10日で技術革命を起こすしかない!


「マジですか!?。」


「あれ……カノン特に何も考えて無かったの?。」


「ってきりカノン先輩のことなので……何か考えがあって残り日数については普及していないものかと。」

 なんだこの2人ふたりのカノンに対する信頼度の高さは。



「すまんリーシェ……最近忙しくて日数の感覚が狂ってた……後3週間ぐらいあるものかと。」


「気にするな。間違いは誰にだってある」

「というより日数の感覚がそこまで狂ってることに驚きだわ。」


「こっちにはインス……手軽に何日かを確認できるようなものが無いからな」

「ここ数ヶ月は割と忙しかったのがきつい。」


「こっちにはって、そもそも何日かを手軽に確認できる方法ってあります?。」


「ああ。昔メタリカ産で、手のひらサイズで今に日付を確認できるって言う魔具を持ってたんだけどな……いつの間にか無くしてしまった。」


「そんなのがあるのか?。」

 アリシャに小声で質問する。


「私は知らない……焦ってるし少し話としておかしいから……前に教えてもらったスマホ?って言う道具の機能のことじゃないかな……。」

 よく覚えてるな。それほどまでに未知の技術という物に好奇心を抱いていたのだろうが。



「じゃあいっそ、手軽に時間や日日を確認できるような魔具を作ったら売れるんじゃないか?。」


「貴族には売れるかもだが……一般人は魔具に金を払ってまで時間や日日を気にすることは無いだろう。」


「そもそも日数表がありますからね。カノン先輩みたいに確認する暇が無いほど忙しく無ければ日日を簡単に知る方法なんて必要ありませんよ。」


「と言うよりそんなに忙しいなら魔術学校休んだらいいんじゃないか?。」


「無理言って通ってるんだ……ここで休むと何を言われるか分からないから多少無理してでも通うしかない。」

 何か複雑な家庭事情が見えた気もするが深く聞くのは良くないだろう。近いうちは優しくしてやるか。



「とりあえずそんな忙しいなら生真面目に付き合わんでいいからさっさと帰って休んでおけ!。」

 あまり頭が回っていない様子だったしとりあえず帰らせる。



「十日間しかないのでしたら量産は難しいでしょうかね?。」


「金貨300枚稼ぐ分となると厳しいかな。」


「そもそも人造魔剣って特注品が多いから……既に作られた人造魔剣はあんまり売れないと思う。」


「結局1から作るしかないから後付けで出来ないしな。となると永続回路を使用した方法で人造魔剣を作るしかないか。」



 永続術式。本来術式は使用者が意識して作りだすものであり、意識する限りは魔術が発動しても術式自体は残る。

 逆に言えば意識を外せばすぐに破壊するため、玉座の間のような大切な場所には永続回路という特殊な術式が使われる。


 名の通り術式を壊されない限り持続させるという物となっている。

  


「ですが魔力で描いた術式だと術者本人以外だと発動できません。」


「永続回路外して剣に直接掘って術式を描く?。」


「後から武器に傷をつけるのは武器の使い勝手が変わるかもだし、耐久が下がるかもだしであんまり微妙かな。」


「そもそも愛武器に傷をつけられるわけで客も減るでしょう。あまり客を減らすようなのは良くないかと。」


「そもそも俺って手先あんまり器用じゃないから掘るのが難しいし、多分カノンも手先はあんまり器用じゃない」

「ちなみに2人ふたりはどうなの?。」


「不器用ってほどじゃないけど……あんまり器用じゃないかな。」


「私は細かいこと苦手なので無理ですね!。」


「専門の職人を呼ぶとか?。」


「魔術の理解が無いと、掘るにしても術式の構成は難しいと思う……魔術に精通していて手先の器用な人を探せる自信は無い。」


「そもそも魔術に精通しているならば別の道に進む必要がありませんからねー。彫り師なり加治屋にしても見つけるのはほぼ不可能でしょう。」


 

 

 1から人造魔剣を作ろうにしても人手も知識も技術も時間も足りなく、特注品が基本なので即売会には向かない。


 永続術式を利用して後付けでしようにも、魔力で作った術式は術者本人以外だと発動できない。


 掘るのは無理。


 と言うよりあいつは何故即売会で売るために人造魔剣と言ったんだ?。

 よくわからんが疲れてるっぽいし、無名からいきなり儲かるためにはそれが一番と思ったからとかかな?。


 魔剣はある意味一生モノの剣だ。

 故に値段も高くなり、利益も多くなるとカノンは思ったのか?。


 ・・・・・・いや待て、俺は何か間違っていないか?。


「待ってくれ……何か引っかかる。俺は何か変なこと言っていないか?。」


「いつも変なこと言ってると思う。」

「割と変なことを言ってると思いますね。」

 

「違う。そういう精神的攻撃をしてほしいって意味じゃないんだ」

「何か見落としている気がするんだよな……。」


「何か革命的魔術を思いついたけど忘れたとか?。」


「違う……もっと単純なことだと思う……。」

 

 何を忘れている?前世の知識は不思議なほどに覚えてるし、人造魔剣に応用できそうな魔術の技術も特にない。

 今の手持ちでは人造魔剣を作ることすら難しいし、簡単に新たなる発見ができるとは思わ……ああ、そうか。



「簡単なことじゃないか!」

「魔力を流し込んだら、事前に準備していた術が発動するようにすればいいんだ!。」


「どういうことですか?。」


「要するに魔力を流し込む。と言うのを条件として魔術を発動するように仕込むんだ。」


「言っていることが変わらない気がしますけど……。」


「要するに”魔力を込める”ことを発動条件にする、切り替え式と永続回路を入れた術式にするってこと?。」


「そういうことだ!だが切り替え式を無しでの回数制で作る。」


「連打可能な術式ですか?。」


「連打は出来ないが、数発撃って最後は術式自体の魔力を利用して魔術を発動!って言う回路を考えていたから、それを利用できると思う」

「あくまで術を使うのは俺で、人造魔剣の所有者は発動を促すだけで済む!」

「ということで試しに練習場に行くぞ!。」


「あんまり人に見られるような場所は良くないと思いますが。」


「今の三人だと貸し切りは難しそうかな……学園長に頼めば行けると思うけど。」


「学園長は今学校にいないから無理だな」

「まあどうしようもないし、多分見られても大丈夫だろうから練習場でやろう。」


 するとアリシャは少し悩んだ後

「……もし他の人に見られたら困るし……嫌だけど私の実家なら魔術の許可を取っている場所がある。そこでやろう。」

 と言った。


 

「じゃあアリシャには悪いがお言葉に甘えるとするか!。」

 地味に初のアリシャの実家か。結構楽しみだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る