第6話 再会と昔話
正直僕は混乱していた。
昔なっちゃんと会っていた駄菓子屋の裏庭。
何故かそこに近藤さんが・・・思わず"なっちゃん"って呼んじゃったけど・・・
ん?近藤夏希・・・夏希?・・なつき・・なっちゃん?・・・って・・え?
「こ 近藤さんが何でここに?」
「ここ・・・お祖母ちゃんの家なの。"小さい頃"良く遊びに来てて・・・ここって私にとって思い出の場所でもあったんだけど・・・お祖母ちゃんが亡くなって随分経つし・・・今度取り壊すことになったんだ。
お母さんが後を継ぐ話もあったんだけど・・・色々忙しいみたいだし。
それで壊す前にもう一度見ておきたくて。
内村君こそどうして?それに"なっちゃん"って」
"小さい頃"良く来てた?
じゃあやっぱり近藤さんが・・・いや・・でもそんなことあるのか?
「・・・間違ってたらごめんなんだけど。
もしかして近藤さんが"なっちゃん"なの?」
「・・・気が付くの遅いよ。ふゆくん」
「え?でも、いつから近藤さんは僕の事?」
「・・・もしかしたらって思ったのは・・・内村君は忘れちゃったかもしれないけど受験の時。私が緊張して一人で居たら話しかけてくれて・・・何だか懐かしい感じがして」
そんなに前から?
「じゃあなんで今まで?」
「何だか内村君って話しかけずらい雰囲気だったし・・・それに私の事覚えててくれてるかもわからなかったし・・・そもそも嫌われてるんじゃないかって」
確かに高校入ってから意図的に周りには壁作ってたからな。
でも僕がなっちゃんを嫌ってる?どうして?
「僕が何で近藤さんの事は嫌うの?」
「だ だって何も言わないで急に居なくなったんだよ?」
「・・・確かにここには、なっちゃんが来なくなってからも何度探しには来たけど・・・寂しかったけど・・・・なっちゃんにも事情があったんだろうし別に嫌いになったりは・・・
あ、ゴメン つい"なっちゃん"とか呼んじゃった。馴れ馴れしかったよね」
「お 怒ってないの?私の事嫌いになってないの?じゃあまた友達になってくれるの?"なっちゃん"って呼んでくれるの?」
そう言いながら近藤さんが少し涙目で僕に詰め寄ってくる。
何だかシャンプー?のいい香りがする・・・い いや違う。ち 近いです近藤さん。
「うん。特に怒ったりして無いよ。友達は大歓迎だよ。
とりあえず落ち着こう近藤さん」
「違うでしょ!」
「へ?」
「"なっちゃん"って呼ぶって言ってくれた!」
って言ってもさ・・・今や近藤さんは川野辺高校の生徒会長で"氷の美少女"とか呼ばれてるくらいの素敵な女性で・・・
それを僕みたいなのが"なっちゃん”とか馴れ馴れしくないか?
「でもさ・・・僕が近藤さんのこと・・・」
「"なっちゃん"でしょ」
「いやでも・・・」
「・・・・」
「はい"なっちゃん"」
「うん"ふゆくん"」
「え!ちょ!」
近藤さんあらため"なっちゃん"は僕の事を"ふゆくん"と呼びながら抱き着いてきた。
何コレ?良いのかこれ?
もしかして付き合っちゃうの?
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<近藤夏希視点>
「ちょっと綾女!聞いてよ。さっき内村君とお話しちゃったんだよ!」
「ふ~ん」
私は"ふゆくん"との再会のあと裏庭の縁側に昔みたいに並んで座って、今まで話せなかった当時の話や想いを沢山話した。
ふゆくんも私の事をずっと覚えていてくれたみたいで・・・凄く嬉しかった。
それに最初こそお互い緊張してたけど次第に昔みたいに楽し気に話も出来た・・・と思う。
あまりにも嬉しかったので家に帰って早々に綾女に電話をしてしまった。
ただ、相変わらずというかこちらのテンションに比べ綾女の反応は薄い。
「ねぇ!ちゃんと聞いてる?」
「聞いてるわよ。どうせ今度は帰りの挨拶が出来たとかそういうんでしょ?」
むぅ~。今度は今までとは違うんだからね!
「違うの!今度は1時間以上も2人きりで色々とお話したの!」
「・・・・」
「ほ 本当だよ?」
「・・・って本当!そんなに長い時間2人きりで?」
「う うん。凄く楽しかったの。それに私の事を昔みたいに"なっちゃん"って呼んでくれたし(ちょっと強引に言わせた感もあるけど)」
「凄い進展じゃない。おめでとう!」
「ありがとう。何だか嬉し過ぎて電話しちゃった」
「うん。私も卒業までに何とか出来ればとか思ってたけど良かった!」
その後も綾女お勧めのデートスポットとか色々アドバイスを貰った。
でも・・・私もふゆ君も受験生だしそんなに遊んではいられないよね。
ふゆ君も受験勉強頑張ってるみたいだし邪魔しちゃだめだよね。
あ~でも私が我慢できないかも。。。
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<森田綾女視点>
やっぱり夏希かぁ・・・
確かに夏希の方が内村君への想いも強いだろうし、内村君も夏希の事を思い出したんなら・・・両想いだよねきっと。
秋穂に"友達以上は多分無理だからあきらめろ"とか言いずらいよなぁ・・・・
あの子意外と気が弱くて打たれ弱いし・・・どうしよう。
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