大技のデメリット


「おい!大丈夫か!」

「大丈夫!?」

 

 ぶっ倒れた後に目を覚ますと、そこには見慣れた2人ふたりがいた。



「ああ。大丈夫だ。」


「しかし驚いたぞ。いきなり倒れるものだからな。」


「そう……本当に大丈夫なの?。」


「ああ大丈夫だ。ちゃんと倒れた理由も分かってるしな。」


「「と言うと?」」


「魔力放出の欠点!」




「……そういうのは最初に言っとけよ!!!」


「ほんと心配したんだからね!」


「すみません。解除して解説するつもりが思ったより消費やばくてぶっ倒れました。」


「てか欠点が凄すぎてこれ使えなくないか?。」


「詳しくは数えてないけど……二十秒ぐらいかな?。」


「うむ。俺の魔力はかなり多い方らしいから、ぶっちゃけ実用性は死んでる。」


「リーシェって今日魔力使ったか?。」


「さっきの使った魔術と、体を鍛えている時以外には軽めに強化魔術をかけてるが……最大値の二分にぶも使ってないと思う」

「俺は出血しなければ魔力が足りないってことはあんまりないから、最終的な詰めの時に使うのならば……って感じだな。」


「ある意味リーシェ専用魔術だな。」


「そういえば悪用できるって言ってたけど……どんな感じにするの?。」


「それを言うのは良いが、契約魔術をかけさせてもらうぞ。」


「了解。」

「仕方ない……。」


「とりあえず”魔力放出自体のこと、魔力放出の効率的な使い方を他に話したらそのことが俺に伝わる”って契約で良いか?。」


「割と甘いな。」


「もし拷問をかけられたり、何かあった時に”命を取る”って感じだと不味いしな。」

 正直条件は甘すぎる気がする。

 これは俺がこいつらを信用したいって気持ちがあるのが原因だろうな。




「魔力を放出しきったら死亡するし、無くらなくても残りの魔力がほんの僅かになるとそのまま今みたいに倒れる」

「自分の魔力量がどれぐらい多いかは不明だが、昔に測った時は同年代に1人2人程度の魔力だった。」


「魔力は若い頃に使えば使うほど伸びる……から成長はしていると思う。伝説的なほどじゃないけど、普通に凄い魔力だと思うよ」

 大体13歳ぐらいまでは魔力は使えば使うほど成長する、。



「そうなんだ。俺並みの魔力ですら、場合によっては使えるぐらいだからな」

「まともに運用しようとすれば対して使えない魔術だ。」


「まともに使えば、か。」


「つまり悪用ならば使えると……。」


「そう。他人に使わせるんだ」

「俺が死なないで使える時間は20秒ぐらいだから、死ぬ前提でその辺の騎士に使わせれば10秒ぐらいは使えるだろう。」


「十秒間の間は超強化可能……って考えると割と凄そう?」


「割と外道な運用だけど、死ねと言ってるようなものだし信用的な意味でも総合的に見れば国的にはそこまでじゃないか?。」


「違うんだ、子供のころに魔力を使えば元の魔力が増えるんだ」

「別の国から孤児を連れてくるなりして育てて騎士にして、そのまま魔力放出を使わせるという方法も取れるんだ。」


「外道だが対費用効果的に微妙すぎる。」


「もっと孤児が多い国ならば割とありかもだけど……ハウンドは孤児が殆どいないからあんまり……。」


「まあうちの国ではあんまり使えないかもだが、他の国でも悪用されるわけだし」

「場合によっては騎士を特攻兵みたいなこともできるわけだし、俺に思い浮かばない戦法が作られるかもだしな。」


「敵の国にあえて情報を流して自滅させる。」


「特攻兵ってのはよくわからないけど……他国の捕虜に使わせて、別の国に突っ込ませた後に体内に爆発するようなの魔術を書き込んでおいてそのまま爆発させる。」


「それを味方の騎士でするのが特攻兵だな。」

 しかしこいつら割と酷いことを考えるな。



「そんなわけで今日のことは内密にな。俺は動けないしそのまま2人ふたりとも帰ってよいぞ。」


「じゃあ俺は帰るから。アリシャ、ちゃんと防音魔術はかけておくんだぞ。」


「抜かりはない。」


「あれ?ちょっとこのまま悪戯されちゃうやつだったりしませんよね?。」


「じゃあお2人ふたりさん、後はお楽しみに。」


「カノン君ー!?ちょっとー!助けてください―!。」


「いつもは攻められてばっかりだから……今日はこっちが攻めさせてもらう。」


「動けない相手にそんなことするのは卑怯だと思うんですけど!。」

 そんな言葉での抵抗はむなしく、俺はアリシャに襲われてしまった。 

 いや別にいいんだけどね。




~2ヵ月後・魔術学校の図書館にて~


「楽に金を稼ぐ方法を思いついてくれ!。」

 俺は友人2人と後輩に対して、とても最低なお願いをするのであった。

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