8bit うまくやっていけるのかな


 「じゃあ最後の自己紹介、お願いね」


 残るは一人。


 糸の両サイドの自己紹介が終わったわけだから、あとは……。


 横並びの席のうち、一番左端に座るの人のはずだった。


 雛乃ちゃんと重なっていてあまり見えなかったけれどたしか……。


 糸が視線を動かしたときにはもう、彼女はその場に立っていた。


 「目黒真衣めぐろまい。 以上」


 そう言い終えると真衣はそっけなく椅子に座りなおした。


 やっぱり。


 背筋がピンと伸びていて、長く整った黒髪。


 そして、全体のバランスが完璧に整った顔立ち。


 まさしく『美人』とは彼女のためにあるのではないだろうかと思うくらい、真衣さんは美しかった。


 でも……。


 真衣さんの前には途轍とてつもなく高い壁があるように感じる。


 真衣の自己紹介は、糸がイメージする壁をさらに高くした。


 「えっと……、実は真衣は私がスカウトしたんだ。 というか、真衣もみんなと一緒で高校一年生でしょ。 それくらい言えばよかったのに」


 ハジメさんはその場を取りつくろうのに必死だ。


 それにしても、セミナーにスカウト?とはどういうことなのだろう……。


 真衣さんを知るにはあまりに情報が少なかった。


 「ということで、自己紹介も無事に済んだと……。 ここにいる四名、糸っち、雛乃ちゃん、英美里ちゃん、真衣は晴れてMANIACの第一期生だ。 これからはチームとして一丸となって頑張ってもらう。 だから、早めに仲良くなっておいてねー」


 相変わらず適当だ! 


 まだ雛乃ちゃんにはフレンドリーさを感じられたし、英美里ちゃんもフードをとって話すことができればなんとか。


 問題は……。


 糸はさりげなく真衣をみた。


 依然として真衣はツンとましている。


 どうしよう……。


 このチームでうまくやっていけるかな……。

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