金稼ぎ
時期は夏、日々魔術学校で魔術を習い、アリシャと魔術を研究する毎日を送っている。
ちなみにダンジョンに行くにはそこそこまとまった時間が必要であり、夏休み(正確には首都以外に住む下級貴族が帰省するための休み)になるまではダンジョンに行けないだろう。
そして年齢的には15歳を過ぎており魔力が成長する段階ではなくなっているものの、毎日寝る前には魔力放出で魔力をギリギリまで削って眠ることで魔力量の増強を狙っている。
眠るというよりは気絶している状態で、割と危ない行動な気もする。
とはいえ、成長期を過ぎてから身長が伸びるような人もいるんだ。努力して問題は無いだろう。
そんな俺は現在、風俗街(そういうお店が集まっている場所)で目的の店を探しながら歩いている。
言っておくが是は浮気をしにきたとか、働きに来たとかそういうわけでは無い。
探し始めてすぐに見つかった店へと入る。
「いらっしゃーい!って、お嬢さん何歳?」
入った直後に受付の女性に年齢を聞かれる。
まあ俺の見た目年齢は12歳前後ぐらいにしか見えないから仕方ない。
「ちょっと前に成人してるんで大丈夫ですよ。一応組合の証明書ならば見せれますよ。」
この世界では15歳で成人となる。
地味に身分証明証が少ないため、所謂ギルドカード的な物で身分を証明できるのは非常にありがたい。
「なるほど……確かに十五歳で成人済みだね!失礼失礼!」
「良く間違えられますし、間違えるのもわかる見た目なので大丈夫ですよ。」
「それは苦労してるね……今日はおすすめの嬢をつけてやるよ!。」
そう。ここは女性相手の同性愛専門風俗なのだ。
「すみませんちょっと違いまして。ここで使われている性転換魔術の術式を買い取らせていただきたいのですが……。」
更にいえば、ここは性転換魔術によって股間にバナナを生やすことが可能な風俗店なのだ。
魔術国家ハウンドの首都シュトロハイドでは、基本的に街中では魔術は使用できない。
使用すれば騎士が飛んできて、何に使ったか何故使ったかを聞かれ逮捕されるからだ。
しかしもちろん例外はある。
例外は5つあり、1つは仕方ない理由で魔術を使用した場合。
これは正当防衛だったり、前に起きたリリィ誘拐事件の時のような場合ならばあとからきちんと説明できれば問題が無い。
2つ目は強化魔術や生活魔術のような術式を展開しない魔術。
術式で感知しているため、根本的に術式展開をしないような魔術ならば問題は無い。
3つ目は特定の場所で魔術を使う。
これは学校の練習場や、貴族の持っている土地などのような”ここで魔術を使いますよ”と事前に国に申請して通った場所となる。
4つ目は特定の人物が使う。
近衛騎士や騎士団員のように、事前に魔術を使うことを許可された人物ならば街中での魔術を使用しても問題は無い。
もちろん無駄に使ったり、私利私欲のために使うのはNG。
そして5つ目は事前に国に申請している術式。
回復魔術だったり、性病防止&避妊魔術だったりのような危険性の無い魔術ならば、事前にこの術式は安全ですよ!と国に申請することによって誰でも街の中でも使えるようになる。
ちなみに性病防止&避妊の魔術は魔具で存在しているため、魔術が使えない人でも魔具さえ買えばお手軽に使うことができる。
今回教えてもらう性転換の魔術は
なお、勝手に改良を加えて使ったら申請しないといけなくちょっとめんどくさい。
「分かった。じゃあ金貨三万枚の袋ね(日本円で大体3億ちょっと)。」
「……たけぇ!」
持ってきた金額だと3分の1しか無い。
「そりゃそうよ。うちの秘伝魔術なわけよ」
「下手な値段で売ったら真似されてそのままうちが潰れてしまうからね。」
ごもっともな理由だが……ここまで高いとは思わなかった。
「そりゃそうですわ。失礼いたしました」
「出直して参ります……。」
「せっかくだしうちで遊んでいかない?いい胸の子が今暇してるよ?」
「残念ながら彼女持ちなんで浮気になるから遊びません。」
「そりゃ残念。でも硬派なのは嫌いじゃないよ?。」
ちょっと遊びたいと思ったのは内緒だ。
~後日・魔術学校の図書館にて~
「楽に金を稼ぐ方法ってありませんかね?。」
とても悲しいことを友人と後輩たちに聞く。
「体を売る。」
そんなことを言うのはカノン。俺の友人だ。
「まあ初心者用以外のダンジョンには行けないしな……。嫌だからやらないけどそれが一番早い気がする。」
「大丈夫……?買おうか?。」
そんなことを言うのはアリシャ。我が愛しの恋人だ。
「愛好会の人にお金が足りない~寄付してください~って言えば集まると思いますけどね。」
そういうのはクリーム。俺と同じ村出身の後輩だ。
流石に恋人とエッチなことをするためにお金を集めるなんて言えないし、嘘ついてまで集めるってのも申し訳ないから無しだ。
「じゃああれだな、即売会に参加して大儲けするしかないか。」
「即売会?なんじゃそれ?。」
同人誌を売るのか?。
「年にシュトロハイドで行われる……物を売ったりできるやつ。」
「所謂蚤の市とか……後はリーシェは本で読んだことあると思うが、フリマって感じだな。」
本で読んだことがある、ってのは前世の話という隠語だ。
「なるほどな。でも新参者がそんな儲けれるものでもないだろう?。」
「でも凄い物を売れば一気に儲けれるかも……即売会から商人になって一財産作るって人もそこまで珍しくはない。」
「基本古着とか場合によっては家具、後は手作りの魔具とかが売ってるな」
「一応食品関係を売れなくはないがちゃんと許可を取らないといけないからめんどくさいし、ぶっ飛んだ利益は出せないと思う。」
「そういえばリーシェさんってどれぐらいのお金が欲しいんですか?。」
地味に様からさんに格下げされてる気がするのは気のせいだろうか。
「ああ、大体金貨2万枚だな(約2億円)。」
値段を言った瞬間、3人が固まった。
「馬鹿なのか?。」
「もしかして……阿保?。」
「領主の家出身ですから……金銭感覚が狂っているだけですよ。」
そして3人からとても失礼なことを言われた。
まあ金額が金額だけに仕方ないんだけどさ。
「じゃああれだな。人造魔剣作るぐらいしかそれぐらい稼げないだろう。」
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