第23話 霧島へ

俺達は霧島の家を出た後。

そのまま各々別れて帰宅した。

その際に.....美香に向く。

それから聞いてみた。


『美香。.....霧島の事を何というか.....有難うな』


『それって深い意味が何かあるの?』


『いや。でも霧島を許す許さないにせよ。お前が俺の言葉を聞いてくれて有難うと言いたい』


『私は全てを許した訳じゃない。.....でも花奏の言葉にも納得出来る部分がある。だから霧島と少しだけでも話してみようと思ったの』


私は花奏。

貴方を愛している。

だから貴方が助けてくれて.....私は嬉しかった。

守ってくれて嬉しかったの。

でもまだまだ複雑な部分もあるよ。

でも、と言ってくる美香。


『美香。これ大きな一歩だよ。お前にとっても俺にとっても』


『花奏は許したの?霧島を』


『まさかな。.....俺は絶対に許さない。美香を.....大切な幼馴染をイジメた事を』


だけどな、と切り出す。

それから空を見上げる俺。

そして、俺は許してないけど霧島と対話したいと思っている、と切り出す。

そうしてから美香を見る。


『だから俺は今は置いておこうと思った。.....イジメの事はな』


『成程。.....花奏はしっかり考えているんだね』


『お前もだろ。それは』


『うん。だから花奏。私は貴方が変わらず好き』


そして今に至っている。

俺は帰宅しながらそのまま玄関を開ける。

そうして奏多が出て来る。

お帰りなさい、と笑顔で、だ。

俺はそんな奏多に真剣な目を向けた。


「お兄ちゃん?どうしたの」


「今日な。.....霧島の家に行って来た」


「.....大丈夫だったの?」


「アイツと対話がしたかった。.....だから行って来た。俺は.....丁度良い対話が出来たと思う。.....そこでな。.....奏多。霧島を俺達の仲間に説明したいと思う」


「.....お兄ちゃん.....」


「.....奏多。.....アイツにチャンスをやってくれないか。1度だけで良い」


えっと。それで良いの?お兄ちゃんは、と言ってくる奏多。

俺はその姿を見ながら、そうだな、と顎に手を添える。

そして、恨むべきが全てなのだろうか?、って思ったんだ、と言う。

奏多は盛大に溜息を吐く。

それから俺を見てくる奏多。


「もう。お兄ちゃんは優しすぎる」


「.....そうだな。俺もだいぶイカれていると思うよ。.....でもな。俺は.....本当にこれで良いのかって思ったんだ」


「.....でもそれがお兄ちゃんだよね。.....私の好きな」


「それは異性としてか?」


「馬鹿言わないの。私達は兄妹なんだよ?」


クスクス笑いながら俺達は見合う。

それから満面の笑顔を浮かべた。

そして、分かった、と奏多は言い出す。

そうしてから、私はお兄ちゃんの指示に従う、と言う。


「.....奏多。有難うな」


「.....でも私の気持ちを聞いて」


「.....ああ」


「.....私は霧島は絶対に許せない。.....絶対に。.....だけどお兄ちゃんが言うなら。私は協力するから」


「.....有難う」


俺はそれから、じゃあ風呂に入って来る、と言いながら風呂に入った。

それから.....スマホを見る。

画面には、霧島美鶴、と書かれている。

つまりアイツのアドレスだ。


「.....」


そのアドレスにメッセージで俺は、霧島。俺の妹も説得した。お前の事を。お前が変われば何もかもが変わる。だから俺はお前に期待している、と。

それからメッセージを送信した。

我ながら馬鹿な事をしていると思う。

だけど、と思っていると。


(有難う。千草花奏)


とメッセージが来た。

俺はその画面を見ながら、ああ、と返事をする。

それから俺は、お前の親父さんの話.....今日話してくれて有難うな、と送る。

すると霧島からは、うん。いつか話そうと思っていたから。これが良い機会になった、と言ってくる。

俺はその言葉に眉を顰める。


(同情はあまり出来ないけどお前も散々な人生を歩んだって事が分かった)


(そうだね。一部だけでも知ってもらえればそれで良い)


(いつ家に来ようと思う)


(いつって事は自由に決めてもらっても構わない。だけど死ぬ前が良いと思う)


(そうだな。そこら辺に配慮してからにするか)


そして俺は霧島との会話を終了した。

それから天井を見上げているとスマホがまた鳴る。

俺は?を浮かべてメッセージを確認すると。

恋だった。


(花奏さん)


(おう。どうした)


(その。お話聞きました。イジメを受けていたんですね)


(美香か?)


(そうです)


アイツめ、と思ったが。

何れにせよいつかはバレる事か、と思いながら恋と会話をする。

恋は、花奏さん。そんな目に遭っていて今更対話するんですか?相手が何か企んでいるかもしれませんよ、と書いてくる。

俺は、そうだな。それもあるけど。でも信じてみるってのもアリかなっておもったんだ。今日、未来の母親に会ってな、と入力する。


(そうなんですね)


(ああ。それで決意したってのもある)


(まあ花奏さんは優しいですからね。でも私は複雑です)


(それは良く分かる。お前も奏多と同じだな)


(ですか。奏多ちゃんと一緒って言われて嬉しいです)


でも冗談は置いておいて。

本当に私は心配です、と打ってくる恋。

俺はその言葉に、だよな、と打つ。

それから天井を見上げてからそのまま少しだけ息を吐く。

そしてメッセージを打った。


(相手は長く保たない。それを考えると何をするべきかが浮かんできてな)


(花奏さん.....)


(人生は一度きりだからさ。.....信じてみたんだ)


(花奏さんはやっぱり優しいですね。だから好きですけど.....つけ込まれない様にして下さいね?)


(有難うな。恋)


そんな文章を打ってから。

それから俺はベッドに移動する。

そして寝転がった。

そうしてから枕を肘に当てる。


「.....相手が何か企んでいる.....か」


そんな呟きをしながら。

俺は恋の言った事も胸に入れてから。

そのまま全員にメッセージを送る。


全員ってのはまあ主な美香、未来、恋、奏多とかに、だ。

いつものメンバーである。

そして俺は天井を見上げた。

本当に何というか俺は甘いのかな、という呟きをしながら。

まるでタバコでも吸うかの様に見上げる。


「何れにせよ.....アイツを真面目に信じるしか手立ては無いな。.....でも今のアイツならきっと.....」


俺はふと昔を思い出す。

それからゾッとしながら身震いをする。

過去の傷は深すぎる。


だがアイツも傷が深すぎる。

まるで裏表だ。

トランプで言えばジャックとかクイーンとかキングあたりのイメージ。


「.....」


考えながら俺は目の前の小学校の卒業写真のアルバムを見る。

そして息を整える。

それから顎に手を添えてから俯いた。

とにかく今は今だ。

どうしようにも時計の針は進む。


「.....アイツと全てで和解するとかなのが.....最終結論だな.....」


俺はそう考えながら立ち上がる。

それからトイレに動き出した。

現実問題。

取り敢えずは.....今は前を見よう。

そう考えながら。

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