第15話 バレーボール部の裏の顔(中)

翌日になった。

俺は学校に登校してから.....鈴木に協力を仰いだ。

鈴木は激昂していたが落ち着いてから、はい、と頷いてくれた。

そして鈴木は準備を始めてくれる。


俺と未来と恋は担任の元へ向かう。

その後に生徒指導室に向かった。

ドアをノックする。


「おう」


「.....麻里子先生」


「どうしたんだ?この短時間にアタシに何か用かな?」


そこに竹刀を側に置いて居たのは麻里子先生。

椎葉麻里子先生だが。

俺達の学年主任でもある。


小学生の様な体型をしているが根気は誰にも負けない。

そして竹刀を振りまくる正義深いジャージの先生。


そして女子生徒を甘いマスクとして有名になった?(俺の事だが)で誘惑する様な野郎だと認識して俺に接してくる先生だ。


「実は.....相談があります」


「千草から直に相談?まあ聞こうじゃないか」


「.....実は.....イジメを受けている生徒が居るかも知れません」


「.....それは聞き捨てならないな。.....そうなのか」


「.....バレーボール部の生徒の事ですが」


ああ、あそこか。

確かにバレー部は陰ながら腐っているとして有名だ。

と言いながら眉を顰める麻里子先生。


俺はその姿を見ながら驚く。

そうなのですか?、と。

すると、部活動の顧問.....ここだけの話だが顧問も女子生徒と付き合っているなどと噂が流れていてな、昔から裏の噂ばかりだが評判は表は上々だから尚の事とっちめる事が出来なくてな、と語ってくれた。

そもそもそれ生徒に漏らして良い情報かどうか分からないが。


「.....正直。川原昭二(顧問)のスキンヘッドはアタシも嫌いだ」


「.....そうなのですね」


「だけど今はSNSがあるからな。何かおかしな事があれば、と思うが。だがその。その中でも生徒が直に私に相談に来たのは初めてだ。それだけ全てが抹殺されていたんだろう」


「.....信じられない」


恋が言いながら歯を食いしばる。

俺はその姿を見ながら、麻里子先生。協力してほしいんです。俺の幼馴染が辞めたくても辞められないんです、と言う。

すると麻里子先生は、ふむ。そうなると。アイツに協力を仰ぐのもアリかもな。この学校のOBに、と切り出す。


「OBって誰ですか?」


「.....うん?ああ。大塚国広(おおつかくにひろ)だ」


「え」


愕然としたのは未来だった。

未来は激しく驚いている。

何だ?、と思いながら未来を見る。

って言うか.....大塚?

そんな馬鹿な事があるか?


「未来の親父さんか.....まさか!?」


「そ、そうだね」


「.....うん?知り合い.....ああ。そうか。大塚は初めて知るんだな。.....アイツはこの学校出身だよ」


「.....え!?じゃあちょっと待って先生おいくつ.....」


すると竹刀が思いっきり飛んできた。

それから俺の横を掠めてそのまま床に落ちる。

ふむ。女性に年齢を尋ねるとは良い度胸だ。死ぬか?、と聞いてくる。

俺は、いえ。何でもないっす、と青ざめる。

この先生こわ!


「国広はこの学校出身でOBをしている。だから.....」


「.....」


麻里子先生は言いながらスマホを手に取る。

だから未来にまさに全てを託した可能性があるな。

俺は思いながら顎に手を添える。


そして納得した。

恋は驚きながら、私.....知らなかったな、と言う。

そうだな俺も知らなんだ。


「.....お父さんが.....」


「.....ああ見えて色々考えていたんだな。国広さん」


「.....うん」


「.....じゃあ協力してくれるかもな」


俺達は期待しながらスマホで電話を掛ける麻里子先生を見る。

すると麻里子先生は、おー。国広。お前の娘さんが来ているぞ。.....バレーボール部の事で話があると、と切り出す。

それから、今から来れるか、とも話す。


『今からは無理があります』


「今直ぐに来ないと殺すぞ?ん?」


『.....全く。.....相変わらずですね。.....分かりました』


何脅してんだこの人。

しかし父親がOBで。

それも未来の事を陰ながら支えていた。

未来は涙を浮かべている。

そして涙を拭っていた。


「という事でこの学校の腐った体制を全て見直す時が来たな」


「全てとかそこまでとは言いません。.....でもその。.....美香がイジメを受けているのは事実です。それだけはどうにかしてほしいです」


「まあアタシに任せな。.....取り敢えず国広を交えて会議だ」


「.....いや。先生。俺達の授業は?」


「そんなもんしている場合か。お前らの友人が苦しんでいるんだぞ。.....まあ教科の担任には言っておくから。腸チフスを発症したとか」


腸チフスとか無茶苦茶な。

アンタは本当に進路指導の先生か?

俺は苦笑しながらもそう思ってしまった。


すると、じゃあお前ら。取り敢えずはアタシの部屋に来な、と言ってくる。

お茶出すから話を聞かせてくれ、とも。

俺達は顔を見合わせながら、はい、と頷く。


「.....良い先生だね」


「そうだろ。酒豪だけどな」


「.....何でそんな事を知っているの?花奏さん」


「連絡先を無理矢理交換させられた」


「無茶苦茶だけど.....良い先生だね」


「そうだな」


それから俺達は移動を開始してから。

そのまま進路指導室から少し離れた東棟に向かい。

そして麻里子先生の部屋に入った。


因みにここで美香も加わり。

そうしてから話をする事になった。

4時限目はサボる事になる。



「取り敢えずは話は聞いた。.....後は国広が来るのを待つか」


「.....そうですね。.....校長先生とかは」


「知られたくないな。.....裏で手を引いているかも知れないしな。味方は国広だけだ」


予想通りだが麻里子先生の部屋があまりに書類とか本とかで汚かったので俺達は片しながらそう話していたりした。

美香は、ゴメンね。みんな、と言いながら俺達を見る。

何を謝る必要があるのか。

お前の悩みは俺達の悩みと同じだ。


「美香。気にすんな」


「そうですよ。美香先輩」


「だねぇ。美香ちゃん」


「みんながそう言ってくれて嬉しい」


「良い友人を持ったじゃないか!加瀬馬!」


はーっはっは!、と大笑いしながらジュースを飲む先生。

いや。そんな事してないで片付けを手伝ってほしいのだが。

思いながら居るとノックがした。

最もビクッとしたのは未来だ。


「はい。国広か」


「はい。その通りです」


そしてドアが開いた。

それから大塚国広さんが顔を見せる。

国広さんは未来をチラ見した。

ビクッとする未来。

そしてその険しい顔のまま麻里子先生を見る国広さん。


「このいきなりの呼び出しとは何ですか」


「.....バレーボール部の件だな。取り敢えずお前も参加してくれ」


「.....また何か問題でも」


「今回は表沙汰の問題だ。.....今度こそバレーボール部を一掃するぞ」


何凄まじい事言ってんだ。

俺は顔を引き攣らせながら見ていると。

お、お父さん、と未来が言う。

そして未来は国広さんを見つめる。


「.....何だ」


「.....その。何で私が花奏ちゃんの家に泊まるのを許可したんですか」


「.....気まぐれだ」


「.....気まぐれで.....こんな.....?」


国広さんは未来を見つめる。

そしてそのまま持っていた皮の鞄を置きながら。

俺を見てくる。

久しぶりだね。花奏君。そして美香君、と言った。


「.....そうですね」


「.....です。お久しぶりです」


その俺達の言葉に前を見る。

そして未来を見る。

未来はビクビクしていた。

すると国広さんは名前を呼ぶ。


「.....未来」


「.....はい」


「私はこの子達が悪いとは当初から思わない。その中で障害のあるお前を陰ながらに支えたいと思っていた。.....妻からの支配からは逃れられないが.....いつかお前を逃すチャンスを与えたいと思っていた。.....今回が良い機会になった。お前は鳥籠から羽ばたくべきだったのだ。そのチャンスを壊してしまった今回。.....私はお前を逃そうと決意したのだ」


「.....!」


未来は国広さんに涙目になって駆け寄った。

それから国広さんを抱きしめる。

身長が195センチある国広さん。


身長差が40センチぐらいあって小学生が抱き着いている様に見えるが。

その姿に驚きながらも国広さんは頭を撫でた。

未来の頭をしっかり、だ。


「.....良かったね。おーちゃん」


「.....マジにな」


「.....感動モノですね」


「全く。私の部屋で何やってんだか」


とか言いながらも涙流して泣いているじゃねーか。

俺は思いながら麻里子先生を見る。

すると麻里子先生は鼻水を啜ってから、取り敢えずは、だ、と切り出す。

教師一丸になってこの問題を打破する。

と言葉を発した。


「教育の第三者委員会がどうのこうとか気にせず」


「.....分かりました」


「だね」


「.....ですね」


そして俺達は最終作戦に向けて話を纏める。

国広さんと未来も参加して、だ。

取り敢えずは.....事態の打開だな.....。

どうあるべきか、だ。

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