人造魔剣を作る商売
人造魔剣を作るためにあれやこれやとして8日。ようやく実用的な形にすることができた。
術式は魔力を直接流し込み、2秒経過したら発動するという形に。
発動回数は5回。威力は武器次第。
短剣で普通の火炎球より少し少ない程度、普通の片手剣は火炎球よりちょっと強いぐらい、両手剣ならば火炎槍よりちょっと下がる程度の威力はある。
そもそも両手剣は剣身で攻撃を受けることもあるだろうから剣身全体に描いてよいならもっと威力は上がるだろう。
値段は1回につき金貨50枚(金貨=大体1万円)。
5回制で金貨50枚って高く無いか?と思ったが、冒険者は儲かるから問題は無いのか?
魔術一回で金貨10枚だから、そこそこ稼いでる人間からしたらありがたいのかな?。
「朝から夜までやっていて、大体10時間ぐらいで3日の間開催しています」
「付与速度は見た感じ30秒。受付や相談込みで多めに見積もっても依頼1回につき5分程度でしょう」
「なので理論上は1時間に金貨600枚。1日で6000枚。」
「理論上は二日で達成可能……と。」
「流石に机上論な気もするけどな。合計で200人も客は来るか?」
「ちょっと厳しいですねー。」
「ある程度話題になれば、今街にいる特級、一級冒険者はほぼ来ると言っても過言ではないでしょう」
「これで大体二十人前後かな……ちょっと観測的希望があるけど。」
「そして話題になれば技術を盗もうとする下級貴族や、面白い物見たさで来る上級貴族も来るでしょう」
「技術を盗みに来るのであれば、恐らく複数回来るでしょう。」
「冒険者の人でも二級冒険者でお金を持っている人や、獲物的に複数回くる人もいると思うよ……。」
「まあ合計で100人前後。これが最低でも来る客でしょうね。」
「足りないじゃん!」
国からもらった金貨1万枚の袋込でも足りない。
「違うんですよリーシェさん。商売ってのはお金を作るものです」
「そこまで来れば、あなたは数日で金貨1万枚を作りだした魔術の使い手という扱いになるんですよ。」
「具体的な数字ってわかるのか。」
「そこは噂を流すんですよ。あの繁盛している店はこの期間で金貨1万枚の売り上げをだしたぞ!と。」
「そもそもそんな上手い具合に客が来るのか?」
「一応私も冒険者組合で宣伝はするけど……上手い具合に噂になるかは分からない。」
「まあサクラでも何でも使って噂を流せば問題ないでしょう」
「そして即売会最終日に競売をするんですよ!この人造魔剣の作り方を誰か1人に対して教えますよ!と。」
「なるほど!そりゃ下級貴族は喉から手が出るほど欲しいわけだ。」
「価値とは作りだすものです。この3日間で一気に爆発的な話題を作り、その話題性によって売り出すのです!」
「ちょっと難しくて所々分からないけど……そんな上手く行くものなの?」
「まあ急ぎのことではないからな。ここである程度の噂になれば来年の即売会で売れるだろう。」
「場合によっては学園長に頼んで、王様に売るっての選択にありますからね。」
「そういえば……魔術って回路を理解してないとだめだけど、売ったところで他の魔術師に使えるの?」
「違うなアリシャ。あくまで俺は”術式と作り方を教える”ことを売るようにすれば、買った相手が使えるかは別だ!」
「そうですそうです!あくまで使えるようにするなんて言わなければ問題は無いんです!」
「凄い問題になりそう……。」
「となるとある程度素性を隠す方法が欲しいですよね。後ろ盾は上級貴族の力で強引になんとかなるとは思いますが。」
「なんか適当に顔を隠せるような仮面を買ってそれを付けるか。」
「では学園長にお願いしていた場所の下見ついでに、この後仮面でも探しに行きますか!」
「と言うより、三人だけで店は回るのかな?」
「魔術の使用は俺で、案内人は誰かを雇うことにした方が早いか。」
「私達は並ぶ列を作るのが主なので、列の整理とかは慣れてないですねー。」
「私も微妙かな……。」
「そこで金をケチっていても意味が無いし、学園長に誰か雇えるかどうか依頼しておこう。」
「それなら、人造魔剣の説明とかも紙にまとめませんか?」
「良い提案だ!」
「じゃあ料金、術の内容はどれが良いか、できれば宣伝もしてくれるとありがたいってのを書いておくか。」
「できれば宣伝をしてほしいって書くとあんまり広がらないと思うんで、同情を誘う感じにしておきましょう」
「この即売会で売れなかったら一家路頭に迷うとかで。」
「これで本当に大丈夫なのかなぁ……。」
「安心してください!商売のことに関しては昔凄く勉強しましたから!」
「詐欺じゃないからな!多分なんとかなるだろうし、最悪即売会が終わった後でも少しづつやっていけば売れる!」
そうして準備を重ね即売会当日。
俺は魔力切れで倒れかけていた。
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