人造魔剣の試行錯誤
「そんな理由で大金を稼ごうとしたんですか……。」
理由を説明してクリームにドン引きされている。
「まあ話を聞け。魔術師というのは子孫が大事というのは分かるな?。」
「そうですね。」
魔力の大きさというのは、大きく分けて3つの要素で変わってくる。
1つは遺伝。魔力の多い人間の子供は魔力が多い傾向になりやすい。
ただしこれはなりやすいだけで、親が最高レベルの魔力を持っていても平均より少ない魔力を持つ子供が生まれることもあるし、逆に平均的な魔力を持っている人間から多い魔力を持って生まれる子供もいる。
この辺は上限値と最低値の違いというのが、地球での一般論だったか。
優秀な血筋(後A)ほどに上限値と最低値が高くなると言った感じだ。
最低値が高いために優秀な人材が生まれやすく、才能があるもの人間はより強くなる。
逆に普通の血筋(後B)の場合は上限値と最低値が低い。
しかしBの人間でも、才能の無いAの人間よりは凄い子供を産める可能性もある。
Aから生まれる才能が10から20とすれば、Bから生まれる才能は5から15の範囲。
故にAの才能の無い人間は10でBの才能のある人間は15.
そのため、血筋が良い=確実に才能のある人間が生まれてくるとは限らない。
とはいえ、最低限でもそこそこ才能のある人材が生まれてくるので血筋は大事だ。
1つは育った環境。
例えば自然の魔素(空中の魔力濃度)が濃い環境で育てばその分魔力が育つし、逆に魔素が薄い環境で育てば魔力は育ちにくい。
故に魔素の薄い地球では、強化魔術しか使えないような人間が殆どだった。
逆に魔素の濃いこの世界では、お金の関係で魔術を使えないような人間が強化魔術しか使わないが”強化魔術しか使えないほどに魔力が低い”人間は存在しないと言っても過言ではないだろう。
地球では魔法と言われる魔術では再現不可能な高火力の一撃すらも、魔力量の関係でこの世界の大魔術より威力が高い程度だ。
まあそもそも地球の魔術・魔法は威力を重視していないために、一概に比べれるものではないけどな。
そして最後は幼少期の魔術使用。
多少誤差があれど、大よそ12歳までは魔力を使えば使うほどに最大魔力量が成長する。
その後も20歳までは多少伸びるため、一応俺は特訓を続けている。
しかしこの世界では”子供のころに魔術を学べば最大魔力量が増える”程度の認識であり、恐らく魔力を枯渇するまで使いきるなんて特訓は殆どしないだろう。
故に赤子の頃から魔術を使用していた俺はかなりのブーストがかかっている……はずなのだが、元の才能の問題なのか現在は割と凄い程度の魔力量だ。
特にこの世界での血筋というのは魔力量の継承以外にも大事な役割が存在しており、血筋をとだえる=貴族は没落とまでなる(地球では才能のある養子でも問題は無かった)。
それが血統魔術。特定の血を引く人間にしか使用できないという特殊な魔術だ。
上級貴族では鋼鉄と氷結、そして光の一族が血統魔術を使うらしい。
更にいえば、一部の下級貴族も血統魔術持ちだ。
余談だが、血統魔術持ち同士は結婚できないらしい(子孫に適正が出たら大変だから)。
聞いた話では、昔に血統魔術持ちが恋愛をして仲を切り裂かれたなんて悲しい話もあるそうだ。
俺もリーシェも血統魔術自体は無いにしろ魔力量はかなり高い部類だと思う。
故にできれば子孫を残したいし、場合によっては子孫を残せないとそのまま没落一直線となる。
最悪他の優秀な男に孕ませてもらうという手も無くはないが……脳が破壊されるしであくまで最終手段としておきたい。
「そんなわけで、きちんと妊娠もできるらしい部位性転換魔術が必要だったわけなんですよ。」
「そう考えると割とまともな考えに思えますね。」
「でも言い訳とか言ってたから……多分それはさっき思いついただけだとは思う……。」
「うん。」
「あっさり認めましたね。」
「まあ言い訳って言っちゃったしね」
「恋人とエッチなことをするためにお金を稼ぎたいのですがお手伝いしていただけませんかね……?。」
「愛するとエロいことをしたい。それは人間誰しもの欲求だと思いますよ。」
「って、ユイノさんまたこっちに来て!」
「すみませんお嬢様。どうやら面白い話をしているようで。」
「特に面白くないから。真面目な話してるから。」
「そうでしたか。失礼いたしました。」
「えーっと。雰囲気ぶち壊したけれどもそれでも手伝ってもらえませんかね?」
「いや別にいいんですけどね。正直何か凄い使い方をするんじゃないかと思ってただけに驚いただけです。」
「そうだね……後継ぎ問題があるとはいえ、普通金貨二百万枚を出して部分性転換の魔術を学ぶとは思わなかった。」
「本当にありがとうございます……。」
「じゃあ気を取り直して人造魔剣作成頑張りましょう!」
あーあ、残念。
私好みの面白そうなシリアス展開になると思ったのにな。
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