始まりの始まり
転生したらお嬢様になっていたのですわ
私の名前はリーシェ・シャーレイ。
前世では魔術師をしていたのですが、いつの間にか異世界という名の別の星に転生していましたの。
部分的な知識があるにも関わらず、何故か記憶が無いというよくわからない状態で転生いたしましたの。
そして私は今、学園長ことお師匠様に買っていただいたお高い服を着て、城の中でお化粧をしていただいていますの。
お嬢様っぽくすればよいと、友人であるカノンに言われましたのでそれっぽい感じにしますの。
「リーシェ?着心地はどうですか?」
そう聞いてくるのは私の師匠、リレート・リュリュリュ。
流水の二つ名を持つ、私の住んでいる国で一番強い魔術師と言われている人物ですの。
「そうですね……お師匠様に買って頂いたお服はとても良いものですが、私はいつも下賤の者が着るような服を着ておりまして……どうも慣れませんね。」
「お服って……。」
どうやら私のガバガバお嬢様語に突っ込みを入れたいご様子ですの。
「と言うよりお師匠……リーシェの口から師匠という言葉が出るとは……。」
何故か感動しておりますの。
別に私はお師匠様のことをお師匠様扱いはいつもしていると思いますの。
流石に脳内までこれは疲れるので戻すとして、実際この糞高そうな服は慣れない。
学園長とリーシェが選びに選び抜いた服で、白を基本としたお嬢様系の服。
上品で、スカートも凄いでかくて歩きにくいし、こんなの日常的につけている人は本当に尊敬するわ。
しかし俺の身長はあんまり高く無いから、合う服が無くオーダーメードで作ってもらったとか言う豪華っぷり。
値段は見なかったことにする。学園長が出してくれたから問題ない。
正直その金で剣や魔石とかを買ってくれた方が俺としては嬉しいのだが……流石にプレゼントに文句を言えるような太い神経はしていない。
そもそも今俺が使っている糞高い、特注の剣も学園長が買ってくれた物だしな。
強いて言うならもうちょっとカッコよい系の服の方が好みなのだが、流石に祝いの場でそんな攻めた服を着れるメンタルは持ち合わせていない。
「化粧を付けてもらっている間は暇でしょう?なので今日の計画でも軽く話しておきますね。」
お城の使用人さんに、俺の化粧をしてもらっているときにそんなことを言ってきた。
割と失礼なんじゃないかそれ。
「今日は私と騎士団長、副団長の計七人がそれっぽく並んでその後国王の補佐があなたを呼びます」
「その後あなたがそれっぽくなんか近づいて、国王がなんか言って、あなたがそれをそれっぽく受け答えて終わりですね。」
「全体的にふわっとしてる説明ですね!」
「申し訳ございません、化粧をしておりますのでしゃべらないでください。」
「あ。すみません。」
使用人さんに怒られてしまった。
「ぶっちゃけ適当でいいですよ」
「言葉遣いを気にしてましたが、バルバロスなんてため口交じりの即興敬語みたいな感じで国王と話していましたからね。」
割と父は知的な印象があったから意外だ。
領主になった後に勉強したのだろうか?。
「もちろん不敬過ぎる行いは駄目ですが……多少の間違いや言葉遣い程度ならうちの国王は許してくれますよ」
「なんせ私なんて毎回不敬なこと言ってますからね!」
そんなんで大丈夫なのかよ。
「そんな国王とか不敬とかどうでも良いことはさておいて。」
どう考えても最重要事項だろ!と突っ込みを入れたいが化粧中なので入れれない。もどかしい。
「どちらかと言えば、あなたは今回来る騎士団長に注目をした方が良いでしょう。」
騎士団長か。
確かこの前会ったアルトという美しい女性が第三騎士団の団長だったな。
「今の騎士団ははっきり言って異常です。」
え、なにそれ。
いきなり内部が腐ってるとかそんな感じの話なの?。
「リレート様。その言い方だと誤解を招くかと。」
使用人が指摘する。
「ああすみません。もちろんよい意味での異常ですよ。」
良い意味の異常とかあるのだろうか。
「騎士団長は合計で三人いるのですが……なんと三人中二人があなたと同年代の人物です。」
となると大体15歳前後か。
確かに軍隊のトップが15歳前後、しかも3人中2人は異常な事態だ。
「もちろんその二人は強さでのし上がった部類であり、異常な状態ではありますが問題が起きているわけではありません」
「ですがあなたを含めて千年生まれは天才が溢れている黄金世代なんです。」
天才と言われると照れるな。
「一人目は第一騎士団団長ことジェミニ・ソード。八歳という若さであの剣鬼シュドラに弟子入りし、十一歳で上級悪魔を単独で討伐。十三歳という異例の若さで騎士団長へと就任したという異例の人物です」
「戦闘方法は剣一本に、防御術式を組んだ剣士と言った感じです。」
つまりシンプルに強いということか。
「第三騎士団団長はアルト・プリュスタン。同年代に彼女以上の聖属性の使い手がいたために聖女とは呼ばれなかったですが、世にも珍しき聖属性を使う女騎士です。」
聖属性ってなんだ?幽霊とかアンデッドとかを退治できるのか?。
「戦闘方法は剣に聖属性を合わせた剣術が基本で、主に力を流す柔軟な剣を使う護りに強い魔術剣士と言った感じでしょう。」
ってかあの人俺と同じ年齢なのかよ。失礼だが20代前半に見えたぞ。
「純粋な剣士ではないという点ではあなたに近く、少し参考にしてみるのも良いと思いますね。」
今後あったら指導でもお願いするか。
「あとは今回は来ていませんが、既に働いていると言えばリーン・シャーベッド……当代の氷結の魔術師もあなたと同じ千年生まれです。」
「それに優等生を初めとして、他にも数年に一度なんて才能がゴロゴロと存在しています。」
なんて修羅の歳に生まれてしまったのか。
そんなことを聞きつつ、地味に動けないという辛い状態の化粧が終了した。
「では行きましょうか。」
そういって学園長に誘導され、俺は玉座の間へと入る。
「良く来たな。」
入室した瞬間。玉座に座っている男にそういわれた。
「ご招待ありがとうございます。」
「ああ、軽くでいいぞ軽くで。そんな畏まらなくても問題ない。」
「そうとはいきません。」
「じゃあ国王命令じゃ!もっと軽くするんじゃ!」
大丈夫かこの国。
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