第3話 水と油と水

例えばの話があるのだが。

とある俺の話だ。

そんな俺だがとある女、つまり幼馴染に振られました、という展開なのだが。


例えるなら俺が水であり。

そして幼馴染は油の存在とする。

これは反発を意味しているのだが。

説明していく。


簡単に言うなら俺という水に幼馴染の油をドバドバといれてしまい混じり合わずに焦ったい感じになっている。

なのでまあ当然、一緒にならない。貴方とは、的な感じで何もかもが反発しあって交わらずに失敗するよな?


つまりこの現象は、というか。

俺が油でも良いのだが。

告白に失敗した様な感じがそれと言える。

逆に成功すれば油と界面活性剤みたいな感じで直ぐに混ざり合ってくれるがだ。


そしてそんな事があった日。

俺は後輩に何故か唐突に愛を告白されたという感じになっている。

まあ簡単に言えば俺の水に幼馴染の油を注がれた状態にそこに後輩という水を入れる感じになっているのだ。

これを表現するとこんな感じ。


|水|油|水|


そんな感じになる。

つまりまあ何だ。

水である俺と同化しようと奮闘している感じが窺える感じだ。

直ぐにでも後輩の水が間にある幼馴染の油を退けようと必死になるだろう。

交わりたいが為に、であるが。


だけど後輩の水は魔法の様にエイッと声を出した様にして油膜を最も簡単に取ってしまった。

そうした場合、俺の水と後輩の水なのでまるで音が同調する様に交わる筈である。

そしてみんな幸せになりました、ちゃんちゃん的な感じになる筈だった。


ところが交わってこない捨てた筈の油の幼馴染が恨みを持ち界面活性剤を持って混ざりに来てそして油の膜は全部取れて後輩の水も幼馴染の油も俺の水も混ざり合ってしまったのだ。

界面活性剤のせいで油の膜も何もかもが取れてしまい瓶の中はドロドロになったのだ。

油も水も関係無く汚れた水になる。


あくまで例えで表現したがそのドロドロな状態は今の状況に似ている。

何だかマジにヘドロの様なドロドロの状態になっている気がしてならない。

うーん、と悩みながら同級生を見つめる。

そうするのは理由が有る。


このクラスに幼馴染が居るのだ。

一人で飯を食おうとしていると。

横から強烈な視線を感じたので横を見るとそこには.....幼馴染の視線が有った。

友人と一緒に飯を食っている幼馴染の、だ。

恥じらっている様な視線の様なそんな.....何だかよく分からない視線。


然し乍ら.....その目線は俺の後輩。

即ち、俺の彼女が元気そうに俺の元にやって来ると途端に豹変する。

それもメチャクチャな殺意の眼差しに、だ。

とてもじゃ無いが幼馴染の視線とは思えないし好意を抱いている眼差しとも思えない。


でもその、なんかおかしくないか?

どうなっているのだ?

アイツは確実に俺を振りましたよね?

じゃあそんな視線はおかしい気がするのだ。


何でそんな殺意の眼差しを向けるのかが分からない。

いや本当に全く意味が分からないんだが。

と思いながらちょうど横の友人と会話している幼馴染を見ていると前から不満げな声がした。

もー、と言いながら頬を膨らませる感じ、でだ。


「先輩ってば聞いてます?私の話ですけど」


「.....あ?ああ.....えっと、今度デートしようって話だろ。まともに聞いている」


「そうです。私はイチャイチャしたいです。先輩とせっかく恋人になったんですからそれなりにイチャイチャしたいんですよ」


「お前さん。殺されるぞ教室の男子に。頼むから配慮してくれ。あと俺は仮にもボッチだ。もっと配慮してくれ。俺がマジに殺される」


え?何でですか?

こんなに幸せなカップルなんだから良いじゃ無いですか!

と意気揚々に腕をを絡ませてくる矢澤。

俺は困惑しながら.....見つめる。

矢澤はクラスメイトに見せつける感じで胸を押し付けてくるオイオイ!?


思いっきりに俺は慌てるが鼻歌混じりに俺に腕を絡ませてくる。

お構い無しな感じだ。

いや、その仕草がとっても可愛いけどでもその女の子の香りが.....と思いながら居ると美香がこっちにやって来た。


な、何だ.....?

俺を不愉快そうにジッと見つめてきているが.....というかこの視線は殺される!

ピューマか何かかな!?


「花奏。この教室でイチャイチャしないで欲しいんだけど」


「いや別に良いじゃ無いか。俺達は一応そうなったし.....って言うか、何でそんなにかっかしているんだよ。意味が分からない」


「私は。別に、その」


眉を顰めて複雑そうな顔をする美香。

俺は首を傾けて???を浮かべながら見ていると、加瀬馬先輩、と声を出した矢澤さん。

そして俺の机に手を置きながら立ち上がる。

それからキッと美香を睨んだ。


「あくまで加瀬馬先輩って先輩を振ったんですよね?私達が付き合う事に何でそんなに怒るんですか?良いじゃ無いですか。恋人同士になったんですから。全く意味が分からないです。それも怒る意味が、です。幼馴染の関係は続けれるんですから良いじゃ無いですか?」


「部外者は黙っていてくれる?」


「え?何でですか?嫌ですよー?黙らないですよー。だって私の大切な彼氏の事を卑下しているんですから黙って見ていられません。何ならここで決着つけます?殴り合い?あ、良いですよ?勝ちますよ私。こう見えても空手をしていましたから。ボコボコにしてやりますよ。タイマンでも何でも」


「いや。貴方、調子に乗ってない?」


ちょっと待って!?ベクトルがかなり下方に行っているからな!

しかも何だかかなり空気が変わった!

オイオイオイ!!!!!

お、お前ら!と冷や汗をかきながら俺は二人の間に割って入ってから静止した。


何でそうなるんだよ!

アホかお前ら!?

俺を巡ってこれって止めてくれ!

しかもこんな場所でマジな喧嘩腰とか!


「お前ら!」


「先輩。ちょっと黙っていてくれますか」


「いやいや黙ってとかそういう問題じゃ無い!良いか!ダメなもんはダメだ!」


矢澤を説得する。

そうしていると何故か美香が涙目で居た。

そして俺に対して、もう良い、と涙声を出して去って行く。

俺は再度???を浮かべてその背後を見送る。


全く意味が分からないんだが。

俺、本当に確実にお前さんに振られた身なんだけど?

なのに何であんな反応をするんだ、と思っていると矢澤が笑みを浮かべてきた。

そして椅子に元通りの様に腰掛けてから言ってくる。


「まああんな加瀬馬先輩は置いておいて。.....先輩。デート何処を巡ります?」


「.....ああ.....うん」


俺は取り敢えず今は美香の事は考えない様にしてからデートプランを考える。

計画し始めたが。

って言うか、俺.....こんな可愛い女子とデートとかした事無いんだが。

ボッチだしな。


思いながら矢澤を見てみる。

矢澤は俺に向いていてそしてニコッとする。

それからモジモジしながら俺を見てきた。

え、エヘヘ、と言いながら。

照れ隠しの様に。


「先輩。私の事、恋って呼んで欲しいです」


「ほあ!?いや!?かなり恥ずかしんだが!?」


「駄目です。今は私達は恋人同士なんですから。名前で呼ぶのが普通です。私も呼びますから。花奏さんって。.....ね?だから呼んで下さい」


「.....お、おう。.....わ、分かったけど」


いやでも花奏さんって。

思っていたが分かったなら宜しいです、とニコッとしてから恋は黒板の上の方、前の方に有る時計を見て驚いた。

それから、先輩すいません。時間なんで戻りますね、と声を発した。

そしてこっちに柔和に手を振る恋。


「また放課後に!」


「お、おう」


俺はクラスメイトの視線に配慮して少しだけ控えめに手を振った。

正直嵐の前の静けさがしてならない。

だって落ち着きすぎだろクラスメイト。


思いながら、っていうか。

美香が戻って来ない。

どうしたんだ?、と思っているとチャイムギリギリになって美香はトボトボと戻って来た。

そして何事も無かったかの様に友人の呼び掛けにニコニコして答えながら椅子に腰掛ける。


俺は美香を少しだけ見ていた。

友達と他愛無く会話している様に見える。

一先ずは.....安心?な気がするがしかし何で美香は嫉妬の様な感じやら、軽蔑の様な目線を見せるのだ。


思いながら顎に手を添えて考えてみるが。

しかし答えは全然出ず、5時限目が始まった。

ノートに現状の三角図を書いたりしてしまうのだが。

俺は無駄に記載したそれを見つつ溜息を吐きながらそのまま授業を受ける。

前を向き真面目に。


そして集中していると時刻は放課後を指し始めてから。

俺はその様子を見ながら.....外に目線を向ける。

欠伸が出る景色だが綺麗な景色で.....帰ろうと思い立ち上がると。

美香が俺の元にやって来た。

俺は?を浮かべて美香を見る。

な、何だ?、と思いながら。

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