第41話「【タイマー】は、少女に問いかける」
───あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!
「わ、凄い声……。い、いいの?」
「何が?」
レイナが気の毒そうに背後を振り返っている。
「───気にするなよ。きっと雑居房の点検に行ったのさ」
「う、うん……。でも、」
レイナはチラチラと振り返る。
どうやら、犯罪者でもない衛兵が酷い目にあっていることに抵抗があるようだ。
なんだかんだで、素直でイイ子なのだろう。
「大丈夫。お互い仲良く、筋肉言語で
そうだろう?
「(あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……き、き、き───)」
───き、
貴様らぁぁぁあああああああ!!!
「「「ぎゃーーーーーーーーーー!」」」
ドカーーーーン!! と小揺るぎする衛兵隊本部。
おー……やってるやってる。
ドカン、ずかんっ!! と背後の牢屋の方で激しい物音。
その度に囚人に悲鳴が上がっている。
ルビンの脳裏には両手で剣を振り回す衛兵の姿が浮かんでいた。
そりゃあ、ね。
……アンタが、そんなに簡単にやられるタイプじゃないわな。
腐っても、上級ダンジョン溢れるダンジョン都市の衛兵だ。
弱いはずがない。
「ね?」
「う、うん……すごいね」
レイナもコクコクと頷いている。
そうして、ルビンたちは衛兵隊本部を出た。
「わぁ……!」
レイナが眩しそうに空を仰ぐ
一日ぶりの青空。
そして、臭い牢屋の空気とは違う新鮮なソレ───。
通りに出ると、レイナはクルクルと回り自由を謳歌する。
「ごめんよ。まさか、本当に牢屋に入れられるとは思ってなくてさ……」
ルビンは衛兵に突き出したことを少し後悔した。
子供だから、精々こっぴどく叱られるくらいだと思っていたのだが、まさか
少し配慮が足りなかったと猛省する。
「え? い、いいよ!! 僕が悪いんだもんッ!」
素直に謝るルビンに、レイナも恐縮して首を振る。
「あ、あのね……。お財布とってごめんなさい……」
「ん? いや、もういいよ。別に被害があったわけじゃないし───」
それに気になることもある。
「今回、君を出したのはさ。本当に腕も見込んで仕事を依頼したかったってのもあるんだけど───」
「う、うん……。し、仕事……? え、エッチなのは嫌だよ?!」
ドキドキした様子で身構えるレイナ。
「いや、ちげーよ!……って、話が進まないから、それは置いておいて───。まず聞きたいのは、」
そう。
仕事の依頼ともう一つ聞きたいことがあった。
「…………誰に頼まれて俺を襲撃したんだい?」
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