体育祭開会式


私立学嘉高校の運動場。

今日はこの場所で体育祭が行われていた。



「うわ〜…懐かしいなぁ…」



卒業してから半年ぐらいしか経ってないのにスゲェ懐かしく感じる…。

それほどまでにこの半年間忙しかったってことなのかな?……だろうな、だって俺死ぬ気で勉強してたし。

制服がいかに素晴らしいのか、体操服がどれだけ素晴らしいのか、卒業した今ならわかる。

見よ、この体操服姿の女子達の姿を!最高じゃないか!

動きやすさを重視した半袖短パンの体操服から滲み出るのは様々なエロス…!

着る者貧乳にとっては健康的なエロスを…!

着る者巨乳にとっては妖艶的なエロスを…!

最高かよ!最高だったわ!!

失ってから初めて気付く尊さってこういうことをいうのか……—————ッ!?




………今、なんかものすっごい寒気がした…。




……このことについて考えるのはもうやめとこう。そうしよう。マジで。


そう思い、観客用テントに行き、前の方に陣取る。

開会式から見る保護者の方はかなり少なかったので簡単に前に行くことができた。

しかも今校長先生のありがた〜い話の途中だからなぁ。こんなの聞きに来る人はほんとに少ない。

去年まで運動場で聞いてる立場だったんだよな、俺。校長先生がなに話してたのか全然まったくちっとも覚えてないけど。


そんな何言ってるのかわからない誰も聞いてない話があと10分続いた。

……俺って話の途中に来たはずだよな?なのになんでこんなに長いんだよ。競技が始まる前に生徒達もう疲れ果ててるぞ。



生徒も先生も保護者も疲れ果てた頃、ようやく校長先生の話が終わり、次は生徒会長の挨拶……つまりようやく一華の出番となった。

一華が壇上に立つ……と同時に何処からともかく鳴り響く歓声。


相変わらず一華の人気っぷりはハンパないなぁ…。鳥羽真司という邪魔者がいなくなってからこういう歓声とかが露骨になってきた気がする。というか露骨になった(断定)。

まぁ一華が人気なのは俺も嬉しいからいいんだけどさ。

一華が絶大な人気を誇っているのは前からだし、別に今さらこの程度では嫉妬なんてしないんだけどなぁ。


……もしかして俺、かなり怖れられていた…のか…?


まぁただの一般人である俺が日本を代表するといっても過言ではない超大手企業『RUDE』の一人娘の許婿………なんて知ったら普通の人は『こいつは何か悪どいことやってその立場になったんじゃないか?』って考えていたとしても何も違和感ない。

それに一華の俺に対しての常軌を逸脱した献身っぷりをみたら『竜堂さんはこいつ鳥羽真司に何か弱みでも握られているのか?』って思わず考えてしまうことも……残念ながら違和感はない。


うわぁ…はたから見たら俺超怪しいし危ない人じゃん。

こりゃ怖いわ。



それにしても……さすがは一華だな。

さっきまで長すぎる校長先生の話でみんな疲れ果てていたのに一華が現れた途端みんな元気になった。特に男子ィ。あと一部の女子ィ。


……男子よりその一部の女子の方が一華を見る目がヤバイような気がするんだけど気のせいか!?……気のせいであってくれ…!!


ちなみにその男女共に一部からヤバイ目線を向けられている張本人である一華は壇上に立った瞬間に俺を見つけて目配せしてくれた。

今俺がいる場所って一華と結構離れてるはずなのによく見つけたなぁ。さすが一華。さすいち。

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