変わっていく世界

第17話 未来?とのデート

豚が捕まった。

何を言っているのかと言えば俺の学校の豚の講師が捕まったのだ。

バレーボール部を支配している様なそのゲス野郎。

そんな支配欲満載の豚が居なくなってから。


俺達の学校に(バレーボール部以外は)平穏が訪れた。

バレーボール部は事実上の活動停止に追い込まれたのだ。

セクハラ問題で。


そして週末の事である。

4月になっての事。

散っちゃったけど花見をしようかと話している頃。


「そ、それにしても.....何でこうなっちゃうのかな.....」


「.....そうだな。.....確かにそれは思う」


美香が俺と(フリーならデートしてほしい)と言い出したが。

忙しい都合で来れなくなった。

その代わりに来たのが.....未来だ。

何故俺は未来とデートしているのだ?


「み、未来。お前は何処か行きたい所とかあるのか」


「.....わ、私?私は.....その。花奏ちゃんが行きたい所なら.....何処でも良いよ」


「.....」


純白のドレスの様な服を着る未来。

そしてノイズキャンセリングイヤホンに合った様な。

そんな鞄とか帽子とか。

あまりに可愛いので.....周りが嫉妬の目を向けている。

俺に、だ。


「.....全くな」


「.....?.....どうしたの?花奏ちゃん」


「.....お前が愛しい」


「.....ふぇ?」


「あ.....いや。可愛いって意味だ」


「.....そ、そ、そうだよね。アハハ!!!!!」


お、おう。

まあそうだな。

勘違いされてしまっては困る。

俺は思いながら未来を見る。

未来は満面の笑顔で俺を見てくる。


「.....ね。花奏ちゃん。手を握って」


「.....え?ど、どういう事だ」


「だって今日は1日.....私の彼氏さんなんでしょ?」


「.....い、いや。そんなつもりは.....無いが.....でもそうだな。握ろうか」


手汗とか大丈夫か?俺。

思いながら俺は未来の手を握る。

折れそうな小枝の様な.....そんな手を、だ。

そして歩き出す俺達。

恥ずかしかった。


「.....ねえ。花奏ちゃん」


「.....ど、どうした」


「美香ちゃん。良かったね」


「.....ああ。その事か。本当に良かったよ。セクハラを受けていたなんてブチギレそうだったけど」


「.....まあそれだから女の子にモテるよね。花奏ちゃんは」


「な、何故に!?」


クスクスと笑う未来。

それから俺を柔和に見てくる。

俺は赤くなりながら、オイオイ揶揄うなよ、と言う。

未来は、御免なさいね。花奏ちゃん、と話しながら俺の手を握る。


「まあでも今日は楽しもうね。花奏ちゃん」


「.....そうだな。楽しまないと大損だよな」


「.....うん。.....あれ。見て見て。花奏ちゃん。レモネード売ってる」


駅前に来ると。

はいさーい!はいさーい!、とレモネードを打っている子が居た。

元気な褐色の肌で.....八重歯が特徴的な女の子だ。

俺達は何事かと近付くと。


「おや?レモネード飲む?」


「.....え?あ、ああ。じゃあ2杯下さい」


成り行きで買ってしまった。

500円だというレモネード。

これはもしやレモネードスタンドでは?

思いながら女の子に聞いてみる。

レモネードスタンドですか?、と。


「そうでーす!私はその売り子です!」


「.....そうなんだな」


「良いスタンドですね」


俺達はそんな会話をしながらレモネードを飲む。

何だかシュワシュワしている。

美味しいもんだな、と思えるレモネードだ。

すると笑顔になって女の子が聞いてくる。


「お?時に君達は彼氏彼女かい?」


「.....え?い、いや」


「私達は違いますよ」


「.....そうかい?実はね。私の知り合いにもウブな友達の男と知り合いの姉妹が居てねぇ。それを見守っているんだけど。アハハ。君もウブ?」


「ウブじゃ無いですよ?!」


「アハハ」


俺達は飲み終えてから。

そのまま回収してもらい。

そしてその子に向いた。

美味しかったです、と、だ。

すると、はいさーい!あざるす!、と笑顔を見せた。


「またどっかで会ったら宜しくねぇ!」


「.....お、おう。ですね」


「だねぇ。花奏ちゃん」


しかし何だか知らないが親近感が湧くな。

俺は思いながらブンブン手を振るその女の子と別れてから駅に入る。

それから電車に乗り込んだ。

因みに何処に行くのか。

それは博物館である。


「何処に行くの?花奏ちゃん」


「.....えっとな。.....博物館だ」


「クスクス」


「.....お、おい何だよ」


「あ。ゴメンね。花奏ちゃんらしいなぁって思って」


「.....そうか」


そうやって律儀な所とかね、と言いながら俺の手を握る未来。

そして赤面になる。

俺はその姿に赤面になる。

互いに以心伝心の様な状態だった。

全くな.....恥ずかしい。


「ねえ。花奏ちゃん」


「.....何だ?未来」


「.....私の事をもし選ばなくても後悔しないでね」


「.....それはどういう意味だ?」


「他の女の子を好きになっても良いって事だよ。.....花奏ちゃんを束縛したく無いから言ったの。.....ね?」


「.....お前本当に優しいよな。未来」


優しいとかじゃないよ。

私の事を本当は好きになってほしい。

だけどそれでも拘らないで、という話だよ。

とニコニコする未来。

それから未来は肩に頭を乗せてきた。


「お、おう」


「.....エヘヘ。こうしていると本当に恋人同士だね」


「.....恥ずかしいんだが.....お前さん」


「.....私だって恥ずかしいよ。だって愛している人にこれだもん」


「そ、そうか」


未来は柔和になる。

俺達は赤くなりながら。

そのまま俺達は見合ってから目の前の景色を見る。


後2駅だが俺の心臓が持つかな?

あまりに可愛い女の子と一緒とか。

心臓がバクバクだわ。

マジに可愛い。


「なあ。未来」


「.....何?花奏ちゃん」


「.....親父さんと.....仲を取りもてて良かったな」


「.....全部.....花奏ちゃんのお陰だね」


「いや。俺は何もしてないだろ。それもこれは親父さんがやった事だしな」


「でも花奏ちゃんのお陰もある。それは絶対に思うよ。私」


私は君が愛おしい。

と言いながら見上げてくる。

俺は赤くなる。

何度も赤くなる。

全くコイツは、と思ってしまう。


「未来。後もうちょいで駅に着くぞ。目的の駅にな」


「そうだねぇ。花奏ちゃん」


「.....何か博物館以外に行きたい場所はあるか?」


「.....そうだね。.....じゃあカフェに行きたい」


「.....カフェ?」


「うん。煩い場所に敢えて行ってみたい」


成程な、と俺は思いながら。

未来を見る。

窓の外を未来は見ていた。

そして海が大きいね、と笑顔を浮かべる。

そうだな、と返事をした。


それから.....電車は駅に到着する。

まるで新たなる物語を紡ぐ様にドアが開いた。

俺達は頷き合いながらそのまま電車のドアから外に出る。

そして見上げた。


「青い空だね」


「快晴だな」


「.....じゃあ行こうか。花奏ちゃん」


「.....そうだな。行くか。未来」


そして駆け出す未来。

俺達はそのまま博物館を目指して歩き出した。

博物館は目の前にある。

デートスポットとはいかないけど.....楽しめるだろうか。

そんな思いを抱きながら歩いた。

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