第7章-3 一瞬間フレンズ
しほりんの学校の場所はちょっと調べたらすぐに分かった。市街地から外れた学園都市とでもいうのか、周囲に他にも高校や大学などが見られる文京?地区みたいな感じのところにあった。テスト週間の時、しほりんに勉強教えるために行ってた粟島の図書館の方に近い。
作戦はこうだ。
放課後、校門外で待ち伏せる。しほりんが門から外に出てくるところを突撃して、そこでしほりんの意思を確認する。こんな感じでいたってシンプルである。Simple is Best!
正直、女子校の門の外で待ち伏せすることに関して思わないところがないわけではない。セキュリティ的にそして倫理的にどうかと自分でも思う。しかし事は一刻を争うのだ。しほりんの本当の気持ちを確認しないことには先に進めない。しほりん引退回避のためにもつべこべ言ってられない。やるときはやるのだ!
問題は、俺の学校が終わってから急いで行ったとして、しほりんが出てくるのに果たして間に合うのだろうかという事だ。向こうの授業が何時に終わるかわからないし、どこの学校も大体同じくらいの下校時間だとしても、ここから30分は絶対かかる。たどり着いたときにしほりんがもう帰ってしまっていては元も子もない。ただ、今はそれ以外に方法がない。ダメだったらそれまで、そこからまた作戦を考えるしかない。俺はやるぞ~絶対受かってみせるぞ~♪
授業チャイムと同時に教室うしろのドアをバン開けして走り出す。薄暗い駐輪場へ
駆け込むとそこには俺を待つ相棒の姿が、そう、俺の愛車ピナレ〇(違う ブリヂス〇ン)だ。校門を一気に駆け抜ける。そうさ再び魅せてやる。俺は山王! このハイケイデンス逆クライムを見晒せぇ! 前回の時よろしく平坦道の国道を全速力で走る。俺はライトニングチェイサーだブハァ まだまだいけますよね答えはYesですかブハァ? 真っ〇直ストレートぉっテ! もっこすー! 市街地を抜けて丘に向かうつづら折り(そんなに急な山道ではない)に入る。俺は皇帝マウンテンカイザー富士より高い山はねえ仏の顔も3度までぇ!
てな感じで何とかしほりんの中学までたどり着いた。はぁはぁ……たまの運動は体にいいはずなんだが、これでは逆に体に悪いかもな……もうちょっと普段から運動しよ。さて、校門から少し離れたところで自転車を止めて様子をうかがうことにしよう。ぽつぽつと制服の女子が校門から出てくるのが見えた。ただここからじゃ顔までよく見えない、もう少し近くまで……おっと、警備員らしき青い服の人を発見。校門の両側に一人ずつ立っている、厳重だなオイ。これは近づきすぎるとガチで目つけられて職質されるかもな……これはしほりんが出てきたのに気付いたとしても迂闊に接触しにくいぞ。ストーカーかなんかと間違われて拘束される未来まで見える。さすが天下のお嬢様学校。セキュリティも問題ないぞ、☆5つあげちゃう!
5分ほど待って、何人もの生徒が出てきては駅の方に歩いていく、もしくは道端にずらっと並んだ送迎用?の車に乗り込んでいく。さすがお嬢様女子校。ってかしほりん絶対車でお迎え来てるだろ。こんなん校門出た瞬間で捕まえなきゃ無理やん、そして門の両側には金剛力士像よろしく警備員が阿吽の呼吸で目を光らせていて……詰んでるやん! ここまで来といてなんだが作戦変更する必要あるかもな……やっぱり桜玖良の力を借りて、いや無理だ。まだ女社長の方に頼む方がましか……ここから事務所までどうやって行くのが早いのかなあ、なんて考え始めていた。
その時だった。校舎の方から現れてきた一人の女生徒。そう、見間違えるはずがない。親の顔より見たお顔(嘘)超絶激キャワ完璧JCアイドルしほりんのザ・制服ver.である。久しぶりの生しほりんに涙が出そうになる。うわあ、ストーカーってこんな気持ちなのかぁ(白目)思わず口から声が出る。「しほ……」しかし、そこでふと我に返る。ここから叫んだら逆に目立つ。警備員に目はつけられたくない、それでいてしほりんと自然な形で接触するには……そうだ、校門前をチャリで回送(怪走)してちょうどしほりんが校門から出てくるタイミングでランデブーしてさり気なく声かけて気づいてもらって……よし! これしかない! 俺はとっさの判断でチャリにまたがり接続水域(沿岸から24海里)へと侵入していく。20m、15m……少しずつしほりんの御キャワいいお顔の視認度が上がっていき、そして10m、5m……ついに、ピッタリのタイミングで校門前のラグランジュポイントに到達、すーきーまーはゼロセンチ~メ~トル~♪ 的なとこまで来た。そこで重大なことに気づいた、隣に誰かいる。多分友達と楽しそうに談笑しながら歩いているのだ、こ、これは予想外だ! しかしここまで来といて後には引けぬ。俺はしほりんにだけ聞こえる周波数(何ソレ?)で「しほりん♡」とメッセージを発した。お願い気づいてしほりん! すると、なんという事でしょう……なんとあのしほりん様がこちらを振り向いたではありませんか! まさに匠の奇跡でありますっ!(ちゃららん~ちゃーらーららー♪ バックに劇的なBGMをお流しください)完全に目が合った二人……「しほりん、ひ、久しぶり……」と目で訴える。久々に会ったしほりんは相も変わらずお美しかった。そして俺の方に気づいて目をまん丸にして「お兄様……!」という顔になって、そしてそのまま……「おにぃ……」
え?
ぷいと目をそらされた。そのまま俺の目の前を友達と二人で歩き去っていく。
え?
しほりん! ちょっ……待テヨ~?
え、気づかれなかった? そんなわけない、だって完全に目が合って「お兄様」って口が動きかけて、それでいて……
え? まさか、これが……シカト……というやつですか? いや、そんなしほりんがそんな……これはきっと、しほりんの記憶が某〇宮さんみたいに一週間で失われてしまう現象が発生したのではなかろうか……? (あの「な、何ですか…?」は辛かった。長〇君……)いやそんなわけないだろ、これはガチで
無視された?
「しっ……」
思わず声が出てしまった。これが完全に悪手であった。あろうことかそこは阿形の方の警備員の真正面だったからである。そしてしほりんの友達の方が俺の声に気づいて完全に振り返ってきた。でも肝心のしほりんは向こうを向いたまま。おれはパにくってチャリを止めてしまっている。あ、詰んだ……
「君、どうしたんだい……?」
吽形の方までが俺の方に近づいてきて声をかけてきた。あ、オワタ……これはガチで不審者職質拘束案件待ったなしコースである。遠ざかる君の背中……俺は最後の力を振り絞って、「しほりん!」と叫ぼうと考えたが、声が出なかった。今ここで叫んだら、ガチで言い逃れできなくなる。冷静に考えて、学校でしかも友達と一緒での状態で俺と話すというのはしほりん的にアウトの行動だ。特に俺としほりんの関係は……説明しても理解してもらえるかわからない。大人気アイドルの家庭教師という関係は決して公にしてはならないのだ。しほりんに無視されても仕方ない。
「え、ええと……」
だめだ、何か言わなくちゃ、早く弁解しないと……そう思えば思うほど何も言えなくなってしまう。喉からひゅーと空気だけが抜けていく。まずいまずいまずい、このままじゃ……
「どうしたの君、大丈夫かい? ちょっとこっち来ようか?」
ガチでオワタ……
女子校前で不審ストーカー的行動……学校と家に連絡がいく……マジでシャレにならん、亜季乃……すまん。お兄ちゃんはおしまいデス(あれ、タイトルこっちの方がよかった?)なんでこんなことに……俺は一体どこで間違ってしまったのだろうか。
「先生、どうなされたのですか?」
p.s. 今回の作業用BGMは「〇」藤宮〇織(cv:雨宮〇)でした
途中のラグランジュポイントという言葉で、そう言えば昔スキマ〇イッチのライブ
に行ったなあと、ツアーTがオキニであの頃めっちゃ着てたなあ……そこからの→奏→一週間〇レンズ という連想w
ちなみにラグランジュポイント(LAGRANGIAN POINT)とは天体力学における円制限三体問題の5つの平衡解、すなわち天体と天体の重力で釣り合いが取れる「宇宙の中で安定するポイント」(ウィ〇参照)そういう意味では本文の記述はランデヴーポイントとすべきだったのだが、勘違いしたままここまで書いといて引くに引けなくなったw
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