トレジャーハント?
巨大なイワヘビに睨まれたタケル達。
「ほうら、やっぱりイワヘビってこれくらいの大きさよ。私の記憶違いじゃなかったわ。私ったら頭良い!」
嬉しそうに、かつドヤ顔でこっちを見るベティ。頭の悪い奴はほっといて、
いつも策を考えるよりも先に行動……というか攻撃をする人が居た。
「氷柱-アイススパイク-」
当然の如く効いてないみたいだ。
「ちょちょちょ、サラ姉! なにやってんのだ、怒ったらどうすんだよ!」
「どうせもう怒ってるでしょ。この子の幼体を倒したんだから」
いや、確かにその通りだ。その通りだが、なぜこんなに冷静なのか。目の前のイワヘビが俺たちに攻撃してきたら一瞬でペチャンコだ。
むしろ、一瞬では無いかもしれない、死は逃れられないが長く苦しむという最悪のシナリオがある。そんなネガティブな発想の似合わない男タケルの導き出した判断は、
「よし、逃げるぞ」
逃走だった。
しかしそれを見越したのか偶然か、イワヘビは尻尾についた巨大な岩を投げ飛ばしてくる。間一髪でかわす事に成功するが、勢いよく飛ばされたその岩はダンジョンの出口にすっぽりとハマりこんだ。
引きつった顔のタケルと、したり顔に見えなくもないイワヘビとの鬼ごっこが始まる。
とにかく走って逃げるタケル達。幸いイワヘビの速度は遅く、追いつかれる事は無い。最初は。
「こちとら人間なのよ。いつか息切れるわよ。タケル、なんか策は無いワケ?」
「うるせえ! 喋ってる暇あったらお前も考えろ!」
「あの~……。この辺りに魔道具が落ちている気がします。しかも岩に効くタイプのです。私のセンサーがビンビンと反応しています。」
急に出てきたのはバッグに入ったままのイリス。
「この辺りって何処だよ。岩に効くタイプって言われても、もっとヒントは無いのか」
「あー離れちゃってます。お、近づきました。また遠ざかっちゃいました。」
あまりにも雑なレーダーだが大体の場所は分かった。
「岩に効く
タケルは地面に落ちている石拾い、マナを流し込み投げた。投てきされた石はイワヘビの頭部に直撃する。
「
決め台詞まで放ったが、無残にも投げた石は粉々に砕かれイワヘビにダメージは無いようだ。
「ちょっとタケル何やってんのよ!」
「タケル、そこまで馬鹿とは思いませんでした。」
「タケルさん、私のセンサーの精度が低いのは認めますけど、石は無いでしょう」
タケルのメンタルに効果はばつぐんだ!
タケル達はまたグルっと1周回って同じ場所へ戻ってくる。
「岩に効きそうな道具ってなんだ、石や鉄鉱石、石炭。坑道にあるありきたりなモノしか無いぞ」
辺りを見渡すタケル。線路に置き去りにされたトロッコの下に柄のようなものが見えた。
「もしかして、これか!?」
柄を掴み、引っ張り出して来たのはピッケルだった。これは明らかに岩に効きそうなタイプだ。しかしさび付いて、魔道具と言うよりも廃棄され放置されたモノにしか見えない。
「タケルさん!きっとそれです!私のセンサーが反応しています!」
「本当かよ。」
もうそこまでイワヘビは来ていた。もうやるしかない。そう思ったタケルは両手でピッケルを力強く握りしめ、マナを流し込みながらフルスイングした。
「うおおおおお----!」
ピッケルがイワヘビの体に接触した直後、岩が砕けて四散した。ピッケルをブンブンと振り回すと、他の部位も粉々になり、イワヘビは動かなくなる。
「まじか! めっちゃ強いじゃねーか!」
「どうやら本当に岩特攻を持つ魔道具だったみたいね」
タケルとサラを尻目にベティはイワヘビの残骸の周りをウロチョロしている。
そんな事よりこのダンジョン、恐らく今のイワヘビが
「もうギルドに報告していいんじゃないか?」
「そうね、私ももう疲れたわ」
ベティはイワヘビの観察に夢中でこっちの話は耳に入ってないみたいだが、引き上げる事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます