いつの間にか俺は人気者だったらしいです
「あの……間違っていたら申し訳ないんですが!」
「ももももしかして、あなたリーシェ様ですか!」
と、俺は知らない美少女に言われた。
・・・・・・誰だ?。
「え……そ、そうだけど?様?」
「ああすみません!
「リロンドの村であなたのことを見てました!」
「ストー……えーっと、やばい人かな?」
ストーカーって日本語でなんて言うか分からない。
「お前の愛好家だぞ。良かったな。」
「だって……リーシェ様ってリロンドの村では結構人気だったんですよ!?」
「初耳なんだが。」
「誰も寄せ付けない孤高の存在に!」
「多分友達がいなかっただけだぞ。」
小声でカノンがアリシャに補足してる。聞こえてるぞ。
「村の剣士見習いの中では一番強い、リーレ殿以外に負けたことの無い実力!」
「多分兄弟だな。あいつ家族以外と戦ったことないって言ってたし。」
「そして独学で魔術の練習をしている努力家な点も!」
「え、ちょっと待って。俺が魔術の練習してたのって周知の事実だったりします?」
「そうですね。カレン殿(俺の母)以外はなんとなく気がついてましたね。」
「マジかよ……」
隠れて練習していたつもりがそんなバレバレだったのかよ……超恥ずかしい。
「そして綺麗な髪に可愛らしい見た目!」
「実は掟の関係でしゃべりかけれませんでしたが、村にはリーシェ様を崇める人間がかなりいましたよ?」
「なんだそれ。完全に初耳なんだが。」
「てか掟?掟でしゃべりかけれない?どういうことだ。」
「あ……」
するとクリームが呆気にとられた顔をした。
「リーシェ様と喋れたことに感動してつい言ってしまいました。この辺はバルバロス様に聞いてください。」
「ちょっと待て!流石にはいそうですかと聞けるようなことじゃないぞそれ!」
「申し訳ございません。このことは本当に言ってはいけないのです。」
「なんだ?言ったら家族が殺されるとかか?」
「そんな物騒なことはあまりしませんよ。罰金で金貨500枚(日本円にして約500万円)払わないといけないだけです。」
「あまりなのか……。」
「本当に不味いことをしたら迷わず殺さなければなりませんし」
「でも基本無いですよ?悪意を持って人を殺したりしなければ。」
「じゃああれだ。俺達は聞かなかったことにするから独り言で掟のことを言ってくれ。」
「残念ながら。盗聴されて聞かれているかもしれませんし。」
「じゃあこうするしかない。」
俺のファンってことはあれだ、壁ドンなるものをすればなんとかなるんじゃないか。
そういう
「動かないんだけど……。」
嘘だろ!?いくら強化魔術をかけてないとはいえ筋力で負けるか!?。
「あ、すみません。力抜きますね。」
すると力を抜いてくれたのか、少し重いが動かせるようになった。
そのままクリームを壁まで連れて行き、顔の横に手を突き逃げられないようにする。
そこで甘い台詞なりを言うんだろうけど……なんだこれめちゃくちゃ恥ずかしい。
「お、教えてくれませんかね……?」
「なんで敬語になるんですか。それと普通に駄目ですって。」
「ほほほら……あれだ」
「もし教えてくれたら少しエッチで素敵なご褒美を君に上げるよ。」
低温でかっこよくをイメージして言ってみる。
しかしこれは死ぬほど恥ずかしい!なんだ、この世のイケメンたちはこんな甘い台詞を言えるのか!?同じ人間なのか!?。
「いえ大丈夫です!私達はそういうのは求めていないので。」
振られた。
「ハハハ。大真面目なんだから笑っちゃだめなんだけどさ(笑)。」
そういってカノンが笑いを越えらなかったのか後ろで笑っている。
「リーシェ……私というものがありながらそれどういうことかな?」
そして後ろでアリシャが怒っているのが分かる。
「ヨシ!じゃあ模擬戦のこともあるし早いうちに学校に行くとするかな!」
そういって強化魔術をかけて全力で学校へ向かう。
「カノン!追いかけて!」
アリシャがカノンに命令する。練習場以外の街中で、許可の無い術式展開の必要な魔術を使うと騎士(この世界の兵隊に近い存在)によって捕まる故にアリシャは俺を追いかけることはできない。
「学校で会えるだろうしその時に絞れば良いだろう」
「どっちかというと、村でのアリシャの方が気になるしな。」
自分の過去を知っている人間と今の知り合いをだけにする危険さに、リーシェはまだ気がついていなかった。
「学園長!俺が新入生歓迎会の模擬戦に出るってどういうことですか!」
「あ」
「あ。じゃありませんよ!完全に伝え忘れていたでしょう。」
「戦いは唐突に始まります。故にあえて伝えなかったのです!」
「そういうのいいんで。てか新入生歓迎の模擬戦ってなんなんですか?普通に模擬戦をすればよいんですか?」
「そうですね。今回の模擬戦は分かりやすく凄さを伝えるというか」
「ここで一年間学ぶことで。君たちの一個上の人達はこれぐらい凄いんだよ!みたいな具体的な目標を作るための模擬戦ですので全力で殺し合ってください。」
「俺ってべつに1年間学んだわけじゃないんですが」
「と言うより、それなら派手に強いやつらとかの方がよいんじゃないですかね?何なら同じ学年に二つ名持ちの魔術師がいましたよね。」
「そうですね。確かに当代の鋼鉄の魔術師はいます」
「ただ、鋼鉄本人が戦闘方法の関係であまり人目の多いところで戦いたくないらしいのですよね」
「そして何より、上級貴族を初めとする血統魔術(血縁者にしか使えない魔術)持ちは再現ができません。」
「俺の攻撃できる生活魔術も再現できないと思うんですが。」
「血統魔術は見て分かる違いがありますが、あなたの生活魔術は分かりにくいので分からないでしょ」
「一目で見て理解できるような慧眼の持ち主なら、そもそも目標は既にあるでしょうし」
何という暴論だ。
「それと派手な魔術を使える人ですが。いなくはないんですよね。」
「じゃあその人に頼めばよいのでは?」
「そうはいかないんです。実は私が学園長となったのは今年からなんですよね。」
「いきなり話が明後日の方向に飛んだ。」
「ちゃんと意味はあります。」
「というのも、元々魔術学園というのは強力な魔術師の後押しをするためのものでした」
「しかし昔は規模自体は小さかったものの、度々あった戦争が六十年ほど前の大戦以降なくなりました。」
ロックとのかなり大規模の戦争で、確かそこで学園長は流水の二つ名を得たんだっけな。
「それの関係なのか、または敵国の密偵か売国者か。それとも偶然かは不明ですが」
「少しずつ強い魔術師というものは”実用的で生存能力の高い魔術師”ではなく”どれだけ強い魔術を速く使えるか”と言う点に重点を置くようへとなってしまいました。」
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