第302話 不安
「ローズ!どうしたんだ!」
カイル様はそんなローズ様の表情を見逃さずにローズ様の手を掴んだ。
「カ、カイル様…」
不安そうにカイルを見つめると…
「ローズ様…大丈夫ですか?気分が悪いなら部屋で休みましょう!すぐに何か温かいものでも入れてきます!」
私は慌てて厨房に向かおうとすると…
「だ、大丈夫!ハルジオン…ありがとう私は大丈夫だから」
ローズ様が笑うと
「全然大丈夫って顔じゃない!ローズごめん」
カイル様はローズを抱き上げるとそのまま歩き出して部屋へと連れていく。
私は急いで先に行き扉を開くとカイル様はローズ様をベッドに寝かせた。
「今日はもう休むんだ!」
「大丈夫だから…」
「そんな不安そうな顔で大丈夫と言われても納得出来ないよ…それとも俺ではその不安を取り除く事は出来ないのかい?」
カイル様はローズ様の手をそっと握りしめるとその手を愛おしいそうにそっと口で触れた。
「ち、違うの駄目なのは私で、私こういうことに慣れてないから…カイル様を呆れさせちゃったかなって…」
「はっ?そんな事思うわけないよ!ローズの反応はどれも可愛らしいよ…恥ずかしがって目を逸らすところなんて…特に…」
そう言ってじっとローズの瞳を見つめる。
ローズ様は耐えられなくなり目を逸らすと私とバッチリ目が合ってしまった!
「ハ、ハルジオン…」
ローズ様は今度は私と目を逸らした…それも不安そうに…
その顔に私はショックを受ける!
いつも優しく笑ってくれるローズ様が…は、初めて目を逸らされた…
「ロ、ローズ様ー!私何か至らないところがありましたでしょうか!?どうしよう…ローズ様に嫌われたら…私…私…」
目に涙が溜まっていく。
「ハルジオン!違うの!嫌いになんてならないわ!むしろ私がハルジオンみたいに可愛くなりたい…」
「「はっ?」」
思わずカイル様と首を傾げる。
「ローズ様はそのままで素敵です」
「うん、なんでハルジオンに?」
カイル様もわけがわからず戸惑っている。
「だ、だって…カイル様最近ハルジオンと仲良くて…凄く楽しそう…二人で話してる時の顔が…特に…」
ローズ様の悲しそうな顔に思わず二人で顔を合わせた…
「ローズ様…」
「ま、待ってハルジオン!」
私が本当の事を言おうとするとカイル様が止めた。
「ここは俺が自分で説明するよ…」
苦笑してローズの手を強く握った。
「そうですね…それがいいと思います。では私は仕事がありますのでお二人でごゆっくり…しばらくこの部屋には誰も近づかせませんから」
私はそう言って頭を下げると…
「あっ!ローズ様一つだけ!」
「な、なに?」
ローズ様がビクッと肩を揺らす。
私はローズ様の近くに寄って耳元で呟いた…
「私は…カイル様は素敵だと思いますが…兄のようとしか思えません…私がやはりお慕いしているのは…クリス様です」
「ハルジオン…」
「お二人を見ててそう思えるようになりました!ありがとうございます!では…」
私は笑って二人に頭を下げると部屋を出ていった。
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