第12話 後押し
<近藤 夏希視点>
「え?綾女どういうこと?」
「だから・・・秋穂が内村君に告白したのよ。秋穂も内村君の事が好きだったみたいで」
放課後。
内村君と別れて生徒会室で綾女からの週次報告を受けたところで三田さんの告白の事を聞かされた。
三田さんが内村君に好意を持ってたのは見てたら何となく雰囲気でわかってたけど・・・でも告白・・・・?
「そ それで内村君は?」
「うん。断ったみたい。夏希から聞いてた通り"今は人と付き合うとか出来ないって"」
「そ そう・・・なんだ」
「それにしても秋穂を振った上に夏希からも好意持たれてるとか・・・内村君って何気に凄いよね」
「わ 私は・・そんな・・友達として接することが出来る様になっただけで・・」
「本当にそれでいいの?」
「え?」
「秋穂は諦めるつもりないみたいだよ。この先も内村君には積極的にアピールすルとか言ってたし・・・取られちゃってもいいの?」
うそ・・・三田さん諦めないでアピールって・・・
今だって結構内村君に積極的なのに・・・そうしたら私・・・・
「い 嫌だよ・・・私だって・・・・」
「内村君なら結構普通に話とかも出来るんでしょ?」
「う うん」
「じゃあさ内村君って成績良いから勉強会とか誘ってみれば?
"わからないところあるから教えて"とかさ。
夏希が頼めば多分OKしてくれるでしょ?」
「多分・・・・でもそれって2人きりでってこと・・・だよね」
「当たり前でしょ。クラスでも仲良くできてるんでしょ?」
「だけど・・・あれは他にも人が居るからで・・・2人きりは緊張しちゃうよ!」
いくら内村君でも2人きりは・・・
「う~ん。駄目か~
あ、でもこの間おばあさんの家で2人で色々話したとか行ってなかったっけ?」
「あ!そういえば」
確かにあの時は2人で結構長い時間話していたかも。
「うん。おばあさんの家で勉強会すればいいんじゃない?思い出の場所なんでしょ確か」
「確かに・・・小さい頃はおばあさんの家で遊んでたから。平気だったのかも」
「決まりだね。じゃ善は急げってことで今晩にでも内村君に電話しなよ」
「え!!今晩!?」
そんな・・・まだ心の準備が。。。
「連絡先は前に交換したんでしょ?明日結果聞かせてよね」
「う うん」
どうしよう・・・
でも・・・ふゆくんを三田さんにとられたくない。
折角お話しできるようになったのに・・・
------------------------
帰宅後、私は電話を掛けようと何度もスマホを手に取るものの中々電話できず時間ばかりが過ぎていった。
そして、お風呂に入って気持ちを落ち着けたところで、ようやくふゆくんの番号をタップした。
「は はい冬彦です」
ふ ふゆくんが出ちゃった。
そうだよね。ふゆくんの携帯番号だもんね。当たり前だよね。
お 落ち着け私。
「あ あの夏希です。ゴメンね電話なんかしちゃって。今大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。どうかしたの?」
「うん・・・何だかふゆくんの声が聞きたくて」
「え?」
ち 違うのそうじゃなくて・・・・声を聞きたかったのは本当だけど・・・
でも・・・ふゆくんの声を聞くと何だか落ち着くのよね。
「あ、ごめんなさい違くて、そ その・・・そうだ、き 期末試験もうすぐだと思うんだけど・・何だか集中できなくて、良かったら一緒に勉強会とか出来ないかなと思って。ほら2人ならお互い怠けてたら注意できるし。 ど どうかな?」
う うん。筋道は多分通ってる・・・と思うけど・・・大丈夫かな?
「うん。いいよ。何処でやるの?学校の図書室とかでする?」
やった! あと一息だ!
「・・・ふゆくんが良ければ・・・おばあちゃんの家でやらない?」
「おばあちゃんの家って、あの駄菓子屋?」
「うん。鍵はお母さんが持ってるから。一応電気も水道もまだ通ってるし時々お母さんが掃除してたから」
「いいよ。あのお店は僕にとっても思い出の場所だし」
「ありがとう!じゃ じゃあさ、早速だけど明後日とか大丈夫?
明後日は生徒会もないし私も早く帰れるから一緒に」
「そうだね。じゃ明後日の放課後ってことで」
「うん♪」
その後、少し気が楽になったこともあり電話で他愛もない会話をした。
最初は緊張してたけど話し出すとクラスで会話するのと変わらなく話をすることも出来た。
「じゃ まあ明日ね」
「うん おやすみなさいふゆくん」
「おやすみ なっちゃん」
この日は何だか気持ちよく眠りにつくことが出来た気がした。
-----------------------------------
<森田綾女視点>
「ふぅ・・・・」
「これで良かったの秋穂」
「うん。上出来。あれなら近藤さんも内村君に連絡するよ」
夏希が出て行った生徒会室。
隣の部屋に隠れていたにいた秋穂が部屋に入ってきた。
「まぁ夏希も奥手だしこれ位しないと進展することもなさそうだけどさ・・・秋穂はよかったの?秋穂だって内村君の事が好きだったんでしょ?」
「・・・好きだったわよ・・・でも内村君は私じゃなくて近藤さんの方が好きなのよ。関係を聞いたら友達だとは言ってたけど・・・顔を見てればわかるわ。それにちゃんと付き合ってくれた方が私も諦めつくし」
何となく想像つくわね。内村君って結構表情に出ちゃうタイプみたいだし。
でもね。
「内村君の件は残念だったけど・・・秋穂の事もちゃんと見てくれている王子様がいるみたいだし新しい恋に行くのも私は良いと思うよ」
そう言うと秋穂は分かりやすい位に顔を赤くして突っかかってきた。
「に 新田君はそんなんじゃないし!」
「誰も新田君とは言ってないでしょ♪」
「・・・・」
「お似合いだと思うよ。彼はうわべだけじゃなくて本当にいい人みたいだしね」
ふふ、内村君の事を"顔見ればわかる"って言ってたけど秋穂もだよ♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます