13bit か、かっこいい……


 「え、英美里ちゃん?!」


 「あ、ごめんね?! 急に声かけちゃって……。 すっごく悩んでいる様子だったから」


 「い、いえ! こちらこそ驚いちゃってごめんなさい……。 ところで、ユーセン、ムセンって……?」


 糸はてっきりカタカナ語だと解釈したが、どうやらそうではないらしい。


 「有線はコードがあることで、無線はコードがないこと。 無線はワイヤレスともいうね。 無線の方がわずらわしくなくて便利だよ」


 英美里はコードの付いたマウスと付いていないマウスを手に持ちながら説明した。


 「そうなんだね! じゃあ、無線のマウスにしてみようかな。 英美里ちゃん、ありがとう、丁寧に教えてくれて」


 「いえいえ、どういたしまして」


 「糸っちはこれがいいんじゃない???」


 いつの間にか雛乃も段ボールをあさっていたようで、手には大きなボールが中央に付属した板のようなものがあった。


 「これはトラックボールタイプといって、これも立派なマウスなんだよ。 このボールを転がすだけ」


 雛乃はニヤニヤしながら糸に勧めた。


 「か、かっこいい……。 私それにする!!」


 糸はもうトラックボールのビジュアルに心を奪われてしまっていた。


 「糸ちゃん、申し訳ないんだけど、初心者はトラックボールうまく扱えないと思うよ……」


 英美里が心配そうに忠告する。


 「あゔぅぅ……」


 雛乃にまんまとはめられてしまったことを後悔しながら、結局糸はシンプルなデザインの無線マウスを選んだ。

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