第82話追撃

「スチュアートさんに任せておけば大丈夫…私は大人しく部屋に戻る…」


ローズは自分に言い聞かせるように言うととぼとぼと屋敷の方に向かって行くと…ピクン…火薬の様な匂いが風に乗って臭ってきた…


「これは…バルト…」


ローズは嫌な予感に足を止めてスチュアートさんが消えた森を見つめる…


「スチュアートさん…バルト…大丈夫だよね…」


ローズはその場から足を動かせずにいると…


パーン…


遠くの方から乾いた銃声の音が響いた…


ローズは音が聞こえた瞬間、体が勝手に走り出した。



「馬さん!また乗せて!」


ローズは王子達と来た厩舎に向かうと馬に声をかける!


以前乗せてくれた白馬を見つけると置いてる鞍を乗せて小屋から出して跨った!


「バルト…無事でいてよ!」


ローズは馬の腹を蹴ると火薬の臭いを追いかけた!



「執拗い野郎共だな…」


バルトはハンター達を見つけるとローズ達から離すようにハンター達を引きつける。


チラッと姿を見せながら逃げていると


バーン!


ハンター達が銃を発砲してきた!


バルトはヒラっと避けると


(はん!そんな物が当たるか!)


バルトは挑発するようにフンッ!と鼻をあげてハンター達を見下ろす。


「あいつ…この前はかなり弱っていたはずなのに…」


「当たる気がしないぞ!なんだあの身のこなしは!」


「あんまり騒ぐと衛兵が来るぞ!さっさと捕まえてずらかるぞ!」


「わかっているが…すばしっこくて…」


ハンターがまたバルトに狙いを付けて引き金を引く!


パーン!


「ギャ!ギャ!」


バルトが笑いながら弾を避けた!


「あの糞猫が!」


ハンター達が苛立つと…


「おい…ここでは使いたくなかったがあれを出せ!」


おとこが声をかける。


「でも…大丈夫か?後で契約違反だと言われないか?」


「こんなところに俺達を招き入れてる時点であいつらも同罪だろ!」


「そ、そうだな!」


男達はどす黒い色の毒玉を取り出した!


「また毒か!」


バルトが距離を取ろうとすると…


ヒュンッ!


男の手にナイフが突き刺さった!


「うわっ!」


男が衝撃で毒玉を落とす。


「誰だ!」


ナイフが飛んできた方向をハンター達が睨みつけると…


「それはこちらのセリフです…ここが王宮内の庭園と知ったうえでハントをしているのですか?」


そこにはナイフを持ったスチュアートが立っていた…


(あいつ…)


バルトは木の上から様子を伺っていると…


「許可書はお持ちですか?それとも無断で?」


スチュアートが近づいてくと…


「クソッ!逃げるぞ!」


ハンター達はバルトを諦め逃げ出すように走り出す!


脇目も振らず走っていると…


「ここまで追い詰めたのに…仕切り直しだ!」


「おう!」


「糞が!」


「ん?あいつはどうした?」


声が聞こえない仲間にチラッと後ろを振り返ると


「逃がすわけ無いじゃ無いですか…」


スチュアートが顔色を変えずに凄い速さで追いかけて来ていた…片手には仲間がもう既にひとり捕まっていた…

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