貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

第94話変化

木の中腹にローズ達はたどり着くと…

「わぁ！結構登りましたね！」

ローズが足場をギリギリに下を覗き込む。

「ローズ！」

カイルが思わずローズを抱き寄せると

「そんなギリギリに立ったら危ないだろ！落ちたらどうする！」

ギュッと抱きしめローズに注意する！

「す、すみません…」

ローズが謝ると

「もう大丈夫なので…」

そっとカイルの腕の中から逃れようとすると

「す、すまない！」

カイルが慌てて手を離す。

「心配だからあんまりはじに寄らないようにしてくれ…」

カイルが顔を逸らしながらローズにお願いする。

「すみませんでした。でもこのくらいの高さなら…落ちても大丈夫そうです！あそこを足場にあれに捕まって…うん！降りられそうですね」

ローズが笑って下を指さすと…

「ローズには心配は不要そうだな」

ロイが笑ってカイルの肩を叩いた。

「そうですね…」

カイルはガックリしながらロイとこれから登る木の確認に向かった…。

「ローズ？大丈夫か？」

バルトは一人離れるローズの肩に乗ると…頬が赤くなっているローズの顔を覗き込んだ。

「どうした？顔が赤いぞ」

「えっ！そ、そう？」

ローズがアワアワと頬を押さえると…

（カイル様…クリスとは違って男の人なんだなぁ…）

カイルのがっちりとした体に抱きしめられ内心ドキドキしていた。

少し休んで落ち着くと

「じゃあ登るぞ」

バルトが先を示すと

「一体どこまで登るんだ？」

ロイが聞くと

「どこって一番上だが？」

何を当たり前のことをと言わんばかりにバルトが呆れた顔でロイを見つめる。

「い、一番上…」

まだ見えない頂上にロイとカイルはガックリとすると…

「えー！一番上からみた景色最高でしょうね！バルト！早く行こう！」

ローズがソワソワと登りだした。

「枝が細くなってきてるから気をつけろ」

上に行くと足場も少なくなってきた、三人は気をつけながら登っていくと…

「あっ！見ろあの実だ！」

バルトが少し上になっている実を見つけてローズに叫ぶ！

「えっ！どこ、どこ！」

ローズが上を見るがローズのところからはちょうど見なかった。

「待ってろ！」

バルトは実を目掛けて軽快にトントンと登ると…

バキッ！

一際細い枝に乗った時に枝が折れる！

「バルト！」

「あっ！」

「バカ猫！」

ロイが落ちるバルトに手を伸ばす！

「あっ…ぶねぇ…大丈夫か？」

ロイは素手でバルトをキャッチした！

ロイはバルトを抱き寄せると…

「おい、どうした？どっか怪我したのか？」

動かないバルトを心配そうに見つめる。

「バルト！」

ローズが慌ててロイに駆け寄るとロイと一緒にバルトの怪我を確認する！

「だ、大丈夫だ…びっくりしただけだ」

バルトはローズ達の手から逃れると近くの枝に飛び移る。

「全く、案内役が落ちるなよ。急がなくていいからゆっくり進め」

ロイがバルトに声をかけた。