第8章 し、し、新聞!!!!!

3股しているとお聞きしました!

第36話 花奏を新聞記事の記事にしたい女の子

美鶴が成仏した。

何故そう言えるのかは分からない。

根拠も何も無いから。

だから.....何も言えないが.....でもそれでも確かな事があった。

目の前で美鶴は俺達に別れを告げたのだ。


「.....」


6月は期末考査がある。

そして梅雨に入った。

俺は憂鬱に感じながらも空を見上げる。

それから雨を掌で感じていた。

そして室内に戻り廊下を歩いてから保健室に行く。


「あ。花奏ちゃん」


「.....よお。未来。調子はどうだ?」


「うん。元気だよ」


保健室登校はまだ続けている未来。

俺はその姿に、そうか、と回答しながら未来を見る。

ところで何の用事なんだ?、と聞いてみた。

実は昼休みに呼び出しを受けたのだ。


「あ。実は.....話を聞きたいなって。.....美鶴さんの」


「.....ああ。成程な」


あれから何日経っただろうか。

1週間しか経ってない気がするが。

だけど全てが.....何だか変わった気がする。


そんな気がしてならない。

世界に色が付いた気がするのだ。

今は灰色でも、だ。


「それに恋ちゃんの様子も聞きたい」


「.....恋はもう直ぐ退院らしい。.....だけどまだまだ安静だな」


「.....そうなんだね。.....花奏ちゃん」


「.....どうした?未来」


「.....美香ちゃんとは上手くやれてる?」


「それは恋愛の意味でか?」


「そうそう」


そうだな、と椅子に腰掛ける俺。

そして未来を見る。

未来はニコニコしながら俺を見ている。

本当に何というか.....あれだよな。

聖母だよな、と思う。


「.....聖母だな。お前さんは」


「え?聖母?」


「.....ああ。俺達にとっては母性があるっていうか」


「.....そうかなぁ。えへへ」


未来は恥じらいながら後頭部を掻く。

俺はその姿を見ながら苦笑しつつ。

美鶴な。成仏した、と告げる。

お前に言っても信じないとは思うけど、とも。

だが未来は、いや。信じるよ、と言う。


「.....花奏ちゃんが見たのは私が見たのと同じ。.....だから信じる」


「.....相変わらずだなお前」


「そうだね。アハハ」


そして未来は窓から外を見る。

外の景色は土砂降りだった。

全くねぇ、と言う未来。

そ憂鬱だよぉ、と話してきた。


「.....そうだな。確かに憂鬱だわ」


「.....だよね。.....どうしたものかだよね?」


「.....まあそうだな」


「.....あ。そうそう。来てもらったのはそれ以外にもあるの」


「.....?」


未来はニコッとしながら俺を見てくる。

俺は?を浮かべながら未来を見る。

すると未来は、海に行かない?、と言ってきた。

それもみんなで、とも。

海.....か。


「.....夏休みになったら海に行きたい」


「.....そうだな。その頃になったら安定しているだろうし」


「うんうん。.....じゃあ決まりだね」


「みんなに問い合わせないといけないけどな」


大丈夫だよ多分。

みんなね、と言いながら笑顔を浮かべる未来。

俺はその姿に、そうか、と返事をする。

すると、聞き捨てならん話を聞いた、と声がした。


「.....うわ!!!!?」


「ウエェ!?」


背後を見ると亡霊が立っていた。

いや違うか。

ジャージの麻里子先生が立っている。


何やってんだこの人は!!!!?

俺は愕然としながら見る。

ってかいつの間に!?


「千草。私も海に行きたい」


「.....へ?」


「大塚と同行したい。男探したい」


「.....先生。ナンパを求められているんですか?」


「.....」


悲しげな顔をして、そうだな。私には男が居ない、と泣きそうな顔をする。

この人って一体何歳だ?、と思ってしまったが。

その言葉を口に出したらマジに殺されるので止めるが。

思いながら居ると、とにかく!、と絶叫した。

うわ!ビックリした!


「私は男を探す。愛人を!お前達みたいにキャピキャピな恋がしたい!」


「.....そ、そうですか。俺らはそんな雑用係じゃ無いです」


「そんな事言わないで.....」


「先生。泣かないで下さい.....」


ガッカリしながら涙を浮かべる麻里子先生。

誰かもらってやってくれないかなこの人。

何だか見る度に悲しくなってくる。

思いながら俺は苦笑した。

そして、まあでも冗談はさておき、と立ち上がる。


「私もお前達の海に一緒に同伴だ。これでどうだ?大人が居た方が良いだろう?」


「いえ。別に.....他の方でも.....」


「.....そんな事言う.....」


「.....泣かないで下さい。先生」


ああもう面倒クセェ!!!!!

俺は思いながら麻里子先生に寄り添う未来を見る。

その姿を見ながら、分かりました。先生同伴して下さい、と言う。

すると、本当か!約束だぞ!、と子供の様に目を輝かせた麻里子先生。

これは厄介だ.....。


「じゃあ夏休みにな!ハッハッハ!」


そして麻里子先生は去って行く。

俺達はその様子に苦笑しながら見送る。

って言うかちょっと待て。

麻里子先生何しに来たんだよ、と思ってしまったが。


「楽しくなりそうだね」


「.....そうだな。.....まあそれなりにはな」


「.....花奏ちゃんも楽しんでね。.....色々あったしね」


「.....久々に羽を伸ばすさ。有難うな」


それから俺は未来と別れてから。

そのまま保健室を後にして廊下を歩いていると。

目の前から、花奏、と声がした。

そこに鈴木と美香が居る。


「保健室に行ってたの?」


「.....ああ。.....未来に会いに行ってた」


「何の話をしたの?」


「夏休みに海に行く計画」


「.....ああ。成程ね。それ良いね。みんなで行こう」


「そうだよな」


すると鈴木が俺を見てきた。

千草くん、と言いながら。

俺は、どうした?、と尋ねると。

美香の事。有難う御座います、と言ってくる。


「ああ。その事か。俺は何もしてない。好きになったのが美香だったってだけだ」


「.....約束。守ってくれましたね」


「.....そうだな。お前の意思を尊重した訳じゃ無いぞ」


「はい。分かっています。でも嬉しくて」


「.....そうか」


俺達はそんな会話をする。

すると鈴木は、ところで.....この度は.....、と言葉を紡ぐ。

俺は、恋の事か、と言葉を発した。

鈴木は頷く。


「.....恋さんが.....心配です」


「.....大丈夫。一命は取り留めた。.....だけど精神が油断出来ない。.....だから観察は必要だと思うけどな」


「.....ですか.....」


こう見えても心配しているからね、と美香は自分より背の高い鈴木の背中を叩いた。俺はその姿に苦笑い。

鈴木は赤面しながら、もう、と言う。

それから美香が、じゃあね。花奏。また後で。ちょっと印刷室に用事があるから、と言ってくる。


「ああ。じゃあまた後でな」


「あ。そうそう。.....その。試験勉強進んでる?」


「.....微妙だな。.....まあ頑張るさ」


「.....そっか。.....じゃあ今度一緒に勉強しない?」


「.....え?ああ。良いが.....何処でだ?」


「私の家」


「.....マジか.....」


親父さんの許可は得れるのか?

俺は思いながら美香を見ると美香はウインクした。

全部、花奏のお陰でね、と言いながら。

もう大丈夫だから私達の関係は、と言う。


「.....なら良いが.....」


「.....それに私のお母さんの話もしたい」


「.....そうか」


「.....うん」


そして美香は、じゃあね、と鈴木と一緒に去って行った。

俺はその姿を見ながら外を見る。

そうか.....母親か、と思いながら。

すると目の前がバッと光った。


「.....!?」


「.....あう.....す、すいません!間違ってフラッシュ焚いちゃいました.....」


「.....?.....君は?」


目の前に身長が俺よりも20センチほど低く。

小学生低学年に間違えられそうなぐらい胸が無く.....じゃなく。

袖がぶかぶかな感じの1年棒が居た。


右目を髪の毛で隠している感じだ。

女子か?、と思い見る。

かなり大きな写真機を持っているが.....。


「ち、千草花奏先輩ですよね!わ、私.....長野豊子(ながのとよこ)って言います!花奏先輩の.....取材をしに来ました!」


「.....へ?な、何の為に.....?」


「ヒーローだと色々な人が言っていますので!し、新聞にしたく!」


「.....」


おい誰だ。

俺をそんな扱いにしやがったのは。

何を誤解している?


俺はボッチヒーローじゃないただのボッチだぞ。

どうなっているのだ、と思いながら。

青い左目を輝かせる茶髪の長野を見た.....。

ヤバい気がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る