期間限定公開 黒ストみきしゃまサンタと

 ジングルベール ジングルベール すっずーがぁなるぅ~♪


 今年もまたこの日がやってきた。世界中の子供たちに夢を与える聖なる夜が。ワシは大きな白い袋を抱えて出発の準備をしていた。子供たちの喜ぶ顔を思い浮かべただけでわくわくが止まらない。そして今年は楽しみがもう一つある。


「今年は……どんな格好で来てくれるんじゃろうかの?」


 思い返すのは昨年のクリスマス。二人の激カワせくしぃーサンタのことだ。一人はもう見るからに清楚系で美人で可愛くてスタイルもよくておまけに性格まで最高でまさに非の打ちどころのないPerfect!!!なミニスカサンタさん。そしてもう一人は口を開くとちょっと残念なところはあるんだけどそれを補って余りある小悪魔系で可愛くてめっちゃスレンダーで性格はまあちょっとあれだけどちょっとドS気質も兼ね備えてるセクシービキニサンタさん。やべっ思い出しただけで鼻血出そう……まあそのあとは無理やりトナカイ役させられて鞭打ちの刑にあって思い出すのも憚られる黒歴史ではある。


「そろそろサンタさんが来てくれる頃なんじゃが……」


 ちらっと窓の外を見る。白い雪がはらはらと舞い始めていた。今日だけはこの町も真っ白に染まるんだ。まるで魔法にかけられたみたいに、ね。


 からんから~ん


 ドアベルが鳴った。ワシははやる気持ちを抑えて、一つ深呼吸をしてそしてゆっくりとドアへと向かう。


「おお、いらっしゃい」


 心の動揺を決して悟られないように、ゆっくりとした落ち着いたしゃべりを心がける。


「お兄様……今年もよろしくお願いしますねぇ」


 ドアの向こうからしほりん?の声が聞こえてくる。はて今年はどんな格好を見せてくれるのだろう……去年のミニスカもよかったけど、ビキニサンタとかやってくれたらもっと嬉しいかなぁなんて、げへへへへへ


 がちゃん


 扉が開いて入ってきたしほりんの格好は……


「はぁー~い! おっにいさまぁあ~? どーもぉ、お待たせいたしましたぁ。アシスサンタのぉ、しっほりぃ~んでぇす! きゃはっ☆」

 

 ワシは無言で扉を押し返すことにした。


「ちょっとひどーい何で入れてくんないのー? ぷりぷり♡ しほりーんおこっちゃーうーなーーぁ↑^。^?」

「誰だよお前、しほりんの名を騙ってんじゃねえよ!」

「えーサンタのおじいさんったらー目ぇダイジョウブぅ? アタシはぁ、まっごうことなきぃ、しっほりーんだよっ⁉☆」

「言われんでも目は大丈夫だよ(怒) お前はみきしゃまだろうが。お呼びしてないですけどぉお。一体何の用ですかぁ?」

「なぁーんだ、ちゃんと知ってんじゃん。えっらいぞーちゃーんとこの超絶激カワ銀河系イチきゃわわわなアイドルサンタのみきしゃまサンタのことを知ってるなーんて、Ω高いでーすね?」

「オメガとか記号使ってんじゃねーよ! で、しほりんはどこにいんだよ?」

「え、ここにいんじゃん?」


 自分を指さして目をクリっとするみきしゃま。イライラゲージがふつふつと上がっていくのを感じずにはいられない。


「ま・じ・め・に聞いてるんですけど?」

「えー、いないよ?」

「なん……だと?」

「だってしほりんサンタが今年はなんやかんやで来れないからって聞いて代わりに頑張って私が来てあげたんだよ~? もっと感謝してくれてもいいのに、さっきからサンタさんったらひっどぉおおおい。ミキ、泣いちゃうぞ?☆」

「どうぞご自由に」

「え~~ひどいひどいい。それって女の子に言うセリフじゃなくないー? 私だってぇ結構カワイイって言われるんだけどなあ?」

「チェンジで」

「ぴえーーーーん」



 失意のどん底ではあったが、これ以上遅くなると子供たちにプレゼントを配り切れない。ここは気を取り直して……

「はぁぁ」

 ため息が出ちゃう……だってしほりんいないんだもん! しほりんのいないクリスマスなんて、笑うことないサンタのよう……である。もうワシは笑えないかもしれない。


「あっぷっぷぅ」


「ぶっ」

 目の前に変顔をかましてきやがったみきしゃまサンタ。

「やっと笑ってくれたね?」

「いや、仮にもアイドルがそんな変顔してんじゃねえよ?」

「へへっ、ちゃんとアイドルってみとめてくれてるんだ~?」

「そりゃそうだろ、だって……」

「だって……な・ぁ・に???」


 下から覗き込むようしてにやにや顔を見せてくる。うん、普通にこのみきしゃま、可愛いのである。しほりんとはまた違う系の可愛いアイドル、ハイテンションな嵐を呼ぶ少女、ころころと変わる表情が魅力的なおてんば陽キャ系の、そしてスタイルもよきよき、短めのスカートから伸びるほっそりとした黒のストッキングに包まれた脚……いや、なんか、むしろ結構エ〇い……若干透け気味というか完全に黒ではなく、その膝とかふくらはぎの膨らんでいるところがわずかに下の肌色を透けさせているのが、もうたまらん。(推定60デニール)その脚線美のラインを指でなぞりあげたいう欲求に駆られる。だめだだめだ俺にはしほりんが……


「あはっ★ お兄様ってやっぱり噂通りのちょっとむっつりスケベ気味なんですねっ? いやぁ~~んっ♡ 襲われちゃうううぅんっ♡」

「チェンジでぇええっ!!!」








 2021クリスマスSSでしたー

 仕事はいつも通り遅くまであった何の変哲もない夜。せめてもの雰囲気のために眠い目こすって慌てて書きましたー。聖なる夜にーかんぱぁーい! 




 Merry Christmas!!!


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