流水の魔術師の弟子
「そうですかね?確かな筋でチキュウにはカタナと呼ばれる武器があると聞いたのですが。」
ばれた?ばれた?ばれた?。
いや落ち着け。これはブラフだ、確証も無いだろうしそもそも証拠がない。ここで反応したらいけない。
「地球って確か勇者の故郷でしたよね?自分とは特に関係ないと思いますが。」
できるだけさらりと言うことを意識する。
「大丈夫ですよ。防音の魔術を展開しているので他の人間に聞かれることはありませんから。」
「ちょっと何言ってるか分からないですね。自分は生まれも育ちもこの世界ですから。地球から来てはいませんよ。」
転生していることを隠す理由。それは前世の記憶があるということがばれた場合に気味悪がられるし、何より王が勇者を召喚しなくなった理由が分からない。
もしかしたら勇者。地球出身の人間が国の不利益になったのかもしれない。
単純に勇者という存在が、国の不利益になったのかもしれない。
そこが分かっていない以上。安易に転生者というのをばらすのは危ない。
「ちなみに寝取りという言葉はこの世界には存在しなく、チキュウから伝わった言葉です。」
そこで判断していたのかよ。
「そうなんですか。でも寝取りって言葉はカノンから教えてもらった言葉ですし。」
すまない。でもさっき言ってしまったしな。仕方ないな。
「安心してください。カノンから既にあなたの秘密は聞いてますよ。」
なんてことだ。
「なんでアイツ言っちゃうかなぁ……」
「いえ言っていません。そういうのに騙されるのはまだまだ甘いと言えますね。」
なんでこの世界は皆優しくならないのか。
「そうなんです。実は自分って女性しか愛せないという秘密があるんです!」
「そういうのはいいんで。契約を結んでもいいですから教えてもらえませんか?あなたの秘密。」
「割と今のもかなりのカ・・・・・・衝撃的告白なんですけどね。」
普通同性が好きって言ったら気味悪がられないか?。
「そうでしたか。それなら雑に扱って申し訳ございません」
「けれど同性が好きな人ってそこそこいるため、あまり深刻に考えなくても大丈夫だと思います。」
「そういうものなんですかね?」
「まあ女性が女性のことを好きなのはそこまで嫌悪感が無いかと。男が男のことを好きなのは人によっては嫌悪感があるらしいですが。」
地球だと割と同性愛ってネガティブで、カミングアウトで友達が離れていくなんてことがあったらしいがこの世界では価値観が違うようだ。
その後俺が転生者であることと、学園長が俺を弟子に選んだ理由を話した。
学園長曰く俺を弟子に選んだのは戦闘方法が似ているからと、面白い戦い方をするだそうだ。どこが似てるかは分からないが近距離戦闘を軸に戦闘を組んでいるからか?。
また、メリッサさんが流水の魔術師を受け継がないために後継者を探している。と言うのも理由の一つらしい。
「仲が悪いわけじゃないですよ?あなたの話もメリッサから聞いたわけですし親子としては仲が良い方だとも思っています。」
「けれどお互いに意地があるんでしょう。だから
しかも二つ名レベルの魔術を継がないということは何かがあるのだと思ってそれについて聞いてもみた。
「それは女性にとっての夢であり憧れでもある存在が関係しているため、リーシェちゃんがもう少し成長してから教えることにします。」
若さか美しさだろうか。または良い男か。
ちなみにこの世界。何故か
宗教の関係か?それにしても転生が一切無いというのはおかしい気がする。
「そういえば刀というのはどんな武器かを説明できますか?」
新しい武器をどうするか、という話をしているときに聞かれた。
「そうですね。鋭く折れない、ものすごい剣って感じの武器です。」
「現在の剣が叩き折ると言った感じか、強化魔術によって切れ味を上昇させると言ったのに対し」
「刀は素の状態で切れ味が高いです。ただしその分持続的な戦いには不向きですね。」
何故か無駄にある刀についての知識が火を噴く。
「なるほど……ちなみに刀の作り方というのは説明できますか?」
刀で一儲けするつもりか?。
「できますが。騎士にとっては今の慣れている剣の方が良いですし、作り方的に0から量産するのは厳しいです。」
「冒険者にしても持続能力の高い剣の方が良いと思います。」
そういえば零の元は日本語じゃないはずだが何故か通じる。この世界の言葉の判定はいまいちわからない。
「いえ問題はありません。製造法を説明できるということが大事なのです。」
なんか引っかかる言い方だなぁ。
「大まかに説明しますと、玉鋼と言われる凄い鋼のような鉱石を使って~」
そこから時間をかけて、可能な限り分かりやすく刀の製造方法について説明する。
しかし何故ここまで詳しいのか、もしかしたら漫画で見て知識を言っているのかもしれない。
そしたら間違っているかもしれないし大変だ。
「いえなるほど……なるほど……。」
学園長が固まる。……リレート師匠と呼んだ方が良いのか。
「あれ?俺なんかやっちゃいました?」
「いえ……いやまあそうですね。あなたの存在は革命的な存在になる可能性を秘めています。」
魔具が便利とはいえ、そこまで発展していない世界だ。現代の知識を持つ俺はまさに知識チートだろう。
ついでに記憶もああればなぁ……。
「でも今までも10人ぐらい勇者がいたんですよね?その人達からは何か得られなかったんですか?」
200年前ならばそこまで重要な情報は得られなかっただろうが、最短だと34年前だ。
記憶が無いから細かい年代は分からないが知識から逆算すれば俺がいた時代は大まかに分かる。
34年前と言えば大体2010年ぐらい。その当時の知識があればこの世界を更に発展することは可能だっただろう。
恐らく科学者が一人もいない世界。とはいえ、大まかにどのようなものが実現可能!と分かれば発展もするだろう。
「いえ。今までの勇者からはチキュウの情報を得ることはできませんでした」
「歴代の勇者たちは勇者の縛りと言われる呪いにより、チキュウの情報を話ても私達は聞き取ることができなかったです。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます