お茶をしましょう
助けを求めているのに逢引をしたいというのは色々と謎だが、まあここは信じるしかないか。
「分かりましたが、自分はあまりお茶屋に詳しくありませんよ?」
「大丈夫です!護衛の方が通っていたというお茶屋さんがあるので、そこでお茶をしたいと思います。」
「じゃあ友人に連絡を入れるんで、少し待ってくださいね。」
「あら、もしかしてご友人とお約束をされていたりしました?」
「そうですが……まあ人助けのためなので問題は無いでしょう。」
「すまん。ちょっと困ってる人を助けるために今日はいけそうにない。」
そうアリシャに伝え、俺はアグラと名乗る女性と共にお茶屋へと向かった。
「ここが護衛の方が通っているという屋茶亭という店です!」
なんてこの世界は狭いんだ。
シュトロハイドの大きさってめちゃくちゃ広いはずなんだが、どうなってるんだこの世の中は。
「さて入りましょう!とても気分が高まりますね!」
「いやちょっと待ってくれ!今入ると大変なことに──ああ終わった……」
止めるのが遅かったため、とても怪しく胸の大きい女性と同性愛者(正確には中身が男なだけだが)が一緒に入るという状態になった。
これは浮気と誤解される奴なのではないだろうか。
「いらっしゃいませなのだ☆ただ、店の中ではそのような風は脱いで欲しいものなのだ☆」
「ごめんリリィ、ちょっと事情があって彼女はこの状態じゃないといけないんだ。」
「うーん。ちょっと訳ありで店に入れると厄介事を持ち込むような人間なのかもしれないなっ。」
このくそ怪しい状態で店に入るのは無理だったのか。
「まあ問題は無いだろう!去る者は追わず、来る者は拒まず。それがこの店屋茶亭の基本ナリ!」
「初めて聞いたぞそんなこと!」
「いつもの感じでいいぞ!」
「リーシェ、これはどういうことかな?」
普段通りにヤジが飛んでいる。
この乗りこそが屋茶亭の日常なの……あれ?ちょっと脳が認識を拒否しているんだけど不味い現実が起きてないか?。
「いや違うんだアリシャ、これは本当に人助けなんだ。」
「女性と……しかも胸の大きい女性と一緒にお茶屋にくることのどこが人助けなの?」
「言っておくがアリシャ、俺は君ぐらいの大きさが一番好きだよ……。」
「リーシェ……。」
「いい話みたいになってるけど普通に最低のこと言ってるな。」
「ですね。」
流石に
ちなみにアグラはアブラという偽名を伝えたいた。
「へー、アブラさんって逢引するのが夢だったんですね。」
「そうなんですよ!昔から物語にばかり読んでいて、現実の恋愛というものに疎いんですよ。」
「そこでリーシェに騙された……と。」
「騙されたとは失礼だな。」
そうやって女子4人(ではない)でガールズトークを……ガールズトークをするんじゃない!しっかりしろ俺!。
「すまない。ちょっと外で頭冷やしてくる。」
「大丈夫ですか?」
「ああ大丈夫だ。ちょっとした心的外傷が再発してな。」
「大丈夫じゃないやつじゃないですか!」
「ああちょうどいいやリーシェ、女子に囲まれてても話しにくい一緒に行くよ。」
「いや、別に1人で大丈夫だ。」
「いいから一緒に外に出ろ。」
そう小声で言われたので、しぶしぶ一緒に外に出ることとなった。
「あの二人って出来ているんですか!?」
なんて言うとても失礼なアグラの声が聞こえた気もするが、あまり気にしないでおきたい。
「言っておくがトラウマなことに違いはないが、言うほど問題は無いぞ」
「ちょっと頭を壁にぶつけて冷静になりたかっただけだ。」
「それは冷静になると言ってよいのか分からないがな」
「と言うよりお前のトラウマなんて正直どうでも良い、問題はそこじゃないからな。」
「なんか普通に傷つくぞ。」
「男同士なんてそんなもんだ、それより問題はな」
「お前はあの女とどこで出会ったんだ?」
「え?あいつは普通に路地裏で少女漫画ばりの衝突をしてだな。」
「もしかして助けを求められたりしたか!?」
カノンが少し焦って質問している。
これはもしかしたらこいつは何か知っているのかもしれない……が、ここは一旦正直に話しておく。
「ああそうだ。」
するとカノンは微妙に読みにくい表情となった。
「ああそうか。なら良かった。」
「良かったとは一体なんだ。」
「えーっとな、説明するとややk……何もない。」
「は?」
するとカノンは小さく指を刺した。
指を刺した方向を見ると、そこには男と女がいた。
片方はアルト・プリュスタン。
第三騎士団団長であり、柔の剣と聖魔術を使う強者でもあり、少女性愛でもある15歳の女性。
もう片方は見慣れない顔だ。
年齢は50はあるだろう。身長190はあろうという巨体に、歳の割には鍛えている筋肉。
隻眼で眼帯をつけておりその上スキンヘッド威圧感が凄い。
しかしよく見ると、アルトは怯えた表情でこちらに向かってきている。
これはもしや何か危ないことが起こっているのかもしれない。
「やあアルト。この辺で会うのは珍しいな。」
そういってアルトに話しかける。
「ああああリーシェ、ここでであううのも久しぶりだな。」
「知り合いか?」
隻眼の男がアルトへ話かける。
これはあれだな、完全にテロリストとかが脅して一緒に行動しているやつ。
「リーシェ多分勘違いしていると思うから説明しとくと、こいつはバランド・プリュスタン。アルトの父親だ。」
カノンが俺の勘違いを訂正してくれる。
「あ、どうも。リーシェと申します。いつもアルトにはお世話になっています。」
しかし似てないな。
性別が違う上に隻眼&スキンヘッドとはいえ、あまり親子には見えないが。
「ちなみに義理の親子だ。」
通りで似ていないわけだ……が、前にもこんなことがあったりもするがこうズバズバと秘密を言ってよいものだろうか?。
「バランド・プリュスタンだ。いつも娘がお世話になっている。」
「ちなみにお2人は何をなされているんですか?」
それはそれとして怯え方が異常だ。一体どんなことが起きているんだ。
「アルトがいつも通っているという、屋茶亭という店に行きたいと私が言いまして……それで案内してもらっているわけですよ。」
なるほど、父親相手にこれはかなりの地獄だな。
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