第4話 手段が無くなった
美香はいきなり俺を呼んでから図書室に来る様に(と言うか美香も来る事になったが)というか呼び寄せた。
何のつもりか知らないが俺に何の用だ?
俺は恋人と一緒に帰りたいのだが。
「花奏。私の事は嫌い?」
「意味にもよるが。どう言う意味だ?嫌いって俺はお前の事は嫌ってない。でもお前の行動が意味が分からない」
「だよね。馬鹿だよね。私。本当に意味不明だと思う。自分自身でも本当に意味が分からない。だけど私は」
そこまで言ってから美香は口を閉じた。
それから数秒が経つ。
俺はその背中を見ながら外を見る。
この時間は人が居ないのか、と思いながら。
するといきなり美香が動いた。
それからガチャッと鍵を掛けてしまう。
それも図書室の鍵を。
「な!?何をしているんだお前は!?」
「花奏。私ね。私は貴方の事、嫌った。だけど絶対的に嫌った訳じゃない。だから私は花奏、その。私は.....」
歯切れが悪い回答だ。
どうなっているのだ、と思っていると。
美香が何を考えたか制服のボタンを外し始めた、何!!!!?
俺は真っ赤になりながら美香を見る。
馬鹿なのかコイツ何やってんだ!
「もうこうするしか手段がないから」
「ちょ、ちょっと待って!?マジに意味が分からないんだが!何やってんだよお前は!?俺には彼女が居るってあれ程言ったろ!?」
「関係無いとは言えないけどもうこうするしかないし」
何がこうするしか無いの!?
俺は愕然と思いながら美香を見る。
美香はマジに俺を異性の性という感じで見ながら服を脱ごうとする。
な!?ちょっ!?
「美香!マジに落ち着け!ふざけんな!」
「私は落ち着いてる。マジな感じでね」
「そもそも何故こんな真似を!」
「こうするしかもう私には残されてないから」
だからそれが意味が分からない!
俺は真っ赤になりながら後退する。
それを追ってくる美香。
その姿に俺は逃げるが美香が追い掛けて来る。
「美香.....!」
「.....」
すると下着姿になった美香が泣き始めた。
それから涙を流す。
号泣し始めた。
な、何だ!?、と思いながら俺は美香を見る。
ってか誤解されかねん状況なんだが!?
「私.....その。今は言えないけど花奏の事、大切に思っている、から。その。だから。ゴメン。もう頭が感情がごちゃごちゃなの」
「美香.....」
美香が服を着る。
するとドアが開いた。
それからなんと恋と先生が飛び込んで来る。
俺たちは?!と思いながら恋達を見る。
恋は眉を顰めながら美香を見る。
「何しているんですか。どうせ加瀬馬先輩が誘惑したのでしょうけど!」
「わ、私は.....」
「私の恋人ですよ!何でそんな真似をするんですか!?」
「.....」
美香は無言のまま複雑な感じで。
立ち上がりそのまま人混みを掻き分けてから泣きながら去って行った。
俺はその姿を見ながら顎に手を添える。
そして目の前の恋を見た。
恋はショックを受けている様だ。
「気がつくのが遅れました。大丈夫ですか?花奏さん!」
「正直。何故だろうって思う」
「?」
「何故、美香はあんな感じなのだろうな」
「花奏さん.....」
何か重大な理由がある気がする。
だが何も教え.....違うか。
言えない感じに見えたのだが。
どういう事なのだろう。
何がどうなっているのだろうか。
そう考えながら俺は外を見る。
先生達は散り散りになっていく。
その中で俺は呆然と外を確認していた。
というかそうしなければ心がかなりズタズタな様な、と言うか。
俺自身の心が掻き乱される気がした。
☆
何故美香があんな事をしてきたのかは分からないのだが。
正直言って美香と話したかったが美香はバレー部に行ってしまった。
その為に俺は何というか聞く事が出来ない。
俺は複雑な思いを抱えながら。
今日は少しだけのデートで帰る事にする。
改めてのデートは今度する事になった。
「ゴメンな。恋。こんな感じで」
「問題はないです。今の感情ではデートも曖昧になりかねませんからね」
「ゴメン。本当に申し訳ない」
「大丈夫ですよ。花奏さんのそういう所が大好きなので、はい」
「有難うな。そんなに愛してくれて」
俺は恥ずいと思いながらも。
本当にそうやって愛してくれる事に嬉しく思いながらも。
複雑な感情を抱きつつそのまま恋を見る。
それから分かれ道に接してからそのまま別れてからそして歩き出す。
そして帰って来ると何か。
俺の家の前に制服姿で誰か居た。
可愛らしい姿の女子高生。
ってか同じ学校の生徒じゃ?
「君、誰かな」
「貴方は千草花奏さんですか」
「え?いや。まあそうだけど.....?」
「私は貴方に用事があって来ました。初めまして。鈴木って言います。本当に早速で申し訳ありませんが」
「?」
私の異性として大好きな美香の事をずっと蔑ろにするのは止めてくれませんか。
それからもう美香に二度と近づかないで下さい、と言ってくる。
な、何だこの子!?
俺は突然の言葉にイラッとする。
「どういう意味だ」
「会わないで、と言ってます。お話しないで下さい。嫌なんです」
何だか知らないが。
かなりズタズタな雰囲気が感じられた。
コイツとは仲良く出来ない。
そういう感情も湧いた。
俺は思いながら。
鈴木というその女子を見た。
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