第11話 もう我慢ならない

俺の幼馴染の未来が初めて.....俺の彼女の恋に会ったのは良いのだが。

もしこの中で美香が来て俺が読んでいる様なライトノベルと同じになってしまい。

ラブコメの様なそれなりの修羅場になるのは避けたい。

俺はそんなの望んでいない。

勘弁してくれ。


所謂、互いにいがみ合う様な的な。

そんな感じだ。

何というかマジに勘弁してほしい。


結構本気で胃が痛いから。

その様に考えながら勉強していると早速と恋が横に寄って来た。

そして教科書を見せてくる。

一定の箇所を指差しながらである。


「花奏さん。ここら辺の問題を教えて下さい」


「俺か?いや俺、相当に頭悪いぞ?良いのか。そこに居る未来に聞いた方が良いかもしれないぞ。割と本気で」


「未来さんに?それも良いかもしれませんが今回は駄目ですよ。彼氏が彼女に教えるって最高のシチュエーションだと思います。アハハ」


「いやまあそう言えばそうだが.....」


そんな恋を見ながら。

俺は少しだけ赤面で横を見る。

そんな横に居た未来はニヤニヤしながら俺達の様子を見てきていた。

俺は顔を引き攣らせながら次に奏多に向く。


そんな奏多は苦笑いで俺達を見ていた。

二人の意見を統合すると、まあそれなりにラブラブだね、的な感じだ。

恋はその様子を確認しながらニコッとする。

俺は額に手を添える。


「分かった分かった。限界まで教えるよ」


「やった!有難う御座います花奏さん。えっとその問題は此処なんですけど.....」


「.....はいはい.....」


未来も奏多も恋も笑顔で居る。

俺としてはこの幸せが.....何時迄もぶっ壊れない様にしたいとは思える。

でもな本当に世の中はクソだから。

だから困るんだよな。


そしてそれを予測する様に。


未来からプルルルルと音が聞こえてきた。

俺達は?を浮かべて未来を見る。

未来のガラケーの電話の音の様であるが。

俺は?を浮かべて未来を見る。

まさか。


未来はガラケーを開き画面を見てから青ざめる。

なんか電話主が良く無い様だが.....。

と思っていると未来が小さく呟いた。

これは.....、と。


「.....お母さん.....」


と、だ。

俺と奏多はまさかの言葉にギョッとして未来を見る。

未来は、気にしないで、的な感じで苦笑しながら、ちょっと出てくるね、と笑顔でそのまま席を外した。


俺達は、あ。ああ、と曖昧な返事をする。

そして俺達は俯いた。

考える様に、だ。

参った.....まさかこんなに早く。

そうしていると頭に?を浮かべている様な恋が聞いてきた。


「その.....確か未来さんはその.....」


「そうだな。正確に言えば.....かなりヒステリックな母親が居るんだ。何つうか.....未来の為のモンスターペアレントって言えるかもな。マジにそれなりにヤバく豹変するし.....」


「だね。お兄ちゃん.....」


申し訳無いが未来の事に関しては変わってしまう。

少しだけ恐怖に覚えれる様なそんな母親だ。

そんな言葉に恋は複雑な顔を浮かべた。

そして、.....何でそんなに未来さんを追い詰める様な、と顔を少しだけ顰める。

俺はその姿に苦笑しながら見る。


大丈夫だよきっと、とだ。

そして恋の頭をそのまま撫でる。

それから柔和な顔をした。

未来は頭が良い、と言いながら。


「そう。アイツなら上手くやれるさ。.....何というかそれが未来なんだ。だから大丈夫だよ。きっとな」


「未来さんが私、心配です。心から.....本当に」


「お前は優しいな。恋。だから.....周りは助かっているんだよ」


え?いや。そんな事無いです。

私は花奏さんにも周りにも多少の力しかなれてないですよ、と首を振る。

そんな恋の様子を笑みを浮かべて見ながら俺はリビングのドアに向く。

何だろうか嫌な予感がする。


色々と遅い気が.....というか長すぎるんじゃ無いか、電話が。

と思った瞬間の事だった。

ドアが開いて深刻そうな顔の未来が入って来る。

それから膝を崩してその場に崩れ落ちる。


俺達は顔を見合わせながら未来を見る。

事態はかなり深刻な様であった。

未来は歯をくいしばりながら携帯を握り締める。

壊れてしまいそうなぐらいに。


「.....もう嫌」


「.....未来?.....ど、どうしたんだ」


ゴクリと俺達はその光景に喉を鳴らす。

すると未来は俺に縋って来て涙を流し始める。

そのまま泣き出してしまった。

号泣し始める。


「何で?何で私の居場所をわざわざ調べる様な.....探知機なんか.....私が何で花奏ちゃんと美香ちゃんに会ったらなんで駄目なの?訳分からない!私が何で仲の良い幼馴染にただ会うだけが駄目なの!?訳分からないよ.....確かに悪いって事は分かるけど.....こんなの酷いよ!」


俺たちは顔を見合わせる。

未来は、何であれが親なの、と嗚咽を漏らした。

そして泣きじゃくる。

俺は寄って来た未来をゆっくりと受け止めた。

何が起こっている。


探知機、という単語が嫌に頭に残るんだが。

とうとうそうなったかと思ったが.....。

やり過ぎだろ。

静かに怒りを覚えながら未来を見守る。

そんな未来は涙を流しながら未来は言ってくる。


「結局私はお母さんからは逃げられないんだね。アハハ」


未来は崩れた様に笑顔になる。

あのモンスターペアレントが迎えに来る可能性が高くなった。

その言葉に俺達は何も言えずに唇を噛む。


許し難い気がする。

でも俺達はクソガキなのだ。

どうしようも無いんだよな怒り狂っても.....だ。


思いながら落ち込んで居ると恋が心配げに未来に声を掛けた。

その言葉は俺にとって、奏多にとって、そして未来にとって。

とにかく全員に相当な衝撃になった。

まさかの言葉だ。


「未来先輩。実はですね。私もその実は別れた実の父親からの暴力で母親と逃げた過去が有ります。お母さんと一緒に暮らしているんですがでもそれとは多少違うけど。.....でも今、貴方は母親、父親から言葉の暴力を受けているんですよね?」


「え?それって本当か?恋」


俺達は本当に愕然とする。

そんな俺達に強く頷く。

そして恋は言ってからそれから真剣な顔になる。

意を決した様な.....そんな顔だ。

俺は?を浮かべる。


「だから私、全力で力になります。花奏さんの幼馴染なんですから。.....力になりたいです。未来先輩を救いたいです」


「いや。.....無理だ。恋。それは出来ないと思う。状況が違いすぎるぞ」


「初めっから出来ないって弱音を吐いてどうするんですか?花奏さん.....そんなの花奏さんじゃない。見損ないましたよ。見捨てるんですか?未来先輩を」


おかしいと思いませんか花奏さん、と恋は俺に説得してくる。

でもなこんな俺達クソガキがどうこう出来るレベルの母親じゃ無いんだよマジに。

大人じゃないと無理だと思う。

思いながら俺は俯く。

そして考える。


「でもな。あの母親の心を動かすのは無理だと思う.....変わらないよ結局」


「諦めるんですか?それで」


「あのなぁ!お前な.....!本気で.....何も分かってないだろ恋。お前は.....!」


つい声が荒いでしまった。

するとそこまで言うと恋が怒る。

何でですか!といきなり。


「そんな花奏さんは花奏さんじゃない!!!!!昔の美術部の.....憧れていたあの花奏さんは何処に行ったんですか?!何時も私を助けてくれたじゃないですか!!!!?」


とお説教された。

俺は見開いてそのまま恋を見る。

恋は.....涙目だった。

愕然としながら俺は恋を見る。


「良いですよ。だったら私は一人でも未来先輩を救います。だって未来先輩が苦しんでいるんですから。嫌ですよ人が苦しんでいる姿なんて.....見たくないです」


「.....恋.....お前.....」


その一生懸命の言葉に強く打たれたのか。

震えていた奏多が胸に手を添えた。

そして恋に向く。

それから未来を見て頷いた。


「分かりました。私も協力します。恋さん。.....未来さんが苦しむ姿なんて見たくないです。こうなったら未来さんのお母さんを説得しましょう」


「.....か.....奏多.....お前まで.....!」


「お兄ちゃんやってやろうよ。どうせこの人生は一度きりだよ。私.....未来さんが一人で苦しんでいるのは確かに見てられないし。良いきっかけになった。未来さんのご両親に分かってもらおうよ私達の気持ちを。この思いを」


唖然とする俺。

何でコイツらはこんなに。

俺は複雑な気持ちで一杯だった。


特に恋なんかあまり関係が無いのに。

救いたいと言ってくれて。

俺は涙が浮かんだ。


「そこまで言うなら分かった。もしかしたら無理だろうけど説得してみる。やろうみんな!」


そんな感じの思いを言いながら.....未来を見る。

未来はグスグスと言いながら、有難うみんな、と話していた。

俺と奏多と恋は頷きながら勉強を一旦止める。

そして静かにモンスターが来るのを待った。

すると.....。

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