期間限定公開 最後の花見がしほりんの場合(推しとお花見 前編)
「すごく綺麗ですね、お兄様?」
「そ、そうだね……」
満開の桜の下で満開の笑顔を咲かせるしほりん、うん。すごくきれいなのはしほりんなんですが。そんな言葉が言えるはずもなく。桜の花に顔を近づけて、目を閉じて、春の香りを感じているその横顔。うん、尊みが深い。恥ずかしくてまともに見れないから自分も桜の花を見ているふりをして、しほりんの横顔を覗き込むことしかできない。ふとしほりんがこちらを向いて、目が合ってしまった。一瞬目線を外すのが遅れてしまい、さっきまでしほりんの方を盗み見ていたことがばれてしまったっぽい。ひらひらと舞い落ちる花びらの雨の中で、しほりんがこっちを向いて
「ねえ、お兄様?」
「な、な何かな……?」
「私……お兄様に言わなくちゃいけないことがあるんです……」
そう言いながら、しほりんがこっちに向かって一歩踏み出してくる。おいおいおいおい。だんだんと距離が近づいて行って、目の前に桜の枝を一つ挟んで、その花びらのすぐ向こう側にしほりんの顔が。そんな至近距離、しほりんの唇がゆっくりと開く。
「お兄様、私ずっとお兄様のことを……」
「カーットカーットカァーットォ!!」
「何だよ亜希乃、いいとこだったのに……」
とかいいつつも内心助かったという気持ち。心臓はバクバク。
「そうですよ亜希乃さん。空気読んでください」
「いーや、もう充分ですってー。はいっ、測定結果出ましたー! しほりんの記録ー94bpm!」
「やったーっ……ってどうなんですのその記録は?」
「まあ一人目だから……でもさすがしほりん様。もうあのムシケラ兄貴なんて息の根が止まりそうなくらい心臓バックバックに追い込んでましたねー」
うん、それについては異存なし。
「それでは二人目に行ってみましょーーー挑戦者はぁ、輝く新人アイドルさらたんことさくらちゃんでっす!」
「えー、やっぱやりたくないんだけどー」
「ダメです! でないと挑戦者一人でしほりんの優勝になっちゃいます!」
「なんか亜希乃いつもとノリちがくね?」
「さあさあさくらちゃん!」
「もうしほりんの優勝でいいよー。ってかこの茶番何? 一体何競ってんの? お兄さんの心拍数アゲアゲ選手権とか、誰得なの?」
「まあまあさくら様。その辺は大人の事情ってもんがありまして……げへへ」
「亜希乃本当キャラどした? 作者書くの久しぶり過ぎてキャラの口調とか忘れちゃったんじゃないの?」
相変わらず休載開けでも毒舌ぶりは何も変わっていないさらたんであった……
「それにさぁ、また先週休載しといて今週もこんな茶番やってて大丈夫なの? 本当この作者頭だいじょうぶ?」
それについては俺も桜玖良に同感である。さっさと本編やってほしいというか、早くあの女装パートというか黒歴史を終わらせてほしい。
「ねえねえ、なんか面白そうなことやってんねー?」
え? 誰? 突如登場した新キャラにざわめく俺たち。
「やっはろーーしほりちゃんにさくらちゃん」
「あれ?ミキ先輩にちひろ先輩じゃないですかー」
「先輩方、お久しぶりでございます」
どうも新キャラではなかったようである。しかし俺とは直の面識はない、さて空気に溶け込まなくては。
「あ、あきのちゃんの兄貴さんですよねー。こんにちはーっ」
え、え、やべ。俺のステルス能力が……
「こ、こんにちは……」
「あれれぇーまさか緊張してるー? そんなかしこまらなくていいよーっ、これからよろー?」
「お、お、よろしくおねがいします……」
「ねえあきのちゃん、兄貴さんっていつもこんな感じなの?」
「すみませんミキしゃま。極度の人見知りと重度の引きこもりなもので……それでいて知り合いには強い態度と我を見せつけてくる内弁慶亭主関白な厄介者でして……身内ながらお恥ずかしい限りであります」
うん、否定しないけど言い過ぎだろ我が妹よ。
「ふぅーん、でも可愛いね? 嫌いじゃないよそゆトコ」
そしてバチンとウィンクしてくるミキしゃま。きゅううん♡ やめてぇえ俺らきょうだいまとめて篭絡されるぅぅぅ!
「で、こっちは我らがセンターhiroことちっひー改めちひろだよー、ねえねえ可愛いでしょー? ほら挨拶」
頼む、もうこっちに振ってこないでくれええええ。
みきしゃまの横に立っていたのは、これまた美形の美人アイドル。ちょっとギャルっぽいみきしゃまとは違う感じの美人系。どっちかというとしほりん系に近いと思われる清楚系アイドルがそこにいた。うん可愛すぎて何も言葉が出てこない。うん、心臓に悪い。正面で向き合うと、その美しい瞳に吸い込まれそうである。しかしみんなに馬鹿にされ続けたままでは終われない。ここはひとつ格好いいところを見せねば!
「は、はははじめまして……」
「………………こちらこそ、どうぞよろしくおねがいいたします」
よしっ。ミッションクリアー!
しかし次の言葉が出てくるはずもなく……
「え、えーと、いい天気ですね?」
「いや、お見合いかよっ」
べしっとツッコミが入る。いや、ミキしゃま、ちょっと強くない? 痛いんだけど。
「お兄さん、ちょっとデレデレしすぎてやばいんで、さっさと消えてください」
桜玖良までもが俺をゲシゲシと足で追いやってくる。
「そうだったー本編じゃこの二人まだ接触ないんだった。さっさと離れて離れて。危ない危ない☆てへぺろっ」
「……」
「で、ミキ先輩たちは、どうしてここへ?」
「いや、なんか面白そうなことやってっから来てみたーってね」
「そうなのですね」
「じゃあミキしゃまも参加してくださいよっ、今こんなことやってるとこでーかくかくしかじかー」
「へぇ~~ じゃ~あ~エントリーナンバー2! ♪miki☆いっきまぁーっすっ!!」
「早っ」(一同)
皆さま、また先週は飛ばしてしまってすみません。そして本編進まずにすみません。(ちょっといい構想が出ず……)このお花見SSは近いうちに後編をアップしたいと思います。リアルで女子と花見行きたいぃぃぃ……という希望をこめましたw(畜生コロナめぇ……いやそれ、女子とってのはコロナ関係ないやろw)
あとクリスマス・バレンタインSSは数日中のうちにぼちぼち撤収します……
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