期間限定公開 最後の花見がるなしゃまの場合(推しとお花見 延長戦)

「ねーねーチョと」


 とある日の放課後、帰り支度をしていた俺の背中に軽い衝撃。


「な、なんですか?」

「ま、いーからイーから」

「ちょ待っ……


 なぜか最近ちょっと仲良くなったクラスメイトの激カワギャルに有無を言わさず連れ去られてしまった。強引に腕を組まれてその状態でずるずると引っ張られて行ってしまっている。廊下や校門の辺りでたくさんの人に見られて本当に恥ずかしかった。

 そして何より、このギャル特有の距離感。近すぎるんだが。勘違いしちゃうじゃん。誰にでもそうなの? ギャルって怖い。

「ちょ、さっきからずっとその……えーと、あ、あたってるん」

「あててんのヨ?」

「ちょな、何言って……」

「ふふふ、ぴゅあっぴゅあだネー」

「からかわないでください!」

「でもネ、そーゆーの嫌いじゃないかも」

「……だからぁっ」


「はいッ到着~♪」

「え、ここは……?」

 目の前には一面の花びらが桜色に輝いて揺れていた。今立っている橋の下に小川というか小さな水路が流れており、両側に桜並木がずらっと並んいる。少し傾いた陽の光が花々の間から零れるように降り注ぎ、その光の中を桜の花びらがひらひらと舞い落ちている。その花びらたちが水面の上を桜色の絨毯のように埋め尽くしてゆっくりと流れている。学校の近くにこんな場所があったなんて……


「どう、すごくナイ?」


 自信満々に彼女が胸を張って言う。

「ああ……」

「ここ、いいでショ。穴場なんだー。意外と人に知られてないっぽくてさ。ずっと彼ピと一緒に来たかったんだ~」

「か、彼、ぴ?」

「うん。彼ピ」

「そ、そうなんだー。じゃあ、その彼と一緒に来ればよかったんじゃ……へ?」

 俺の台詞に目の前の激カワギャルの目が急に冷たく細くなった。

「ふざけてるン?それともモノホンの馬鹿?」

「え?」


「だから……もう夢はかなったカラ……」


「え、それって……」


「だから、キミがアタシの……か、彼ぴって……コト」


「え……? は、初耳なんですが」

「……みなまで言わせないでよネ」

 激カワギャルはそう言うと俺の腕に絡められた腕にさらにぎゅっと力が込められた。

「だからァ……アタシ、キミのことがす……」

 きゅん♡

(ここでBGM 君の笑顔はまるでたーいよう~♪ byオーイ〇マサヨシ)



「はいっ BPM95ですねー まずまずの好成績でしたー」

「まあまあカナ。もうちょいドキドキさせたかったケドw」

「いや、十分でしょ。正直演技とわかってても心臓に悪いんだが」

「まあウチの兄貴はチョロインですからねー」

「勝手に変なあだ名つけんじゃねえ!」


「で、このお花見SSの変な企画、去年で終わったんじゃなかったの? またこんな茶番に付き合わされるなんて誰得なの? 読者も正直白ーい目で読んでると思うんだけど。あと、もう大分桜散っちゃってると思うんですけど、もうちょい早くアップできなかったんですかね? 色々と言いたいことが多いんですが」

「さらたんもう辛辣すぎて死ぬ」

「そりゃ兄貴にとってはかなり役得なんじゃないですかぁ? 合法的に美少女たちとの告白シチュを追体験できるんですから」

「いや、俺は全然望んでないから」


「ウソだぁ~兄チャソ、ずーっと鼻の下伸びてたよ? 間近で見ててちょっちキモかったもん」


 がーん。唐突にルナしゃまから爆弾発言を食らう。


「ルナ先輩? ちょっちじゃないですよね? かなりキモイの間違いですよね? その辺りちゃんと伝えとかないとこのどうしようもないお花畑の頭のお兄さんは凝りませんよ?」

 桜玖良? 俺最近お前になんかした? さすがに辛辣すぎんか?

「まー男子はそうユー生き物って聞いてるし、アタシはちゃんと理解あるよ? オタクに優しいギャルだもんねー?」

「オタクに優しいギャルなんて現実世界には存在しないんだよ!!!! アニメ好きなんだー何が好きって聞かれて正直に答えたときのあの微妙な空気「あ……そ、そうなんだ、へぇー」に君は耐えられるのか!? あと俺をその他男子とひと括りにしないでくれ!」

「え、じゃあ兄チャソはウチらのこと、そーゆー目で見てないって言うン?」

「え?」

「ん~~~?」

 ルナしゃまが下から俺の顔を覗いてくる。おい見んなっ! そんな至近距離でまじまじと見つめてくんなっ!

「うん、やっぱ鼻の下伸びてるワ。マジうけるー兄チャソきゃわいい~」

 どこがオタクに優しいギャルだって!?


「でさー、次は誰やるノ? しほりん→ミキしゃま→さらたん→で、ウチ。ってきたでしょ? 次は……」

「もういいんじゃないこんな茶番クソ企画。って言いたいとこだったけど、実はまだやってなかった子がいるんだよね?」

「え、誰~?」

「アンタよ。亜季乃」

「ぎくっ」

「さ、次は妹の羞恥プレイが見れるんだね? 楽しみだなあ……」

「来年に持ち越しで……」

「私に恥かかせといて亜季乃だけやんないのはずるいわよね」

「あっれー、まだヒナちゃんやってなくね? あとサキちゃんも、もっと言うとhiro様もっ! もっともっと言うとゆーこちゃんも! まだまだウチの出番は遠いかなあ、あはは」

「次回予告! みんな大しゅきみんにゃの妹亜季乃チャンによる桜の木の下のthe茶番劇☆! こうご期待だニャ!!」

「茶番言ってるし……ってミキしゃまいたんかい!」

「ミキしゃま! が言うならウチ頑張ります! 兄貴っ覚悟しとけよ!」

「ガチで罰ゲームなんだが……」







 本編続きは只今前後関係チェック中しばらくお待ちを

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