貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

第101話畏怖

ローズは最後の相手に剣を構えると相手が打ち込んできた！

それを軽くいなしていると相手がどんどん本気になっていく…

(クッ…重い)

一打一打が重く腕にズシンと衝撃が蓄積されていく…

「あっ…」

一瞬隙が出来ると…

「今だ！」

兵士が思いっきりローズに一撃を繰り出した！

ローズはいなす時間が無く剣でガードするが衝撃に耐えきれず後ろに吹っ飛ばされてしまった！

「あっ！やべぇ！」

つい力が入ってしまった兵士はまずいと思い近づいて行く。

先程まで打ち合いをしていた小柄な男は見事ひっくり返り意識を失っていた…。

「やっちまった…」

しまったと頭をかいていると

「何してるんだよ！」

さっきまで打ち合っていた兵士達が心配そうに集まってきた。

「お前手加減するって最後本気になってただろ！」

「いや…打ってると強くてなぁ…つい力が入っていって…」

「気持ちはわかるが…どうするんだよ気を失しなってるじゃねぇか」

兵士達は男に声をかける。

「おい！新人大丈夫か？」

顔にかかった髪をどかして顔を覗くと…

「お、おい…こいつ…男の癖にいやに可愛くないか？」

気を失って目をつぶっている新人の顔をじっと見つめる。

「本当だ…女みたいな綺麗な顔してるな…」

「な、何言ってるんだよこいつは男だろ？女があんなに強いもんかよ…馬鹿なこと言ってないで運ぶぞ」

そう言って抱きあげようとすると

「か、軽っ！」

持ち上げると思っていた以上に軽くて驚く。

「な、なんかいい匂いがするんだが…」

とりあえず端のベンチに寝かせるとみんなで囲む…起きる気配のない新人に

「お、おい…大丈夫か？」

声をかける…

「これ…医務室に運んだ方がいいかな？」

誰かが言うと…

「「「「「「なら俺が！」」」」」」

自分が運ぶとみんなが手を上げる！

「俺が気を失わせたから俺が運ぶよ」

最後に手合わせをした兵士がまっさきに言うと

「倒された奴になんか運ばれたくないだろ！ここは最初に手合わせした俺が…」

「いや！お前らはもう手合わせしたんだからまだやってない俺が行くよ！」

誰が新人を運ぶか揉めていると…

「なんの騒ぎだ！」

衝立の向こうから王子とカイルとスチュアートが顔を出した…。

「あっ！王子！スチュアートさんにカイルも…」

みんなが場所を開けると

「いや、新人と剣を交えていたらやりすぎて気を失ってしまって…」

「新人？」

ロイとカイルが近づくと気を失っているローズに気がついた…

「ロッ…！」

ローズと言いそうになりどうにか口を噤む！

「大丈夫か？」

カイルが駆け寄ると

「大丈夫ですよ、気を失っているだけですから」

兵士達が何をそんなに心配しているんだと笑っていると

「貴様らぁ…」

スチュアートさんの吐き出す様な震える声が兵士達の脊髄に響いた…