第106話 誕生日デート⑥
「とっても美味しかったです!謙人くん、ありがとうございます!」
予約して入ったイタリアン、めっちゃくちゃ旨かった……。あれ、いったいいくらしたんだろう?父さんも値段教えてくれなかったし、相当するんだろうな……。父さん、本当にありがとうございます。
「美味しかったね。涼風が気に入ってくれたようで良かったよ!」
ちなみに、今回の費用だが、涼風にもこちらの事情を話すと意外とあっさり受け入れてくれた。なんでも、
「これで謙人くんとお義父様が遠慮することなく、普通の親子関係に戻れるのであれば、私はありがたくごちそうになります。その代わり、今度会った時、私からもお礼させてくださいね?」
ということだそうだ。まじで俺の彼女、容姿に加えて性格も天使過ぎるんだけど。しかも父さんの事をお義父様って呼んでくれてる当たり、にやけが止まらなくなる。
「それで、次はどうするんですか?」
「次はね……、プラネタリウムに行こうと思って」
「プラネタリウムですか!お星さま、私大好きなんです!とっても楽しみです!」
あぁ……。プラネタリウムにして良かったぁ……。あの時の俺の判断にまじ感謝。だって今の涼風、本当に可愛いんだもん……。
計り知れない幸福感を抱きながら、俺たちはプラネタリウムに向かった。ショッピングモールを出てすぐのところにあるため、やはりそこそこ人がいた。
「意外と混んでるんだなぁ……」
「皆、きれいなお星さまが大好きなんですよ!」
俺的にはきれいなお星さまよりも、超かわいくて綺麗な涼風様の方が大好きだけどね?
でもそういうセリフは後でのお楽しみ。今ここで行ったところで、ムードも何もないからね。
さて、5分も待てば館内には入れたわけなんだが、さっきから星よりも涼風に視線が集まり過ぎていてやばい。まぁ、こんな可愛い子が目をキラキラさせながら星を見つめて無邪気にはしゃいでたら誰でも見ちゃうと思うけどね?
でも、俺の我慢も、少しずつ限界を迎え……、
「涼風……」
「ひゃうっ!け、謙人くん⁉いきなりどうしたんですか?」
我慢しようと思ったんだけどなぁ……。やっぱ俺って、独占欲強め?
周りの人にじろじろと涼風を見られるのが嫌で、俺は星を見ていた涼風に後ろから抱き着いてしまった。当然涼風も驚くし、周りからの注目もそりゃ余計に集まるんだけどさ……。
なんで子持ちのお父さんに俺は睨まれているんだろう?え、あんた、奥さんいるんだよね?
なぜか子供を抱えたお父さんが俺をめっちゃ睨んでくる。あ、案の定、奥さんに足踏まれてますわ。どんまい、パパ。俺の涼風に見惚れた罰だ。
「涼風、プラネタリウム楽しい?」
「はい!とっても楽しいですよ!」
涼風が楽しいって言うんだから、思う存分楽しませてあげたいよな……。仕方ない、俺は必死に我慢するしかないのか。
「謙人くん、心配しなくて大丈夫ですよ。私だって、謙人くんも周りの女の人に見られていて心配なんですから。でも、ここは気にしないようにしましょう?」
「涼風……」
どうやら涼風には、俺が心配しているのがバレバレだったみたいだ。ホント、独占欲が強い自分に嫌気がさしてくる。
「ごめんな。俺、何か嫌でな……。気にしないようにしたいんだけど、涼風が見られてるって思うとどうしても……」
「謝らないでください。それだけ謙人くんに愛されてるってことですから、私、とっても嬉しいんですよ?私も謙人くんのことが大好きなんですから」
今すぐ涼風を膝の上に乗っけて抱きしめながらキスして愛でたい……。でもここじゃそんなことできないもんな……。
ポンポンと涼風の頭に手を乗っけて撫でた。
「ありがとな、涼風」
帰ったら存分に甘やかすことにしよう。そして、今は一緒に二人だけで楽しむとするか!
ちなみに……。館内の人たちの会話。
男。
「お、おい!あの子、めっちゃ可愛くないか⁉」
「ホントだ!マジやべぇな!」
「いいなぁ……。あんな子と付き合えたらなぁ……」
(む?うちの子も、大きくなったらあの子みたいに可愛くなるぞ!って、おい、お前!うちの子を何抱きしめてんだ!)
女。
「ねぇ、あの男の人、めちゃくちゃかっこよくない⁉」
「きゃ~!めっちゃイケメンじゃん!」
「いいなぁ、あんな彼氏いたらなぁ……」
「うわっ!あの子、彼女なのかな?こんなところで堂々と抱きしめるなんて……。私もあんなことされてみたいわぁ……」
(ちょっとあんた!なに女子高生、ガン見してんのよ!あんた、警察呼ばれるわよ!って、ちょっと顔怖いんだけど!何で今度はあの彼氏のこと睨んでんのよ⁉)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お父さん、ついつい涼風を我が子の様に感じてしまったようです。
あ、ちなみになんですが、涼風もかなり独占欲は強い方です。謙人くんほど外には出てませんけど、内では相当葛藤しています。完璧な相思相愛なんで、二股の起こりようがないですね。
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