番外編 アイドルと夏祭りに出かけたら。完
なんかそのままの流れで5人全員におごらされそうな寸前まで行ったのだが、さすがに初対面のルナ様?たちがやんわりとお断りしてくれたおかげで妹のかき氷のお代だけで済んだ。
「ねえねえそっちの綿あめちょーだい?」
「じゃあそっちのも」
「いいよー」
「しほりん様! どうぞ私めのかき氷を味見なさっては頂けないでしょうかっ!」
「亜季乃さん、いいのですか?」
「むしろいいでございまするっ!」
「え、ええと、では……」
「亜季乃、うちにもくれんー?」
「おけ〇ー」
うん、肩身狭い……
なんで今日俺ついてきたんだろう?
「亜季乃、舌めっちゃ赤いんだけどウケる~」
「マジ? あ、でもさくらちゃんも真っ赤やで」
「本当ですね」
「そうなん? じゃあしほちゃんもじゃない?」
「え、私もですか?」
「やーん、しほりん様と同じ色の舌とかマジ死ぬる~~~!」
うん、本当に肩身せめぇ……
「お、お兄様? どうですか?」
え?
突然話を振られたのですぐに反応できなかった。
ひとり彼女らの後ろを歩いていた俺の方に振り向いたしほりんが、ぺろっ、ちょびとだけ舌を出してきた。
きゅん♡
マジ尊いしかないやばみ~
本当に可愛すぎるんですけど!
そして舌先だけがわずかに赤くなってて、そしてその小悪魔っぽい仕草が……うん、かなりドキッとしてしまった。この子……本当に中学生ですか?
「あ、赤く……なってるね」
「そ、そうなんですね?」
「しほちゃん? わざわざお兄さんなんかにサービスしなくてもいいのに」
「さ、サービス? なんてそんなつもりでは……」
「はぁ兄貴本当に役得だよねー、ウチらに感謝しなよー?」
「へぇへぇ」
確かに、亜季乃には感謝しなくてはいけないのかもな。ただ、ただただ肩身はせめえよ?
「お兄様も……何かお食べにならないのですか?」
「え、ええと、俺はいいよ……またあとで落ち着いてからで」
「もしよかったら……ですけど、私の少し……食べます?」
え?
しほりんの手に握られているのは、真っ赤なりんご飴、だった。
いや祖谷売り無理無理李むりり
そんなの、なのっ、か間接……キスになっちゃうじゃないかぁっ!
お兄様は許しませんよそんなの! しほりんは天然すぎるというかガードが緩すぎるというかもっと警戒心を持って! 無邪気にそんなこと言えるしほりんが憎らしいぜまったく! と思いきや、若干しほりんの頬がりんご飴のような色に近づいている気が……え?
「い、いやだ、大丈夫だから……」
「そ、そうですか……?」
しほりんの少し残念そうな顔、えっ、そっ、そんな顔しないでよ! 俺だって本当はしほりんのりんご飴食べたいです!(なんか言い方がイヤらしいぞおい)
「ねーさらたん? あの二人ってまさか付き合ったりしてンじゃないでしょウね?」
「断じてないです。ご心配なく」
「そのわりにはなんか雰囲気が甘甘なんですけど……」
「まあしほちゃんの方は大分天然入ってるんですけどね。男の方は馬鹿なだけですけど」
「おいコラ桜玖良聞こえてんぞ!」
「馬鹿にバカって言って何が悪いんですかね? お兄さん?」
「俺のどこが馬鹿なのか説明してもらおうか?」
「妹の友達のアイドルに会いたいがためだけにお祭りについてくる男のどこが馬鹿じゃないんですか?」
「は? 俺は亜季乃に言われて仕方なく……」
「え、しほりんの浴衣につられてのこのこやってきたんじゃなかったんでしたっけ?」
「は、はあっ!?」
「そ、そうなんですかお兄様っ?」
「いや、ち違……」
「……違うのですか……」
その瞬間っ悲しそうな表情になるしほりん……反射的に俺は答えてしまう。
「いや、違いませんっ! しほりんの浴衣姿につられてきましたっ!」
「お兄様!」
「ぅへえ……ドン引きぃ。お兄さん変態ですね」
「兄貴! 恥ずかしいから自重してよね!」
妹よ。人の振り見て我が振り直せ。少なくともお前だけには言われたくない。
Look who's talking! Who are you to say that! You're the last person who can scold me.
「てかさー、思ったんだけどぉ。お兄さんってさぁ、めっちゃ呼び名多いんだけどウケる」
突然にルナ様がそんなことを言う。いやな予感しかしないんだが。
「ああ、言われてみれば……そうですよねw」
「結局この……アキノちゃんのお兄さんなんでショ?」
「そうなんです。残念ながらウチの兄貴なんですぅ」
「おいなんだよ残念って!」
お前の方が残念妹だよ!
「いえいえルナ先輩、とっても優しくて頭も良い素晴らしいお兄様ですよ」
「へぇーそうなん?」
ルナにじとーっとした目で見られている。うん、居心地が悪い。
「はいっ! 私もずっと勉強教えて頂いてるのですが、とても教え方がお上手で、もう本当に頼りになるんですからっ!」
「ふうん。なんかさぁ、味方がしほりんだけっぽいのマジウケるw」
いや、ウケねえから。
「まさか勉強以外のコト教えてたり……しないでしょうね……?」
「は?」
ルナ様…ではなく、突然もう一人の新入りの方から攻撃を受けて、俺は思わずたじろいだ。な、なんてこと言ってくるんだコイツは!しほりんが聞いてるんだぞ!誤解されたらどうする気だ!
「いやいやそんなわけない……」
「お兄様って勉強以外も何か教えて頂けるのですか?」
「「「「「え?」」」」」
なんか微妙な空気が漂う。おい、新入り! お前のせいだぞ!
「あはは~この子めっちゃピュアだねー」
「そうだよーしほりんはウチのピュアオブピュアだからネw」
「???」
「大丈夫ですよーウチの兄貴はザ・ヘタレって感じなんで~ww」
「お兄さん、っマジでうちのしほちゃんに変なことしないで下さいよ」
「いや、完全に飛び火なんだけど」
「お兄様?」
そのとき、不意に横にルナ様がやってきた、え、何だよ?
「ねーねーお兄サン?」
「な、ナンデスカ?」
「じゃあ、そうだなー、ルナはねー? 兄貴ちゃんって呼ぼうカナ?」
「はぁ?」
思ったより冷たい声が出てしまった。なんでこうみんな馴れ馴れしいのか。お前年下だろ俺より。
「ルナちゃん? ミキ先輩もそう呼んでるよ?」
「あ、マジ? てかミキとも面識あんの? どんだけチャラいのよーお兄さーン?」
「いや、チャラくはないんですが」
「じゃあそーだナー……兄貴チャソ、いや”兄チャソ”って呼ぶね?」
「ギャル語ぉおおおおお!」
「兄チャソ♡」
「ぴぇええええええええええ」
「マジウケるぅ(*'▽')」
そのあとめっちゃ花火見て帰った。
完
花火シーン書くためにやってたのに結局花火シーン0という……次回から本編に戻る予定デすw
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