179bit 楽しい時間


 「そう! 来週1月26日は記念すべき糸っちの誕生日! というわけで、一週間後にみんなで誕生日パーティをしようかと思って! 糸っちは大丈夫ですかい?」


 「え、あ……うん、大丈夫だけどそんな……、いいの?」


 「もっちろん! 最初はサプライズでやるつもりだったんだけど、どうせやるんだったら糸っちの好きなケーキとか用意したいし、今日はそのリサーチもねての集まりだったのだ」


 「雛乃ちゃん……」


 予想外の展開に、糸は思わず顔をほころばせてしまう。


 「雛乃、うまく糸のご機嫌がとれ……」


 「何のことかな真衣ちゃんー」


 皮肉ろうとする真衣ちゃんの口を雛乃ちゃんがあわててふさぎ、その光景をみながら英美里ちゃんがニコニコ微笑んでいる。


 MANIACがまさかこんな雰囲気になるなんて、最初は思ってもいなかった。


 ゆるやかだけど、とてもあったかくて、居心地がよくて。


 私はみんなのような能力、ありそうにないけれど。


 みんなと一緒にいられて――。


 「ちなみに私の好きなケーキは王道のショートケーキ!」


 「糸っちはやっぱりフツーだなー」


 「糸ちゃん、なんだかお子さまみたい」


 「ローソクは5本くらいで」


 「……みんなひどいっ!」


 四人の笑い声が部屋に柔らかいぬくもりを与える。


 そのぬくもりは、糸にとってかけがえのないものだった。


 みんなと一緒にいられてよかった。


 こんな楽しい時間がいつまでもずっと続けば――。

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