1日の終わり…?


「……ん?あれ?」



風呂から上がるとリビングから一華が居なくなっていた。



「一華〜?どこだ〜?………あ」



すると、テーブルの上に置き手紙があった。

そこには—————




『忘れ物をしてしまったので、家に取りに行ってます。先に寝ててかまいません。おやすみなさいませ、お兄様。』




———と、書いてあった。

家に取りに帰るって……家、隣じゃん。



なんの偶然か、竜堂家は鳥羽家の隣にある。

社長宅であり、もちろん超豪邸である竜堂家……というか竜堂邸がなぜ平凡な鳥羽家の隣に在るのか、事情を知らない人にとっては謎だろう。

しかし、答えは簡単。ただ単に鳥羽家の隣がとても大きな空き地だったってだけだ。

この地域は、当然のことながら高級住宅地ではない。というか田舎の分類に入ると思う。

だから土地が有り余っていて、竜堂家がその土地を買って家を建てた。それだけだ。


だからこそ俺は一華と幼馴染になれたのだ。

もし仮に竜堂邸が俺の家の隣じゃなく、都会の高級住宅地に在ったとしたら、俺は一華と出会うこともなかっただろう。

そう考えると、一華との出会いに運命的なものを感じたりもする。


自惚れだろうか。


自惚れだろうな。




「………ぉっと!」



ヤバイ、強烈な眠気のせいで体がふらついた。

そういえば俺、勉強合宿のせいで疲れ果ててるんだった。

一華と話していたから眠気が吹っ飛んでただけで、もともと家にたどり着いた瞬間に玄関で眠れるぐらい強烈な睡魔に襲われていたんだった。

そう思うと一気に視界に靄がかかってきて、さらに意識が飛びそうになる。

一華には悪いが先に寝てしまおう。明日は土曜日だから昼までぐっすり寝よう。

これはヤバイ、倒れる、寝る、と思いながら2階にある自分の部屋を目指す。

もう少しで俺の部屋だ!頑張れ!歩け!俺!!となんか少しデジャブを感じる事を考えながら自分の部屋を必死で目指し、歩く。


そして、自分の部屋のドアを開け、ふらつく足でベッドを目指し、ベッドのちょっとした段差に躓き、そのまま布団へダイブした。




そして、俺の意識はそこで途絶えた———

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