1日明けて


「………ん…?……朝か……」



朝起きた俺の眼に真っ先に飛び込んできたのは見慣れた我が家の天井。昨日まで見てた合宿所の無機質な天井とは大違いだ。



「やっぱ我が家は良いよなぁ……我が家は……わが…や…は……———ッ!?」



思い出したぁぁぁああ!!

俺は昨日の夜、あの後・・・何があったぁ!?



「……ってあれ?服着てる…。まさか夢……な訳ないよな。あんな強烈な事が夢であるはずがない」



となると本当にあの後どうなったのだろうか…。なんか妙にスッキリしてるしなんか最高に気持ちいい夢を見てたような気がするけど……ヤってない……よな?

一華が寝ている俺にそんなことをするはずがないと思いながらも内心めっちゃ焦ってる俺がいる。


だって布団とベッドからめっちゃ一華の良い香りがするんだもんぅぅ!あの後絶対同じ布団で寝てたよ!家にあるファブ◯ーズじゃこんな良い香りは出せないからねぇ!


うおぉぉおおお……。ダメだ、どうしてもあの後の事が思い出せない…。

やっぱ気絶した後俺はそのまま寝てしまったっぽい。

その後俺は一華に服を着せられたのか…。

……なんかめっちゃもったいないことをした気がする。なんで寝てたんだよ、俺。起きとけよ。



とりあえず部屋を出て一階に降りて顔を洗う。

……そういえば今日は学嘉高校の体育祭だったな。一華は確か二人三脚に出場するって言ってたな、見に行かねば。

ちなみにリレーや縄跳びを選ばなかった理由は競技中に胸が大きく弾んでしまうかららしい。巨乳一華ならではの悩みだ。

それはそれでめっちゃ見たかったけど、他の男には絶対に見られたくはないのでそこは我慢する。

でも二人三脚でも結構揺れないか?まぁ他の競技と比べたらまだマシか…。


そして一華は生徒会長だから開会式で何が喋るはず……つまり最初から見に行かなくちゃならないから……これから飯食って着替えてチャリで学校行くとして……開会式に……ギリ間に合わない…!?



「ヤバイ!マジか!?」



急いでリビングへと向かう。

何やってんだ俺は!いくら疲れていたからってこんな日に寝坊はないだろ!っていうかなんで目覚ましかけてないんだよ昨日の俺はぁ!!


リビングに入ると……テーブルの上に朝ごはんとお弁当と手紙が置いてあった。

朝ごはんもお弁当も一華が作ってくれたに違いないから……一華は今朝どれだけ早起きしたんだよ…。


時間がないので行儀が悪いと思いながらも朝ごはんを食べながら手紙を読む。

そこには、こう書いてあった。




『お兄様へ


おはようございます、一華です

今日は学嘉高校で体育祭がありますので、ぜひ来てください


さて、お兄様が起きた時間ですとギリギリ開会式に間に合わないと思います

ですが安心してください

この手紙を読み終えて朝ごはん食べ終わった時間ぐらいにお父さんが車で迎えに来るので、それで学校に向かってください

それなら間に合うはずです

学校に向かう最中……というか車に乗った直後にお父さんから昨日何があったのか質問攻めにあうと思いますが、正直に話さなくて大丈夫です

『2人だけの秘密♡』とでも言っておいてください

そしたらお父さんは烈火の如く怒り狂うと思いますが、無視してくださって大丈夫です

どんなに怒っててもお父さんならちゃんとお兄様を学校へと連れて行ってくれるはずですから


開会式の後、二種目目の競技が始まるぐらいにはお兄様に逢いにいけると思います

ですから、そのぐらいの時間に体育館裏に来てください

待ってます♡


—————貴方の愛する妻、一華より』




……………。



予言者かな?



いやほんと、なんで俺の起きる時間がわかったんだろ…。

俺目覚ましかけてなかったよね?自然に起きたはずだよね?

しかも昨日は勉強合宿帰りで超疲れてて……しかもこういっちゃなんだけど夜のアレで精神的にさらに疲れたから、今こうして午前中に起きてること自体が奇跡なんだけど…。

あ、でも昨日までの疲れが全然ない。昨日の夕飯に食べた精のつく食材がたっぷり入った鍋のおかげかな。スッポンすげぇ。



それからほどなくして朝ごはんを食べ終わる。と、同時に家のインターホンが鳴らされた。


ドアを開けるとおじさんが、そしてその奥にはおじさんの愛車の黒塗りの高級車が。



「……行くぞ、乗れ」

「あ、はい。わかりました」



……………。



予言者かな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る