義理の親
親に対して、隠していた趣味がばれたということは皆さんあるだろうか?。
俺は無いので分からないが、恐らく悪いことではないにしても恥ずかしさで顔が真っ赤になると思う。
それは義理の親だろうと、とても恥ずかしいものであり。
所謂オタク系の趣味を真面目な人間が隠していた。なんてこともあれば顔が真っ赤になる程度じゃ済まないだろう。
屋茶亭を案内し、真面目そうだしで場合によっては解説しないといけないというアルトの地獄には同情しかない。
「いらっしゃいませなのだ☆」
見た目が完全の堅物に対して、リリィはいつものノリを崩さずに挨拶をしている。
流石過ぎる。
「とりあえずお茶を頂こう。お勧めのを一杯頼む。」
「畏まり!」
アルトが顔面蒼白になっている。
「まああれだよな。ああいう堅物キャラって大体意外と良いものだってなるのがお約束と言うか。」
「お約束ではあるが現実でそうなるものなのかよ。」
カノンと軽く会話をしつつ、このままアルトを見続けるのもあれなので元いた席に戻ろうとする。
「あれ?アブラは?お手洗いにでも行ったか?」
「何か急用を思い出したから帰るって……。」
「急用を思い出したは、何か裏があるような感じもしますけどねー。」
「そこは放置していいだろ。多分何か大切なことがあるんだろう。」
先ほどと言い、カノンは何かを知っているのかもしれない。
「ちょっとカノン、話があるから一緒に外に出てくれないか?」
「ああ、分かった。」
2人で外に出る。
「それでなんだ……って言おうと思ったが、まあなんとなく言いたいことは分かる。」
「勘違いされたら困るから俺から言うが、お前は何を知っているんだ?」
「そうだな、ちょっとややこしいことになっているんだが」
「実は俺、最近野菜を中心とした食生活にしようと悩んでいるんだ?」
「は?」
カノンの謎すぎる発言に一瞬困惑したが、店の入り口からは見えないようにして店の入り口辺りに指を刺す。
そこからはアルトとバランドが出てくるのが見えた。
そういうことか。
つまりこのどちらか、または2人に聞かれたら不味い内容ということか。
「いいんじゃないか?俺は肉が好きだから肉を中心に食べたいが」
「でも肉を喰わないと筋肉がつかなくないか?」
「体とは食で出来ている。故に特定の何かを食べすぎるよりは、公平に食べるのが良いだろう。」
するといきなりバランドが会話に入ってきた。
「バランドさんはそうやって体を作ってきたんですか?」
そういいながらバランドの体を軽く見る。
初老のような見た目だが、服の上からでも見て分かる筋肉によって実年齢の予想は間違っている気もする。
「ああそうだ」
「おっとすまない、会話に参加しておいて悪いが急用があってな。これで失礼する。」
「会話に急に入ってすまなかったな。父は食事に何かと五月蠅いもので。」
「今は仕事中だ。」
「失礼しましたバランド殿。」
「良く分からんが頑張れよー。」
「ちなみにバランドさんは強いのか?」
「近衛騎士って言って城を護る騎士の中でもかなり強い騎士がつく役割を担っている」
「正直強さはピンキリだが、過去には第一騎士団の団長を務めた男だ。実際に戦ったことは無いが実力は高いだろう。」
「そういえばそろそろ大丈夫かな?」
「多分大丈夫だr───「やめてください!」
またしてもカノンが言おうとしたことがさえぎられる。
「って!なんかやばいことなってないか!」
「凌辱か誘拐か……どちらにせよ助けに行くべきではあるが」
「あっちの方向はアルトとバランドが向かったわけだし問題なくないか?」
「確かに。頭いいな。」
「だろ?」
「冗談だ。」
「酷い。」
「まあそれはさておいて、今問題になっているのは聖───「離してください!」
またしてもさえぎられる。こいつはそういう星の下にでも生まれたのか。
「流石におかしくないか?」
「おかしい、腐っても元騎士団長の近衛騎士と現役騎士団長だ」
「もし接敵したのならば殆ど負けないだろうし、もし負けるにしても瞬殺なんてありえない。」
「となるとそもそも近くにいない」
「急用って言ってたし、もしかしたら走って遠くに行ったのかもしれない!助けに行くか!」
「いや……違うか。」
「は?なんだ速く助けに行かないとやばいだろ!」
「これはお前は行かない方がいい。ア
「は?何を言っているんだ!」
何か知っているようだが仕方ない。
「先に行くぞ!」
強化魔術をより強くし、全力で駆け抜ける。
「おい!馬鹿!待て!」
後ろで俺を静止するカノンの声が聞こえるが無視して進む。
「やめてください!離してください!」
「抵抗はやめてください。お互いに損をするだけですから。」
数秒後に声のする場所へつく。
そこには先ほどお茶をしようとした少女が、男たちに拘束されようとして抵抗していた。
いや、男というイメージが大きいが男と断言するのは早計だ。
そいつらは甲冑を着ている。
あの甲冑は騎士の物だ。
普通の騎士は国から支給された甲冑を着ることが義務であり、国から支給された甲冑を真似て作ったり騎士以外がそのその甲冑をつけることは厳しく罰せられている。
前にアルトに会いに行ったときにちらっと見た程度だが、恐らくあれは騎士の甲冑だろう。
ようするにこいつらは騎士という立場を利用して私利私欲のために動いているのか……。
アリシャにお願いして通報してもらいつつ、俺はこいつらの邪魔をするか……と思いつつ通信の魔具を取るがそこで気づく。
バランドとアルトがその姿を静観していることに。
「は!?どういう状況なんだ!」
混乱した。
「リーシェ……まさか聞こえていたのか……!」
アルトが驚いたような顔をしている。
「だから少し傷ついてでも早く拘束しろと言ったんだ!」
「し……しかし、もし何かあった場合には我々の首が飛んでしまいます。」
「何かがあるわけなかろう。力を使わなければ非力な女だぞ。」
「すみません。ちょっと状況分からないんで説明してもらっていいですかね……!」
バランドが騎士へ命令をしている。
「リーシェさん!来ないでください!」
「関わらない方がいいぞ。栄誉ありし一般市民よ。」
「来るなも関わるかもありませんよ!説明なしに一般市民を攫おうとしている状態で完全放置なんてできるわけがありません!」
「いや、彼女はただの一般市民ではない。」
確かに。貧乳や少しある程度が基本の世界で胸の大きい彼女はただの一般市民ではないか。
「確かに、この胸の大きさはただの一般市民ではないですね。」
「馬鹿!そういう意味ではない。」
どうやら考えていたことが口に出てしまったようだ。
「彼女はアグラ・クラスティ、この国の聖女だ」
「そう簡単に護衛もつけずに歩かれては困るんだ!」
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