第303話 ヤキモチ
「じゃあローズ、俺が誰を好きなのかしっかりと教えるね」
カイルはニッコリと笑ってベッドの上で小さく怯えるローズを見下ろした。
「は、はい…」
不安そうに手を前で握りしめるローズの手を包むと
「俺は最初からずっと好きなのは君だよ…ハルジオンとの事は…まぁ良くて妹…悪くてライバルって思ってる」
「い、妹はわかりますが…ライバル?」
ローズが首を傾げた。
「うん、だってすぐに俺のローズを取るからね。可愛い可愛いって抱きつくし…」
「だ、だってハルジオンは女の子ですよ!しかも小さくて本当に可愛いですし…カイル様もそうかと…」
「確かにハルジオンは可愛いのかもしれないけど俺の目には君しか見えないよ」
下を向くローズをそっと上向かせる。
「じゃ…じゃあ最近ずっと二人で出かけたりするのは…」
「あ、あれは…」
カイルがきまり悪そうに目を逸らした。
「やっぱり…」
ローズがしゅんとすると…
「ああ!ローズにそんな顔をさせたかったんじゃ無いのに…仕方ない…本当はもう少し後で言おうと思ってたんだけど…」
カイルは苦笑すると
「ローズ…今度俺とデートしてくれない?」
「えっ?デート?」
「ああ」
「お出かけなら毎朝行ってますよ…」
「あれはお仕事!デートじゃない。二人で町中を歩いて美味しいもの食べて何処かに遠乗りにでも行こうよ」
「で、ですが日課の警備もあるし…」
「それを町の男達に頼みに行ってくれてたんだ、それでハルジオンと何度か町に…顔がニヤけていたのは…ローズの事を考えてたからだよ…」
カイルは恥ずかしそうに口元を手で隠す。
ローズがカイルの顔を見ると指の隙間からカイルの赤くなる顔が見えた。
「そ、そうなんだ…」
ローズはスっと力が抜けた…そうすると猛烈に恥ずかしさが込み上げてきた!
「うーーーー!」
顔を隠してベッドにうずくまる。
「どうしたの?」
カイルがニコニコと笑いながらローズの顔を覗き込もうと布団を剥がしていく。
「恥ずかしくてカイル様に顔向けできません!」
「駄目、その顔見せて」
カイルはローズを布団の中から引きずり出すとその顔を真正面から見つめる。
「なんでそんなにニコニコしてるんですか…呆れてますか…」
「ううん、凄く嬉しくて今すぐ君を抱きしめたい、でもそうするとその可愛い顔が見れなくなるから我慢してる」
「う、嬉しい?」
「だってローズ…それってやきもちだろ?」
「うっ…」
図星をつかれてローズは目を逸らした。
「ローズが俺にやきもちなんてそんな嬉しい事は無いね、ハルジオンには感謝しないと…」
「そんなの…」
ローズがボソッとつぶやくと
「ん?なぁに?」
カイルが甘く囁く。
「そんなのいつもしてます!だってカイル様女性にも男性にもいつも優しくて好かれてるから!」
ローズの必死な様子にカイルは胸が熱くなる…
「そんな可愛い事を言ってどういうつもり?この後の仕事どころじゃなくなるよ…」
カイルはそう言いながら熱っぽい瞳でローズを見つめながらゆっくりと押し倒した。
「カイル様だって…お仕事行かせませんから…」
ローズは精一杯の気持ちでそう答えるとカイルの手を握り返した。
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