ」


そして、ワイングラスを用意する。

「待ってました!」

ミキちゃんが、グラスを差し出して催促してくる。

そこに注ぐのは・・・

秋田県 横手市横手ViNERY スチューベン 大沢葡萄JUICE

「あまーい。でも変わった味だわ。このワイン」

「甘いでしょう。ジュースだからね」

「は?」

「ジュースだから。ノンアルコールの。はい、海斗くんもどうぞ」

「あ、いただきます。アルコールじゃないんですね」

「そう、だから大丈夫」

未成年がいるのに、アルコールをすすめるわけがない。

この後、送っていく都合もあるので、私も飲めないしね。

「ぶー!ぶー!ぶー!」

抗議してくるミキちゃん。

「彼氏を差し置いて、自分だけ飲むなんてだめじゃないの?」

美月もミキちゃんに言う。

「ちぇー、いい酒飲めると思ったのに〜」

「それは、海斗くんが成人したときにね」

「ぶ〜」

「ところで、海斗くんはどこの学校を受験するのかな?」

「いくつか受けるんですけど、第一志望はJ大学の写真学科です」

「え?それはかなり難関だね」

「海斗くんって、頭いいんだよ〜。偏差値すっごく高いし」

「そうなんだ、受験頑張ってね」

女性陣に言われて照れる海斗くん。

今どきの高校生って、こんな感じなんだろうか?

いや、海斗くんが真面目なんだろう。

ミキちゃんはいい彼氏を見つけたもんである。


「ほんと、おいしかったです」

「いえいえ、お粗末様でした」

「あ、片付け手伝います」

「いやいや、お客さんに手伝わせるわけにいかないよ」

「大丈夫ですよ、手伝わせてください」


キッチンで洗い物をする男性陣。

そして、こたつでは女性陣がヒソヒソと内緒話をし始めた。


洗い物をしながら話す。

「そういえば、あの写真コンテストに応募してみました」

「それは良かった。あれはいい写真だからね。いつ発表なんだい?」

「2月末です」

「それは楽しみだ」

健司は、前から不思議に思ってたことを聞いてみた。

「ところで、海斗くんはミキちゃんとどこで知り合ったんだ?」

海斗くんは、ちょっと恥ずかしそうに言う。


「それは・・・内緒です」

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