14bit itomakiって笑


 ディスプレイもキーボードも選び終えた糸は、雛乃に協力してもらいながらそれぞれのデバイスをパソコンに取り付けていった。


 「そしてここを押せば……。 ほら、ディスプレイが明るくなって起動画面が出力される」


 雛乃の言うとおり、画面にはパスワードを設定するよう要求する文言が映し出された。


 「すごい! 雛乃ちゃん、ありがとう!!」


 「礼には及ばん。 ってここまでなら割と誰でもできる気が……。 本当であればもっと細かく初期設定をしないといけないはずなんだけど、それはハジメさん? か誰かがやってくれたんだろうね。 とりあえず、糸っちはパスワードを設定してみよう。 さすがにパスワードくらいはわかるよね?」


 「ふっふっふっ、雛乃ちゃん、私を甘く見ないでほしい。 私だってスマホ世代、パスワード設定くらいちょちょいのちょいだよ」


 「そうかぁ、感心感心」


 雛乃はわざとらしく返事をした。


 「えっと……i……t……o……m……a……k……i……1、2、6っと。 よし、できた!」


 「糸巻きって……」


 気づくと糸の両隣、つまりは雛乃と英美里がクスクスと笑っている。


 「雛乃ちゃんも、英美里ちゃんも何がおかしいの?! ほらみて! 私パスワード設定ちゃんとできているでしょ!」


 あはははははは、やがてせきを切ったように雛乃が大笑いした。


 「糸っち、パスワードを声に出しちゃ……、パスワードの意味ない」


 「あ……」 

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