二人目の□□


 その後2日間俺は頑張った。

 頑張って死ぬぎりぎりまで魔力を使って商売を続けた。


 その時に来た、印象に残っている客を紹介していこうと思う。




 まずは1日目の1番最初に来た、要するにこの店初めての客。

 身長190はあるんじゃないかという高い身長に凄い筋肉、金髪のそこそこ長い髪をポニーテイルの形で結んだ男。

 どこかで見たことのあるような見た目だ。


 

「君がここの店の主か。」

 そう重い声で話しかけられる。



「そうです。魔剣についての説明は必要ありますか?」

 後の方では並んでいるうちに紙を渡して呼んでもらっていたが、このタイミングでは仕方ない。



「問題ない。ではこの短剣に火球の付与をお願いしよう。」

 そういって短剣をこちらに渡してきた。

 

 うん。これ中々に凄い短剣なんじゃないか。

 まず彫刻が凄い。彫刻なんて飾りで実用性には関係が無く、場合によっては邪魔にすらなる成金専用のものだと思っていた。

 

 しかしこの短剣は凄い。本物の金か金箔なのかは不明だが、グリップと柄の部分が金で出来ておりそこに上品で小さめの彫刻が掘られている。


 そして小さい彫刻ってのは少しで壊れるわけで、それが壊れていないということはほんの少しのミスすらしない”強者の証”でもある。

 もちろんただの成金かもしれないので断言はできない。


 刀身は綺麗に作られており、触った感じはオリハルコンだろうか。

 オリハルコンは加工が難しく主に大きな武器にしか使われない。


 そんな凄い武器を持っている=こいつは凄いやつ。なんだろうなぁと思いながら俺はエンチャントの魔術を使用した。



 初めての客ということもあって緊張していたが、一発で成功してなんとか一安心。



「これはお礼だ。これからもよろしく頼むよ。」

 そういって金貨300枚ほどを俺に渡した。驚いたがとてもありがたい。

 

 ちなみに計算効果のある魔術袋には、具体的な金額を選択肢してその金額を出すという機能が備わっている(それをそのまま移動して支払いをする)。




 次はとても怖いお兄さんだ。

 2日目の初めの方にきた3人組。

 とってもヤの者とかそんな感じではなく、護衛的な意味の怖さを持つお兄さん。



「どうぞこちらに。」

 実はその怖いお兄さんは客ではなく、ほんとうにただの護衛のようだ。


「よろしくお願いします。」

 そういって入ってきた女性はフードを深く被っており、声と大きめの胸から女性と分かること以外は情報が少なかった。

 この世界は女性も戦場に出るために邪魔な乳が無くなるように進化したのか、全体的に胸が小さい傾向にある。

 少しある程度がデフォの世界で、林檎並の大きさで巨乳と言われる世界だ。

 

 そんな世界で、服の上からでも綺麗な形になる大きさを持つこの女性は異端と言っても過言ではないだろう。


 そんなセクハラまがいのことを考えてると


頭巾ずきんを被ったままでは失礼でしょう。」

 そういってフードを脱いだ。

 金髪の短髪に整った顔立に、エメラルドグリーンの瞳。


 俺の身バレ防止のために部屋の中は暗くしているために多少脳内補正があると思うから、実際はもう少し暗い色かもしれない。



「では魔術を付与する武器をお出しください……。」

 2日目からはボイスチェンジの魔具を使用していないため、極力低い声で話す。


「ではこちらにお願いします。」

 そういって渡されたのは短剣。

 

 怖い人がとても怖くて緊張したが、何とか成功して報酬を受け取った。



「どうかこのことは内密にお願いします……。」

 そういって俺に金貨300枚を渡してきた。

 顔を隠している点や、護衛を付けている点からも有名な人間なのだろうか?。 




 そしてその数人後に来たのが最後の特徴的な人間。

 身長180はあるだろうが、服の上からでもわかるがりがりと珍しい男。


 この世界でお金を持っているのは魔術師(魔術の邪魔にならない程度に適度に鍛えている)と商人(鍛えはしないが、お金はあるので食べるのには困らない)が基本なため、見て分かる貧弱体質のこの男はお金を大丈夫なのか?もしかしたら強盗か?と思ったりした。



「では愚物よ。これに付与を頼もう。」

 初対面の人に愚物とは一体何さまなんだ。

 そう思いつつも、魔術収納袋から取り出した大剣を受け取ろうとすると。


「すまないがこちらも分の頼む。料金はきちんと払うから問題は無いはずだ。」

 そういって片手剣、戦斧、ナイフを取り出しておいた



 ああ、これは所謂技術を盗みに来ましたってやつか。

 非常に堂々としてびっくりした。



 そんなことで即売会が終了し、後日学園長のコネで最大規模の競売会に出品することが可能となった。

 あの繁盛の仕方を考えれば、正直コネなしでもいけたきはするが己の力を過信するのは良くない、



「そして今回の目玉商品はこちら~!」

 のんびりと客目線で参加していた(特に買うものは無かったが)ら、ついに俺達の番となった。



「先日。即売会にて噂となった”後付けでの人造魔剣”」

「その作り方を教えてもらう権利が売られています!」

 正直権利とかで売れるかは心配だったが、そこは大丈夫だった。

 できれば金貨1万枚は言ってほしいところだが……!。



「値段は金貨五千枚からの開始となります!でははじめ!」

 司会の一言により開始される。基本的には参加者に配られた特殊な魔具によって現在表示されている値段より金を出せる!って人が反応する。

 増やせる単位は100枚で、細かい金額や大きすぎる金額の場合は自分の番号と共に声を上げて宣言をする必要がある。


 故に大声で大金を出すことによって、一気に他の参加者に対して威圧感を出すことも可能となる。



「金貨十万枚だ!」

 

「こっちは金貨二十万枚だ!」


「ならば金貨三十万枚だ!」




 うん。なんか出されてる桁がおかしくないですかね?。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る