第2話 玉砕、故に
残念ながらこの玉砕の事は1日も経ったら学校中に広まるだろう。
何故なら学校1の美少女の告白を散らせてしまった。
それにモブの俺だ。
つまり広まるのは時間の問題。
思いながら俺は帰宅して直ぐに思いっきり床に頭を打ち付けてベッドで横になり横に行ったり来たりして悶えて、もう嫌!、的な感じで叫んだ。
がおおおお!!!!!と咆哮を上げた。
だが翌日は待ってくれない。
当たり前だが俺は複雑な顔をしながらとぼとぼ歩く。
本気の失敗だし人生の恥だ。
そんな事すらも浮かんだ。
通学路の河川敷をゆっくり歩く。
今日は美香は朝練が有る為に一緒に登校出来ないそうだがそれは良かった。
だって本気で心が痛い。
恥ずかし過ぎてもう顔に火が点きそうだしな。
ワロタ.....。
俺の通っている学校。
県立水谷高等学校に行くのが気怠い。
頭を抱える俺。
いや割とガチに仮病使おうか。
引き返せる。
今なら。
母さんと父さんに言ってこの街からいっその事引っ越そうか。
でも父さんは、は?、的な目が点になる反応になるだろう。
そこまでする馬鹿が何処に居るんだ?的な感じで、だ。
でももう穴があったら入りたい。
ボッチ兵の恋心への突撃、失敗しての玉砕。
普段陰口を言われている俺だ。
当然、アイツ馬鹿だ、的な感じでマジに学校中に広まるだろう。
何ならイジメが少し酷くなるかも知れない。
考えながら重い足を動かす。
トボトボ。
溜息を吐きつつ同じ高校の生徒達に混じりながら歩く。
青信号が涙で歪んで見える。
嫌だなぁ。
まさか本当に玉砕するとは思わなかった。
高望みしすぎたな.....うーん。
思いながら.....顔を( ;∀;)という感じで歩く。
すると。
背後から、あ!先輩だ!、と声がした。
明るい可愛らしい女子の声だ。
どうせ別の人に声を掛けているのだろう。
俺はスルーして聞き流しながら特に反応をせずに歩く。
ところがその声は近付いて来ている様な気がした。
そしてこんな大声がしてくる。
いやいや無視!?、的な感じで、だ。
「先輩、先輩って!セーンパイ!」
「.....」
「いやいや!失恋のショックもあるかもですけど何で無視するんですかー!」
俺の肩がバシンと思いっきり叩かれた。
余りに予想外の事態に酷く驚きながら背後を見る。
そこにはムッとした感じの少女が立っていた。
頬を可愛らしく膨らませている。
何だこの可愛子ちゃん。
肩までのロングの黒い髪の毛。
更に胸元が若干開放された服装の制服。
つまり、校則に従ってないが似合う服装に前髪にピンクのヘアピンを2本付け、顔立ちがやけに整っていて。
化粧でも似合いそうな顔立ち。
眼鏡も合いそうだ。
モデルさんか何か?、という感じでかなりスタイルも良くその胸の大きい.....八重歯を見せて微笑む女の子が立っていた。
制服の胸がエロ.....じゃ無い。
ギャルかコイツ.....ってか誰だ!?
「.....ちょっと待て、お前、誰だよ?」
話を簡潔に纏めるがこんな女子は知らない。
そして記憶に無い。
思いながら居るとガーンとショックを受けた様に怯んだ少女。
そして顔を引き攣らせて蹌踉めく。
え?え?
「むむ。高校デビューの所為ですかね。でもそれでも悲しい。先輩の馬鹿。.....私です。矢澤恋(ヤザワレン)ですよ!中学校時代に美術部に所属していた....中学生の時に先輩の後輩だった.....ほら!後ろをとぼとぼ歩いていた三つ編みの眼鏡をかけていた!あの子です!」
思いっきりの長文で解説をする女子。
矢澤.....恋。
あー.....聞き覚えが有る様な無い様な。
顎に手を添えて考える。
そして愕然と顎を落とす。
「おま!?幾ら何でも変わりすぎだろ!分かる訳無いだろ!!!!?アホなのか!?」
「ね?可愛くなりましたよね?私」
「ちゅ、中学の時は何時も俯いていたから分からなかったけど.....お前ってそんな美少女だったのか!?」
まあそうですけど?、と、ふふーんとしながら腕を組む矢澤。
いやちょっと待って何だこれ!?
変わりすぎだろオイ!
俺の後ろを美術道具を一緒に片す為にボチボチ付いて来ていた頃とだ!
愕然としながら聞いてみる。
「でもそんな美少女様が何用だ?俺に」
「せっかく憧れの先輩と同じ学校に入学したのに.....そんな言い方ってなく無いですか?.....あ。そう言えば」
矢澤は俺にニヤッとする。
それから怪しげにニタニタとずっと笑みを浮かべる矢澤。
まさか.....と思いながら俺は冷や汗をかく。
そして遂にププッと手を口元に添えて矢澤は言った。
禁断の一言を、であるが。
「振られましたね。学校一の美少女さん、加瀬馬美香先輩に♪あはは♪」
「アアアアアァァァァァ!!!!!」
この馬鹿野郎クソッタレ女!
絶対の絶対に今のは許さんぞ!
忘れようとしていたガラスハートを打ち砕きやがったぞ!
針で風船を割る様な感じとも言えるかもな!
にしてもうぉぁ!!!!!
考えながら本気でズーンと落ち込んだ俺。
すると矢澤が俺のくるりとスカートを翻す様に前に回り込んだ。
それから目の前に行ってから俺にはにかんだ。
そして少しだけ顔が赤くなる。
それから言葉を発した。
「あはは。でも大丈夫ですよ先輩。.....私が代わりに先輩と付き合いますから。大丈夫です。ノープロブレムですよ」
「.....おう。そうか.....は?」
目が思いっきり点になる。
今ちょっと何つったコイツ。
思いながら居ると、そう言えば先輩。頬に何か付いてますよ、と言われ。
俺は?を浮かべて頬を触った、のだがそれは恐らく騙しであり。
いきなり頬に矢澤がキスをした。
愕然としてバッと身を後退させて矢澤を見つめる。
へ、へぇ!?、と変な声が上がった。
ボッとトマトが熟す様に赤面する。
熱がヒートアップして来た.....って.....な、な、な!?!
何をするんだ!?
こんな事をする女じゃ無かったぞ!
「私、先輩の事が昔から好きです。幼馴染さんに振られたんですよね?だったら私が今から先輩を貰っちゃいます♪」
「.....ちょ、う、嘘だろお前.....!」
「.....嘘じゃ無いですよ。.....こほん。だから先輩。改めて。.....私は貴方が好きです。付き合って下さい」
「改めてって真剣な顔で何を言ってんだ.....ってか、通学路でいきなり告白する馬鹿が居るか!周りの奴らが、何だコイツらバカップル?、的な感じになっているだろ!俺にマジに死ねとでも言ってんのか!?」
本当に馬鹿なのかコイツは!?
思いながら矢澤にこれ以上何かをさせないが為に俺は捕まえようとしたが。
矢澤はするりと俺の腕から抜けてそして俺の腕を自らの腕に組んだ。
そして八重歯を見せてニコッとする小悪魔。
俺は恥ずかしさに思いっきり慌てる。
「私、先輩が大好きだったんです。.....先輩をせっかく追い掛けて来たんですから。このままぶっちゃけ付き合って良いですよね?」
「お前.....本当に.....恥ずかしく無いのか?!」
「当たり前ですが私だってとっても恥ずかしいです。しかもこれって通学路でする事じゃ無いですよね。あはは」
「気付いてるんならお前は自重せい!!!!!」
え?嫌ですよ〜♪そこは自重しません。
だって私は先輩の全てが好きなのは事実ですから、と満面の笑顔を見せた矢澤。
いやいや本当かよ、と思いながら時間が無いので慌てて逃げる様に登校する。
そうしていると背後から冷たい目線を感じた。
「花奏くん」
「.....え.....美香!?何で通学路に居るんだよ!?」
「私は部活の自主練。.....それはそうと何やってるのかなぁ?」
「.....い、いや.....!?」
何故か目の前にジト目の美香が立っていた。
そして俺に美香は近寄って来てそのまま俺はデコピンを美香から食らった。
いきなり何すんだ.....、と涙目で思いながら美香を見る。
そんな美香は何故か知らないが複雑な顔をしていた。
そして涙を浮かべている。
は.....は?ハァ.....?
「私はあくまで花奏を振ったから良いけどね。.....でもこんな場所でイチャイチャしているの気に入らない。だからやめて欲しい」
「それは俺も思っているけど何故いきなりこんなデコピン.....本当に何でだよ.....めっちゃ痛いんだが.....」
「.....ふーんだ」
そしてそのまま矢澤を一瞥して不愉快げな顔でさっさと体操着のまま運動に戻る様に走って行く美香。
俺はスマホで見て反射した赤くなった額を抑える。
そして???を浮かべて立っていると矢澤がニコッとしながら耳打ちしてきた。
「ほらねぇ?あんな事をする様な人とは恋人にならない方が良いですよ。先輩。デコピン.....痛かったですよね.....可哀想に。おーよしよし」
「.....いや.....うん。ちょっと」
俺は恥ずかしさで手で払い除けながら矢澤を再び見た。
でもでも.....これで私と付き合えますね、と矢澤はニコッとした。
それはまあそうだとは思うけど。
でもその.....何で美香はあんなに顔を顰めていたのだ。
泣きそうな顔だったのだ?
しかもお前デコピンって滅茶苦茶に痛いんだが.....。
本当に何でそんな事をするのだ。
油断していた俺も悪いけど。
と、まあそんな事を色々としている中で。
結論から言って俺は矢澤と付き合う事になりそうだった。
俺から提案したのだ。
何だかその。
嫌な感じがしたから。
別の意味で。
これは俺、千草花奏と周りの女子と。
そして美香との.....何か.....おかしなラブコメとなるが.....。
にしても。
何だか全くスッキリしないんだが.....。
まるで心に手を邪魔する様に入れられている気分だよ。
何でこんな気持ちなのか。
そしてこのウズウズをどうしたら良いのだろうか。
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