08. day off
「と、いうわけで。
「…え?」
ある休日の朝食後。
こころなしかいつもよりテキパキ食卓を片付けて、掃除洗濯まできっちり済ませたウィンと
言われた方の
膝の上のオレンジ色の使い魔イヴも、
「えーっと…買い物?って僕も?」
「そう。ていうか、今日は
「特に必要なものってないんだけど…」
言われたことがいまいち理解出来ず、視線を
全く心当たりがない
「
「もったいないより、むしろ、ダサい。かっこいいくせに、ダサい。センス壊滅的」
「え…」
黒のスウェットパンツに深緑のシャツ、そして、オレンジ色のロングカーディガン。
どれも気に入ったデザインの着心地のいいものだから、そんなに言われるほど酷いのだろうかと首を傾げてしまう。
そんな
「
「
「…そこまでひどいかなあ…」
「ひどい。ひどすぎて、おれ、限界。ほら、出掛けるから着替えるよ。ついでに
普段あまり積極的に話すタイプではないし、どちらかといえば素直じゃない
ぐいぐい引っ張られて、あれよあれよという間に自室のクローゼットを確認された。
用意された服に着替え、いつ買ったんだっけ?と暢気に考えているうちに、髪型まで整えられてしまった。
「んー…まあこれならいいかな」
「わー。なんかすごいねえ」
「…
言うやいなや、
玄関ホールに出ると、身支度を整えたウィンとイヴが待ち構えていた。
「今あるもので整えてみたけど、どう?ウィンさん」
「すごくいいです!似合ってます!見違えました!」
「ピィ~!」
気を取り直して「買い物に行こうか」と声をかけると、みんなで仲良く出かけるのであった。
■■■
「なんというか…きみたち、すごい勢いでアレコレ買わせたね…」
夕暮れ時。
なにせ、2人と1匹がここぞとばかりにあれこれと服を着せ替え、どんどん購入していったのだから。
「こんなときでもないと、
「全部似合うやつだし、これからはおれがちゃんとコーディネートするから。任せてよ!じゃあ、
「
一日中
それに、ウィンまで味方につけてしまっているのだから、
今日一緒に買い物をしてわかったのは、
ならば、これは大人しく
そうしてウィンに言われた通り、夕陽の差し込む窓辺のソファーで横になった。
オレンジ色の使い魔のイヴは、こういう時の定位置である
料理をすればこの世のものには見えない副産物が生まれ、洗濯をすれば逆に汚れやシワが増える。
片付けをしたそばから雪崩が起きてしまうという始末。
そんな
大人しくソファーで寛いでいると、屋敷の中を2人が動き回る気配がした。
ウィンが買い込んだ食材を片付け、夕飯の支度をする音。
開けた窓からゆるやかに流れてくる外の空気の匂い。
「…なんか、こういうの、いいなぁ…」
ぽつり、と。
こぼれた声に、なにより
そう言えば最近はやたらと死神が悪戯ばかり仕掛けてきていたし、
久しぶりの穏やかな一日を、思った以上に必要としていたのかもしれない。
不思議そうにお腹の上からこちらを見つめる使い魔を撫でながら、食事ができるまで…とゆるりと瞼を閉じる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます