第4章-5 君の名は
「え……なんであなたがここに……?」
「あれ、アタシのことわかっちゃう感じ?」
「え、そそんなのわかるに決まってるじゃないですか……みみみみ……」
「はい、ストップ~。騒ぎになったら怒られちゃうから黙っててね♡」
指を小さく口に当てにっこり亜希乃に微笑む美少女? え、また亜希乃の知り合いなの? 妹の知り合い多すぎ問題。
「は、はいっ!」
「ちょっと亜希乃ったら、その声がでかいんですケド」
「はわわわさくらちゃん~~~なんでmiki様がこんなところにいらっしゃるの~~~???」
みきさま?
「そう言えば……先輩、まだリハの時間じゃないですか?」
「さっき終わったとこ~~もうバッチリ」
そう言ってポーズをとる……みきさま。
「でもこんなとこに出てきて大丈夫なんですか……囲まれちゃいますよ?」
「え~~~だってぇ楽屋で待ってるの暇なんだもーん。それにぃ、ちゃんと変装してるでしょ?」
「まあそうですけど……」
「ミキ先輩すごいですよね……一瞬誰って思いましたもん」
「このコーデも最高に似合ってますぅ! もう、ステージ上のお姿も神ってカンジですけどっ、なんか……こう、一見野暮ったい眼鏡スタイルもなんかお忍び深窓の令嬢お嬢様って感じで……シックなブラウン系の上下でまとめてあってそこはかとなきよき雰囲気というかっ、とにかくっ、もう言葉ではこう言い表せないというかっ、もうきゃわわでサイコーって感じで、すっごく似合ってますっ!!!」
「う、うん……あ、ありがとう……なんかキミ、めっちゃぐいぐいぐるね~~~?」
「すすいませんっ、調子に乗っちゃいましたっ、私めごときが握手会でもないのにこんな馴れ馴れしくしちゃってっ、すみませぇぇん、すぐ離脱をばっ」
「ちょっと亜希乃。普通に落ち着いて?」
「落ち着いてらんないよっ! だってこんな間近にレア私服姿のmiki様がいるんだよっ!? 全身の血が沸騰しそう……」
ミキさま……先輩? はさくらたんやさっきのサキちゃんとも普通に話してて、なぜかそこに妹が乱入という謎の構図が出来上がっていた。俺は一定の距離を保ったままどうしたものか考えあぐねていた。
「なんか……いろいろと、楽しいお友達?ね」
「そ、そうですね……まあ熱狂的なファンというかオタクというか……」
「なるほろー、まあうちらのファンならこの変装見破られてもしゃあないか……結構自信あったんだけどなぁ。えーと、あきの? ちゃん、だっけ……どこでわかったん?」
「え、え、そんな、もうあのmiki様って言う感じの隠しきれないオーラというか、もはやmiki様でしかないというか……」
「お、おうぅ……」
「いや、マジわかんないですって……ぱっと見気づきませんよ?」
うんうん。マジイミワカンナーイ by西〇野m〇kiちゃん
「先輩の変装とってもハイレベルだと思います。普通ならメンバー以外にはバレないと思いますけど……まあ亜希乃は、ちょっと尋常じゃないタイプのファンだから……」
「ていうかミキ先輩眼鏡なんて持ってたんスね? 伊達ですか?」
「これはね。でもちゃんと度付きのもあるよ、学校ではいつもそれだしぃ」
言いながらくいくいっと眼鏡を上下させるその仕草が河合い(参考映像 可愛ければ変〇でも好きになってくれますかOP)……いやいやいやっ俺はっ、しほりん一筋だっ!
「まあとにかくっ、あきのちゃん。これからもよろしくね?」
そう言って手を差し出すミキさま。
「へ、へ? お、おねgあいし☆まひゃぁsす」
過呼吸になる亜希乃(笑)
「ちょっと、緊張しすぎ~w」
「亜希乃、頼むから落ち着いて? 騒ぎになったらマネージャーさんに怒られちゃうからっ」
妹の痴態が本当に痛い。話を聞くに、あの冴えない感じのお嬢様美少女は、亜希乃が追っかけてるアイドルのうちの一人なんだろう。まあ騒ぎたくなる気持ちもわかるが、ここが休日の商店街であることを忘れないでほしい。
「でもさぁ、あきのちゃん?」
ミキ様の声のトーンが急に下がった。
「あきのちゃんはアタシ推しじゃないんだよね?」
ふっ……と場の空気が、温度が下がった希ガス……(18族 He Ne Ar Kr Xe Rn あっ もう貴ガスにしなきゃいけなかった希ガス…… rare gasからnoble gasへと国際的な表記が変更されたため もともとは希少なガスと思われていたがArなどは大気中に多く存在することが分かったし(アルゴンは大気中の組成0.93%で窒素、酸素に次いで多い)、反応性が低いという意味で貴金属と同じくnobleという単語が充てられたという。ほかの物質とほとんど反応しない、最外殻電子がすべて埋まっている完全体である。まるで他者と馴れ合わない俺たちオタクのような生き様な稀ガス……(しつこい))
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